「どうすれば、付き合えるのかな。」
教室で帰り支度をしていると、親友の美咲がそんな相談をしてきた。
美咲には、幼なじみの悠一くんがいる。
端から見たら、もう付き合っているんじゃないかと思うくらい仲がいい。
……それなのに、まだ「付き合っていない」らしい。
「……いや、あんたが告白したら、すぐ付き合えるでしょ。」
呆れたみたいに言ったら、美咲は肩をすくめて、苦い顔をした。
「はー……。そんな簡単に告白なんてできないよ……。」
どうやら、告白に失敗して、今の関係が壊れるのが怖いらしい。
わかるけどさ。わかるけど、見てるこっちがむずむずする。
私はため息をひとつ吐いて、壁に掛かっているカレンダーを指さした。
「明日、バレンタインじゃない。 チョコ渡して、その反応見て……いけそうなら告白したら?」
反応が良ければ本命として押し切ればいい。
ダメそうなら、うまく笑って「義理だよ」で逃げればいい。
……ずるいけど、こういう時くらい、ずるくていい。
「バレンタイン! 忘れてたよ!」
美咲は目を丸くして、勢いよく言った。
私は思わず、口の端を引きつらせる。
……ダメかもしれない。
帰り道、スーパーに寄ってチョコや生クリームを買ってきた。
そして、美咲の家で手作りチョコを作ることになった。
彼女の家には、ハートの型がすでに用意されていた。
……手作りでハートの形なんて、本命以外ないじゃない。
だが、黙っていることにした。私としては、とっとと付き合ってしまえばいいと思っているので。
「美月ちゃんも作るでしょ?」
別にあげる相手もいないが、せっかくだしパパに渡す用を作ろうかな。
……本物のパパだからね? 勘違いしないでよ?
美咲は、ブツブツ言っている私を不思議そうに見ていた。
「うん、一緒に作ろうか。失敗したら美咲にあげるね。」
「む、だったら私も試食は美月ちゃんにお願いするね。」
そんなたわいのない言い合いをしながら、準備を進めた。
チョコレートを刻み、湯煎にかけて生クリームと混ぜ合わせる。
手作りチョコなんて、この程度が失敗もなく美味しくできる。
とりあえず作ってみて、冷蔵庫で冷やした。
固まってから試食をしてみたが、十分美味しかった。
「うん、これなら悠一くんに渡す用を作っても良さそうだね。」
この慎重さがなければ、もうとっくに付き合っているんだろうなとは思う。
まぁ、生きていく上では慎重であることに越したことはないのかな。
また刻んだチョコを湯煎で溶かし、生クリームを入れて混ぜた。
その時、美咲がこそこそと怪しい動きをしていた。
何をしているのかと注目していると、なにやら小さなビンを取り出していた。
そして、それをチョコに入れようとしていたので、美咲の手をガッとつかんだ。
「ちょっと待ちなさい。今、何入れようとした?」
美咲は、バレた!みたいな表情をしている。
「ば、バニラエッセンスを……。」
なんか言い訳をしているが、バニラエッセンスならこそこそ入れる必要はない。
「そのビン、渡しなさい。」
私の低い声に、おずおずとビンを渡してきた。
ビンを見てみると、惚れ薬と書かれたラベルが貼られていた。
「美咲……あんた……。」
そこまで追い詰められていたか……。
美咲は、えへへーみたいな顔をしている。
まぁ本物の惚れ薬なんてないだろうし、多分ジョークグッズだろう。
裏に書かれている成分を確認しても、特におかしな物は入っていなかった。
「仕方ないじゃない! 気休めが欲しかったんだもん!」
普段慎重な割に、時折大胆なことをするな。
でも、そんなものを食べさせられる悠一くんのことも考えた方がいいような気がする。
「……まぁ、変な成分入っていないから、入れても良いけどね。私の分には入れないで。」
そう言ってビンを美咲に返した。
美咲は嬉しそうにチョコに混ぜていた。
……大丈夫だとは思うけど、万が一悠一くんがお腹壊したら、私のせいにもなるのかな?
そんなことを考えながら、チョコレート作りは終了した。
「美月ちゃんありがとう。当日は私のこと、見守っていてね。」
かわいい笑顔で、そんなことを言ってくる。
告白の場に、私いないといけないのか……。
なんだか微妙な気持ちになった。
バレンタイン当日。
美咲は朝からそわそわしていた。
ずっと心ここにあらずで、私が話しかけても、あわあわしている。
「深呼吸でもして落ち着きなさい。」
美咲は言われた通り、スーハースーハーしている。
悠一くんが同じクラスじゃなくて良かったよ。
決行は放課後なのに、今からこんなじゃ、死んでしまうのではなかろうかとも思った。
そんなふわふわした感じのまま、放課後になった。
悠一くんを空き教室に呼び出している。
「……私、帰っちゃダメ?」
一応、美咲に聞いてみた。
すると美咲は私の手をつかんで、涙目で懇願してきた。
「お願い!一緒にいて!私一人じゃ告白なんて絶対出来ない!」
人前の方が恥ずかしい気もするが、美咲がそう言うなら仕方がないか。
一緒にチョコを作ったんだ。最後まで見届けてあげよう。
そんなやりとりをしていると、ドアががらっと開いた。
「ごめん、遅くなった!」
悠一くんが現れた。
がんばれ、美咲。
美咲はチョコを両手で持ち、悠一くんの前に立った。
「あの、バレンタインだから……チョコ渡そうと思って。」
普段の明るい感じではなく、だいぶ真剣だ。
これで義理とかいう言い訳は無理だろう。
当然、その雰囲気に悠一くんも気付いている。
もう告白しちゃえよ……としか言いようがなかった。
「あ、ありがとう。」
悠一くんがチョコを受け取った。
「手作りなんだ。今食べても良いかな?」
「うん、美月ちゃんと一緒に作ったんだ。」
今の私は空気。
「そうなんだ。いただきます。」
小さな袋を開け、ハート型のチョコを取り出した。
そして、それを口に放り込む。
「ん、美味い。」
その言葉を聞いて、美咲がほっとしている。
……私は何を見せつけられているんだろうな。
お腹が空いていたのか、悠一くんはチョコを次々と食べている。
もしかしたら照れ隠しなのかもしれないが。
「そんなに気に入ってくれたなら、いつでも作ってあげるよ。」
美咲がニコニコしながらそう言った。
もう告白しちゃえよ……と思うが、美咲に任せるしかない。
悠一くんも恋愛には奥手そうだしな。
ここまでは順調だった。
あとは美咲が告白してしまえば終了。晴れて二人は恋人同士だ。
そう思っていたが、悠一くんに異変が起きていた。
冬の、暖房も付いていない教室。
だが、悠一くんの額に汗がにじんできていた。
「あれ? 悠一くん汗かいてる?」
美咲が心配そうに話しかけた。
「大丈夫。なんだか身体が熱くなって……。」
昨日、私たちが試作を食べたときには、そんな事はなかったはず。
もしかして……。
気がつくと悠一くんは前屈みになっていた。
よく見ると……どうやら下半身が勃ってしまっているようだ。
そんなことに気がつかない美咲は、悠一くんを心配そうに見ている。
「大丈夫? お腹痛い?」
自分のチョコのせいで腹痛を起こしてしまった、と思っているのだろう。
多分、それは半分あっている。問題は腹痛ではないこと。
あの惚れ薬……変な成分は入っていなかったはずだが、なぜか媚薬のような役割をしてしまったのではなかろうか。
仕方がないか。半分は私のせいでもある。
「美咲、ちょっと来て。」
美咲は悠一くんを心配しながら、こっちに来た。
美咲の耳元に、そっと耳打ちした。
「あのね、昨日入れた惚れ薬あるでしょ? 多分、あれのせいで悠一くん、勃起しちゃってる。」
ストレートに教えてあげた。
美咲は「え!?」という表情をして、反射的に下半身の方を見た。
そして、私の方を見て、慌てたように言った。
「どうしよう! 私、大変な事しちゃった!」
顔面蒼白とはこのことだろうか。
おまじないのような、無害のはずの惚れ薬が、こんな事になるなんて。
「だ、大丈夫。少ししたら落ち着くから。美咲のせいじゃないよ。」
……優しい男だ。
美咲がずっと好きでいるのも、わかる気がする。
だが、このままにしておくのも良くないだろう。
私は教室の扉から外を見て、誰もいないことを確認してから、扉の鍵を閉めた。
悠一くんの方を見ると、真っ赤な顔で脂汗をかき、両手で股間を押さえている。
もう隠しようがない状態なのだろう。
……こんなしょうもないことで、二人に傷ついて貰いたくない。
私はそっと美咲に耳打ちした。
「出してあげれば落ち着くと思うから。私がやってあげても良いんだけど。」
すると美咲が大きな声で言った。
「だめ!私がやる!美月ちゃんは見ていて!」
……見ている必要はあるのか。
いや、万が一、億が一、悠一くんが暴走したときに止める必要があるか。
二人だけにして盛り上がっておっぱじめられても困るしね。
「わかったよ。美咲に任せるけど、やり方わかるの?」
「えっと……教えて貰っても良いかな?」
私は美咲と違って彼氏もいたことがある。できる限りのことはしよう。
悠一くんを見ると、さっきよりも辛そうだった。
「悠一くん、これからすることは夢だと思って。」
そう言って、私は悠一くんの方に近づいた。
恐らく本人も、何をされるのか理解したのだろう。
「だ、ダメだよ! 大丈夫だから! すぐ良くなるから!」
口ではそう言うのに、さっきよりも汗の量は増えている。
大丈夫なはずがなかった。
「悠一くん、ごめんね。私が変な物、食べさせちゃったから……。」
美咲はしゅんとしている。
そんな美咲を見て、悠一くんもどうしていいのか戸惑っている。
「私が……治してあげるから。」
いつも元気な美咲が、涙目でそう言った。
これで断れる男なんて、いないだろう。
美咲にここまでさせるなんて、悠一くんも罪な男だ。
……まぁ、美咲が悪いんだが。
「今、誰も来ないと思うからさ。悠一くん、ズボン……脱げる?」
美咲はできるだけ優しく、諭すように言った。
悠一くんも恥ずかしいだろうに。
「……わかったよ。脱ぐから、ちょっと待て! 脱がさないで!」
美咲が無理矢理脱がそうとしている。
その横顔が、ちらっと見えた。
……なんか、少しにやついていないか?
まさかこいつ、既成事実を作ろうとしているのか?
もう一度顔を見てみたら、真面目な顔をしている。
……気のせいか。そう思おう。
ズボンだけ脱がすつもりが、パンツごと一気に下ろされた。
ビンッと音がしそうなくらいの勢いで、解放される悠一くんのそれ。
……あれで限界の大きさなのかな?
だとすると、悠一くんには申し訳ないが……小さい。
私の元彼と比べても一回り……いや、二回りくらい小さいかもしれない。
そして先端まですっぽり皮が被っている。
そういえば元彼が言っていたな。
「包茎でも俺みたいに剥けるのは大丈夫。問題は剥くことの出来ない真性包茎だな。」
美咲のためにも、あの悠一くんのそれが真性包茎とやらなのか、確認はしたい。
だが、今ここで私が何かするのは得策ではない。美咲のヘルプが出るまで見守ろう。
「わー、悠一くんのおちんちん久しぶりに見たよ。小さい頃よりちょっとだけ大きくなっているね。」
「……あ、ああ……。」
美咲、それは良くない。
見たことあるったって、幼稚園とか小学校の低学年とかだろう?
しかも恐らく勃起していない状態。
それより「ちょっとだけ」大きくなっているって事は、つまりほとんど成長していないって事だ。
暗に小さいぞと言っているような物だ。
よく見ろ。悠一くんもショックを受けてるぞ。
「あれ? 悠一くんどうしたの?」
ダメージを受けている悠一くんに、本当に何もわからない感じで聞いている。
……悠一くんがMであることに賭けよう。
今の精神的ダメージで萎えてくれたりしないかな、とも思ったが、全く衰えることはなかった。
頭はしょんぼりと下がり、亀頭は天に向かって上ろうとしている。
ちょっとだけ面白い。
「美咲、人が来る前に終わらせよ?」
いつまでもこの空き教室に人が来ない保証はない。
「う、うん。」
すると急に、悠一くんが前を手で隠した。
「あ!美月ちゃんいるの忘れてた!」
……今更隠しても、もう遅いのだが。
どうやら完全に私のことを忘れて、二人の世界に入っていたようだ。
「……帰ろうかな。」
きびすを返し、教室のドアに向かおうとした。
すると、スカートをギュッと引っ張られた。
「美月ちゃん行かないでー…。」
泣きそうな顔で、美咲がつかんでいた。
「ちょ!スカート脱げる!わかったから!」
この子は隙あらば下を脱がそうとする習性でもあるのか。
私はスカートを整えて、悠一くんに向き直った。
「私はあまり気にしないから、悠一くんも気にしないで。気持ち良くなれてラッキーくらいに思って。」
そう言いながら、悠一くんの両手を外した。
目の前で見ても、やはり小さい。
「俺の、小さいだろ?あまり見ないでくれ……。」
悠一くんがぼそっと呟いた。どうやら美咲には聞こえていないようだ。
確かに小さいが、そんなことでいちいち凹まれてもめんどくさい。
私としては早く、こんな危ないところではなく、安全な場所で美咲と二人でいちゃついてくれればいいと思っている。
仕方がない、少しだけ元気を出してあげよう。
私は悠一くんの耳元で囁いた。
「美咲は悠一くん以外のおちんちん、見たことないから。小さいなんて思ってないよ。」
悠一くんがピクッと反応したのを、私は見逃さなかった。
「……二人で何こそこそやっているの?」
不機嫌そうに、美咲が声をかけてきた。
「別に取ったりしないわよ。さ、早くやってしまいましょう。」
私も美咲も悠一くんの前にしゃがみ込んだ。
悠一くんのそれはお腹にくっつくくらい真上にそそり立っていた。
……いや、そそり立つと言って良いほどの大きさはないが。
私の元彼は真上じゃなくてもっとまっすぐに勃起していたから、これはこれで新鮮だ。
やはり人それぞれ違うんだなと感心してしまう。
「ねぇ美月ちゃん、これどうすれば良いかな?」
美咲は触って良いのかダメなのかわからず、手を出したり引っ込めたりしている。
あんなに勢いよく脱がしたのに、ここは躊躇するのか。
それもまた良し。
「うん、じゃ、そっと握ってあげて。いきなりギュってやって痛くしないようにね。」
その言葉に、おずおず手を伸ばし、そっと握った。
「うわ!固いね!あとすごく熱い。」
やわやわと握りながら感触を確かめている。
悠一くんの顔を見ると、必死に耐えているようだ。
美咲はと言うと、やはり口角が上がっている。
よだれをたらさんがばかりだ。
「……美咲、そのままゆっくり上下にこするのよ。」
ハッとして、また真面目な顔になり上下に動かしはじめた。
美咲の手にに合わせて包皮が上下に動いてはいるが……。
「悠一くん、念のために聞いておくけど……剥ける?」
我ながらストレートに聞いてしまった。
「お、ああ、一応剥けるよ。」
美咲は頭に?を浮かべているようだ。
悠一くんのおちんちんに興味があるようだが、あまり知識は無いようだ。
とはいえ、私も元彼が包茎じゃなければそんな知識は無かっただろう。
「悠一くんのおちんちんは包茎っていってね、剥いてあげると中身が出てくるのよ。」
はえーと言うような顔をしている。
かわいいヤツだ。
「じゃさ、剥いてあげようか。」
美咲の手の上に私の手を被せる。
さすがに親友の好きな人のそれを、私が直接触ってしまうのははばかられる。
「いい、ゆーっくり下げるからね。」
美咲の手を握り、そーっと下げていく。
やがて、窄まった先から瑞々しい桃色の輪郭が顔を出し始めた。
「悠一くん、痛くない?」
美咲が心配そうに聞く。
「あ、ああ、……大丈夫、大丈夫だから。」
剥けないならともかく、普通に剥けるなら、こうして誰かの手でじわじわと露出させられるのは、得も言われぬ快感のはずだ。
普段、彼が自分ひとりで処理する時は、きっとこの皮を上手く使って……。
そこまで考えて、私は慌てて思考を打ち切った。
そうこうしている間に、ピンク色の先端が完全に露出した。
「すごいね。こんなのが中に入っていたんだ……。」
美咲は先端をツンツン触りながら、そんなことを言っている。
「そこ、敏感だから優しくね。」
改めてその部分を眺めてみると小ぶりなその亀頭からは、すでに透明な蜜が溢れ出していた。
もうちょっと扱いたら、出てしまいそうだ。
「じゃ、このまま二人で出しちゃいましょうか。」
私は再び美咲の手を上から握り込み、二人がかりでの奉仕を開始した。
「わっ、なんか……ぬめぬめしてる」
先端からの汁が美咲の手に馴染んでいく。
ぬちゃぬちゃと、いやらしい音が教室に響き渡っていく。
悠一くんも、他人の手でこうされるのは初めての経験なんだろう。
腰を引いたり、かと思えば無意識に突き出したりと、彼はどう刺激を受け止めていいか分からず翻弄されている。
……かわいいじゃない。
多分、わからないけど私の表情はにやけていたと思う。
意地悪な興奮を燃料に、一気にシゴくスピードを上げた。
「うわ!うわ!」
美咲が少し困惑している。
「ちょ!出ちゃうよ!」
悠一くんが声を上げた。
本当にかわいいカップルだ。
「いいよ、我慢しないで、出しなさい。」
そんな私の声と共に、悠一くんはビクンビクンと痙攣した。
私と美咲が握りしめる、その小さなおちんちんの先端から、ビュッ、ビュビュッ……と空気を震わせるような勢いで射精した。
白濁としたその液体は、私と美咲のちょうど間を抜けていった。
「……お疲れ様。」
私は放心する二人に向けて、ねぎらいの言葉を投げかけた。
肩で息をする悠一くん。
飛んでいった白濁液を興味深そうに観察する美咲。
これで終わり。そう思っていたが……。
悠一くんのそこは、変わらず天を向いていた。
これはちょっとまずいのでは?
あの惚れ薬、本当に何が入っていたのだろうか……。
「美咲美咲、まだ勃ったままなんだよね……。」
そう言うと、美咲は悠一くんの股間を凝視した。
「え? これって出したら小さくなるんじゃないの?」
「そのはずなんだけどね……。」
元彼は出してすぐに小さくなっていた。
悠一くんは、やはりまだ辛そうだった。
「仕方ない、もう一回出そうか。」
こればっかりは100%私たちのせいなので、早く楽になって貰いたい。
「も、もう大丈夫だから……。」
そう言う悠一くんの股間を見たら、むしろさっきより怒張しているように見える。
なんか、勃起し続けると壊死するとか何とか、聞いたことがある。
私も少し焦ってきた。
親友の彼氏(予定)だけど……背に腹は代えられない!
悠一くんのそれをウェットティッシュで拭き、パクッとくわえ込んだ。
「ちょっと、美月ちゃんっ……!」
美咲の悲鳴のような声が聞こえた。
これは人命救助だ。人工呼吸のような物だ。決して浮気ではない。
……あとで謝り倒そう。
そう考えながら、くわえ込んだ口の中で舌を動かした。
小さくて助かった。
彼のサイズは、私の口内にあつらえたように収まりが良い。
喉の奥を突くような圧迫感がない分、舌を自由自在に操ることができる。
私は下から上へ、そして敏感な裏筋をチロチロと這わせ、執拗にその輪郭をなぞり上げた。
「美月ちゃん、まずいって……っ、あ……。」
悠一くんの困惑した声が漏れる。
本気で嫌なら力ずくで引き剥がすこともできるはずなのに、彼はそれをしない。
溢れ出す快楽という毒に、身体が言うことを聞かなくなっているのだ。
元彼との経験で磨き上げたテクニックを、余すことなく注ぎ込む。
吸い付くような唇で亀頭を愛撫し、尿道口を舌先で弄ぶ。
ちゅぱちゅぱと音を立てながら亀頭を刺激し、竿全体をジュルジュルと舐め上げた。
ふと手に触れた彼の睾丸が、絶頂を予感してキュッと収縮するのを感じた。
(……もう少しで、イカせられる)
確信した瞬間、不意に美咲の顔が脳裏をよぎった。
やはり、私が最後の一線を越えてはいけないのではないか。
そんな理性が働き、私は「ちゅぽん」と名残惜しい音を立てて口を離した。
視線を上げると、美咲が目を丸くしてこちらを見つめていた。
怒っているのではない。
むしろ、その瞳には未知の世界に対する純粋な好奇心の色が浮かんでいる。
……なんだ。私がイカせてしまっても、よかったのかも。
少し冷静になると、再び咥え直す気にはなれなかった。
私はウェットティッシュで唾液に濡れたそれを丁寧に拭き取った。
生殺しにされた悠一くんには悪いけれど、ここからは主役を交代する時間だ。
「美咲。今私がやったみたいに、咥えてみな。」
「えっ……!」
美咲が驚いた顔をする。
どうせこの先何回もしゃぶるんだ、今やっても問題ないだろう。
おずおずとしゃがみ込む美咲。
そして、パクッと咥えた。
「み、美咲……っ!」
悠一くんが今日一番の声を上げた。
好きな女の子に、無垢なままの口内に含まれる。
その事実だけで、男なんて一瞬で限界を超えてしまうものだ。
「……ふぉうふれふぁひいふぉ?」
なんか咥えながらしゃべっている。
「そうね、アイスキャンディを舐めるみたいに舌を使えばいいよ。」
私の助言を聞きながら、美咲は器用に舌を動かし始めた。
「あ……美咲……っ。もう、出ちゃう……。」
その声を聞いた瞬間、美咲の口角がクイッと上がった。
私の動きを見事に模倣し、先端から根元まで、ピストン運動を交えた激しい奉仕へと切り替わる。なんて学習能力の高い子。
「だめっ、口、離して……っ!」
悠一くんが絶叫に近い声を上げ、身体を二度、三度と大きく跳ねさせた。
恐らく今、口の中で射精しているのだろう。
けれど、美咲は口を離さなかった。
それどころか、頬を窪ませて力強く吸い込み始めたのだ。
……大した知識もないのに、この子の才能、ちょっと怖い。
彼が全てを絞り出すような、凄まじい吸引の勢い。
そして、喉がコクコクと鳴った。
やがて「ちゅぽん」と艶かしい音を響かせて口を離すと、満足げににっこりと微笑んだ。
「――ごちそうさまでした。」
腰砕けになり、尻餅をついてしまう悠一くん。
ポケットティッシュを取り出し、口を拭く美咲。
それを唖然とした表情で見続ける私。
三者三様の、小さなドラマがそこにあった気がする。
尻餅をついた悠一くんの股間を見ると、やっと満足したのか、小さくなっていった。
さっきまで露出していた亀頭も、無事皮の中に戻っていった。
「良かった。小さくなったね。」
美咲がほっとしている。私も一緒にほっとした。
悠一くんが慌てて股間を手で隠すが、今更だろう。
目を合わせて、ニヤリとする私と美咲。
二人がかりで悠一くんの手を剥がし、丁寧に拭いてあげた。
ここまでがお詫びだ。受け取ってくれ。
心の中で、そう呟いた。
拭いたあと立ってもらい、二人がかりでパンツとズボンを履かせてあげた。
悠一くんは終始恥ずかしそうな表情をしていたが、最後の方は諦めていた。
仕上げに美咲がジッパーを上げ、収まりの良くなった股間をポンポンと軽く叩く。
これで、この奇妙で淫らな羞恥劇は幕を閉じた。
「変なもの食べさせちゃって、本当にごめんなさい!」
私と美咲は、揃って深く頭を下げた。
そんな二人を、悠一くんは少し困ったような笑顔で許してくれた。
結局、美咲の「告白」が、そのドタバタですっかりうやむやになってしまった。
それに気付いたのは、家路についてからであった。
エピローグ
「ねえ、どうすれば付き合えるのかな……。」
あの「事件」からちょうど一ヶ月。
一切の進展がなかったらしい二人の体たらくに、私は深いため息を漏らした。
「はいはい、ホワイトデーホワイトデー。」
投げやりにカレンダーを指さして帰ろうとすると、美咲が必死の形相で私のスカートにしがみついてきた。
「美月ちゃん、見捨てないでぇー!」
「ちょっ、脱げる! パンツ見えてるから離して!」
必死にスカートを抑えながら、私は内心で毒づく。
周りに男子がいたら、美咲を殴っているところだ。
「あれだけエロいことしておいて、なんで進展ゼロなのよ。美咲も美咲だけど、悠一くんも悠一くんだ……。」
「……もしかして、本当に夢だと思ってるのかな。」
美咲がポツリと漏らした。
そんなわけないだろう、と言いかけて口を閉ざす。
例の惚れ薬(気休め)のせいで、彼の意識も朦朧としていた。
あり得ない話ではない。
「……私が舐めたこと、忘れてくれてるといいんだけど。」
「……私より先に舐めたこと、私は忘れてないからね。」
「ごめんってば……。」
何度謝罪しても、何度人命救助だったと説明しても、美咲はいまいち納得していない。
悠一くんのちんちんが使い物にならなくなったら一番困るのは彼女だというのに。
そんな不毛なやり取りをしていると、美咲のスマホが短く震えた。
画面を覗き込んだ美咲の顔が、一瞬でニヤニヤと緩んでいく。
「なに? 悠一くん?」
「悠一くんがね、これから『こないだの空き教室』に来てほしいって! もしかして、告白されちゃう……!?」
告白の予感に跳ねるようにテンションを上げる美咲。
だが、私の予感は違った。
多分、律儀な彼はバレンタインのお返しを渡して、それで満足して帰るつもりなのだ。
「はいはい、お幸せに。私はもう帰るから。」
すると美咲がまたスカートをつかんで泣きついてきた。
「美月ちゃんも一緒に来てー!」
「だから離してってば! さっきよりパンツ見えてるから!」
親友の恋が完全成就するのは、いつになるだろうか。
仕方ない、それまでは付き合ってあげよう。
END


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