【創作羞恥小説】裸の懺悔

OL


「懺悔……ですか?」

私はWEBライターをしている。
そんな私に、ある日上司が仕事を持ってきた。

「そうそう、”懺悔の塔”っていう廃墟があるらしいんだよ。ちょっと取材に行ってみないか?」

「はあ……行くのは構いませんけど。私、懺悔するようなことなんてありませんよ?」

――まぁ、まったく無いわけじゃない。
でも、そんな大げさな場所で告白するほどのものでもない。

「ほら、ワンナイトラブとか、そういうやつでもいいから。そんなのならあるだろ?」

上司はガハハと下品に笑いながら言ってきた。

「……ワンナイトラブなんて言葉、久しぶりに聞きましたよ。ていうか、それ普通にセクハラですからね?」

とはいえ、旅費は経費で落ちるらしいし、ちょっとした旅行気分で行ってみるのも悪くない。

「ちなみに、その場所って……?」

そう聞くと、上司はパソコンの画面をくるりとこちらに向けてきた。
表示された地図には、森の中にぽつんと建つ一軒家のような建物が映っていた。

「……これ、塔なんですか?ていうか、そもそも本当に行けるんですか?」

「うむ、道はちゃんとある。ただ、森の中には車が入れないから、入り口から歩いてもらうしかないな。」

なるほど、これはなかなか骨が折れそうだ。
夜に行くのは危険なので、近くのホテルで一泊して朝から向かって欲しいとのことだった。

「ちなみに……なんで私なんですか?」

「好きだろ?廃墟。」


当日の昼過ぎ、私は現地に到着した。
森の入り口を覗いてみると、思いのほか道が整備されていて、まるで遊歩道のようになっていた。

「まずはホテルに行ってチェックイン、かな。」

案内された宿は、どう見ても“ホテル”というより“旅館”と呼ぶほうがふさわしい雰囲気だった。
玄関先には、いかにも女将さんといった風情の老婆が立っており、笑顔で出迎えてくれた。

「こんな時期に旅行者なんて珍しいねぇ。」

季節外れのためか、かなり安い金額で泊まれるのはありがたかった。

「はい、森の奥にあるらしい廃墟について、取材で来ました。」

そう伝えると、奥の方からもう一人、別の老人が顔を出した。

「お姉ちゃん、懺悔しに行くのか?……悪いことは言わん。外観の撮影だけにしておきなさい。決して中には入らんように。」

少し不穏な言葉に、私は警戒心を強めた。
もし何かあれば、他の地域に切り替えて取材してもいいとは言われている。

「……あの、危険なんですか?」

恐る恐る尋ねると、老人は静かに首を横に振った。

「いや、道自体は整備されとる。散歩道みたいなもんじゃ。ただな……若い女が一人で中に入ると、妙なことが起こるらしいんだ。」

「妙なこと……?」

何だろう、それは。
老人は少し間を置いてから、ぽつりと続けた。

「ちゃんと、みんな無事に帰ってはきてる。けどな……何かあったことは確かなのに、誰も詳しく話してくれんのよ。」

言いようのない不安が胸に広がる。
けれどその表情は、どこか穏やかで、脅すつもりはなさそうだった。

「まぁ今日は、うちの温泉にでも浸かって英気を養っていきなさい。今夜はジビエ料理もあるから、楽しみにしてていいよ。」

そう言って、老人はにっこり笑った。

「温泉、あるんですか?」

不安は一瞬で吹き飛んだ。
結局のところ、なるようにしかならない。
ちょっと取材して、それからゆっくり温泉に入ろう。
人生初のジビエ料理も、密かに楽しみだ。


今、私は森の中を歩いている。
驚くほど道が整備されていて、本当にただの散歩道のようだった。

事前にいろいろな人に話を聞いたが、やはり共通していたのは
“女性がひとりで建物に入ると、何かが起こる”ということだった。

「……もしかして、こういう話を知ってて、私を指名したのかな?」

取材とはいえ、温泉付きの旅館に泊まらせてくれたあたり、上司の中で“退路を塞ぐ”ような意図があったのかもしれない。
だが──人間というのは、入るなと言われると入りたくなる生き物だ。

まずは外観を見て、それから中の様子を確認しよう。
そんなことを考えているうちに、道がふいに開けた。

そこには、教会ではないが、どこか神秘的な雰囲気を纏った建物があった。

「やっぱり塔ではないよね。……まぁ、ネーミングにこだわる土地でもないし、いいのかな。」

旅館だって“ホテル”だったのだから、この建物を“塔”と呼んでも良いのだろう。

外観の写真を何枚か撮ってから、私は建物の中を覗き込んだ。
ちょうど太陽が真上に差しかかっていたのだろう、
天井から一筋の光が、まるでスポットライトのように中心を照らしていた。

「……綺麗。」

それ以外は、何もない。
ただがらんとした空間に、静けさだけが満ちている。

私は、引き込まれるように建物の中へと足を踏み入れた。
そして、光が差し込むその中心に、立ってみた。

「なるほど……天井に、穴が開いてたのか。」

そのときだった。
背後から──

ガシャーン!

という大きな音が響いた。
慌てて振り返ると、開け放していたはずの扉が閉まっていた。

急いで駆け寄り、扉に手をかける。
けれど、それはまるで外側から鍵をかけられたかのように、びくともしなかった。

「なんで……!? 誰もいなかったよね!?」

がちゃがちゃと扉を揺するが、どうにもならない。
辺りを見渡すと、窓には鉄格子がはまっていた。
完全に閉じ込められてしまったようだ。

天井の穴は開いているが、あんな高さには到底手が届かない。
スマホを取り出してみるが、予想通り──圏外だった。

「さすがにこれは、まずいぞ……。」

事前にあれだけ忠告されていたのに、まさか本当に、こんな形で遭難するとは思っていなかった。

そのとき。
空間に、声が響いた。


「光の下で懺悔をしなさい。」

──声が、空間に響いた。

……懺悔?
あの光の下で懺悔をしたら、ここから出られるということだろうか。

「まずは、その汚れた衣を脱ぎなさい。」

……服を脱げというの?
そうか──なるほど。
“若い女性が一人で中に入ると、何かが起こる”。
誰も詳しく語らなかった理由は、きっとこれだ。

まわりを見渡すと、この廃墟とは思えないほど清潔だった。
埃もほとんどなく、床も磨かれているように見える。
つまり──ここには、定期的に人の手が入っている。

カメラか何かで遠隔監視されていて、誰かが見ているのだろう。
この異様な空間を、冷静に、黙って、観察している人間が。

ただ……

「私を招き入れたことが、失敗だったようね。」

もちろん、裸を見られるのは恥ずかしい。
けれど私はライターだ。
羞恥心よりも、ペンの力の方が強いことを見せつけてやろう。

「……脱ぎますから、少し待ってください。」

私はそう宣言し、覚悟を決めた。


部屋の隅まで移動し、そこで服を脱ぎ始めた。
同時にスマホと、シャツのボタンに仕込んでおいた小型カメラ、そしてボールペン型カメラ──
持ってきた撮影用のカメラをすべてを起動させる。
何か“映る”ことを、期待しながら。

下着姿になり、少し息を整えてから声をかけてみた。

「……脱ぎました。」

返事はすぐに返ってきた。

「すべてを脱ぎなさい。」

……ですよね。
部屋の隅にいる私の姿も、ちゃんと見られているようだ。

私はブラジャーを外した。
先端にひやりとした空気が触れる。
その瞬間、どこかから視線が強くなったような気がした。
気にしすぎだ、と自分に言い聞かせる。

続いて、パンツの端に指をかける。
ここから先はさすがに恥ずかしい。
(……処理が甘くありませんように。)
どうせ見られるなら、見られるで──綺麗でありたいと思ってしまう。
なんとも奇妙な女心だ。

意を決して、パンツをスッと下ろした。
一瞬であまりにも無防備な姿になり、思わず身体が震える。

「……これで文句ないですね?」

胸と股間を隠しながら、もう一度声をかけた。

「では、光の下へ。」

これから、あのスポットライトの下で──
私の全裸が晒されることになる。
さながらストリッパーのように。


裸のまま、私は光の下へ足を踏み入れた。

「そのまま足を開いて、しゃがみ込みなさい。」

懺悔して終わりかと思っていたが、どうやらさらに辱めが続くらしい。
徹底的に恥をかかせ、口をつぐませるつもりなのだろう。

とはいえ──今はここから出ることが第一。
下手に逆らって事態を悪化させるより、従順に従って安全を確保したほうが賢明だ。

私は目を閉じ、胸と股間を手で隠しながら足を開いて腰を落とした。

「では……両手で開きなさい。」

……やっぱり、そうきたか。
だが、これが懺悔とどう関係するのか全くわからない。

少しだけ躊躇すると、声が鋭く飛んだ。

「早く開きなさい。」

(いや、少し落ち着け。私もお前も。)
心の中でそうツッコミを入れる。

深くひとつだけ息を吸って、私は股間を両手でクパッと開いた。
見たいなら見ればいい──そのかわり、あとで絶対仕返しはさせていただきます。
そんな決意を胸の内に抱きながら。

「では足元の器を、聖なる水で満たしなさい。」

聖なる水?
……聖水か。この変態が。

視線を落とすと、足元には深めの器が置かれていた。
こんな状況で出るわけが──と言いたいところだが、
長い距離を歩いてきたせいで、実は結構尿意がたまっている。

「……はぁ。」

深いため息をひとつ吐いてから、私は意を決して水門を開放した。

最初はチョロチョロ……と細い音。
だがすぐに、ジョーッと勢いが増していく。
一度出し始めたら、もう止められない。

私は自分の手で股を開いたまま、見せつけるように排尿した。
羞恥心と共にわき上がる怒りをどうにか静めながら…。

やがて終わりが近づき、ポタ……ポタ……と雫が落ちた。
器は、濁りのない“聖水”で満たされていた。

「……出しましたよ。」

少しぶっきらぼうにそう告げると、すぐ次の指示が降りてきた。

「では、足は開いたまま頭を下げ、器を掲げなさい。」

排尿した中身を“見せろ”というわけだ。
そりゃあ、今までこの廃墟に入った若い女性たちが何も語らなかった理由もわかる。
そんなん、言えるわけがない。

仕方なく、私はM字開脚のまま、こぼさないよう慎重に器を持ち上げた。
スポットライトの下、胸もアソコも隠すことのできない姿勢。
とんでもなく屈辱的なポーズだ。

「では、懺悔を聞こう。」

……しまった。
肝心の“懺悔の内容”なんて、何も考えていなかった。

上司の言っていたワンナイトラブなんて経験もないし、かといって嘘をつくと後が面倒くさそうだ。
どうしようかと考え込んでいると──

「……些細なことでも良いぞ?」

なんだか気を遣われてしまったような口調だった。
恐らく、相手の目的はほとんど終わっていたのであろう。

私は観念して口を開いた。

「えーと……昨日、温泉に入っていたんですが……急な尿意に我慢できなくて、トイレじゃなくて近くの茂みでしてしまいました。……懺悔いたします。」

さっきの排尿に引っぱられている気がしないでもないが……
まぁ、見るのが好きならこういう話も好きなんだろう、うん。
と自分の中で勝手に納得する。

「そ、そうか……。では、神の名において赦そう。」

……なんか、ちょっと引いてない?
それに“神の名”って勝手に名乗って良いの?
あなた絶対ただの人間でしょ。

そんなツッコミを心の中でしていると、背後で──ガチャッと音がした。

どうやら扉の鍵が開けられたようだ。

私は急いで服のある場所へ駆け寄った。
そしてカバンの中からティッシュを取り出し、手早く股間を拭く。
排尿したままの状態は、やはり少し気持ちが悪かった。

拭いたティッシュの処理に困ったが、仕方なくカバンに押し込む。

「ごめんね、帰ったら洗うからね。」

思わずカバンに謝りながら、急いで服を身に着けた。
荷物をまとめ、扉に向かう──が、一旦立ち止まる。

足元にあったあの器。
中に溜まった“聖水”を、このまま放置するのはさすがに気が引けた。

私は器を慎重に持ち上げ、こぼれないよう注意しながら扉へ向かう。
鍵の外れた扉を押し開け、どうにか建物の外へ出ることができた。

そして──器の中身を、近くの茂みに捨てた。

「昨日の温泉に今回の件……なんか、よく茂みに排泄する旅だなぁ。」

そんなことを、しょうもなく思いながら苦笑する。

器は割ってしまおうかとも考えたが、
ここはまだ“あの変態”のテリトリーだ。
下手に刺激するより、自分の安全を確保してから反撃ののろしを上げた方がいい。

私はカバンからペットボトルの水を取り出し、器に流しかけて簡単に洗い流しておいた。
これ以上、変態に変な事されるのは真っ平だ。

私は器をその場所に置き、足早に帰路についた。


会社で自分の痴態が映った動画を確認する気にはなれず、私はそれを持ち帰って、自宅でひとり確認することにした。

再生された映像には、思わぬものが映っていた。

──窓の外に、誰かの影。
さらに、外に仕掛けていたデジカメには、建物の周囲をうろつく人影。
完全に人の手が入った、“女性を辱めるための装置”だった。

私は記事にまとめて公開した。
すると、あっという間に拡散され、言い出せなかった女性たちからの連絡も相次いだ。
その後、警察が動き、複数の関係者が逮捕された。

「いやぁ、よくやってくれたよ。今回の記事は大成功だった!」

上司は大喜びだった。

「ありがとうございます。」

特別ボーナスも支給されることになり、苦労が報われた気がした。

「いやー、でもさ……いきなり服を脱ぎ出すとこから始まったから、何事かと思ったよ。」

……ん?

「スマホの録画をリアルタイムでこっちに配信するなんて、よく考えたね。万が一、映像を消されたとしても、こっちに証拠が残るからさ。」

満足げにうなずきながら語る上司を前に、私は混乱した。

「……あの、配信って、なんですか?」

私がそう返すと、上司の表情が一変した。

「え? 配信したんじゃないの?服を脱ぎ始めたところから、ずっと映ってたよ?」

まさか──
録画ボタンを押したつもりが、配信モードになっていた?
そんなバカなことがあるわけない。
そもそもあそこは圏外のはず。

「え、言ってなかったっけ? 君に渡してるスマホ、録画ボタンをスライドすると衛星に繋がって配信モードになるんだよ。」

そんな説明、聞いてない。
じゃあ──あの一部始終を、会社のみんなに……?

後ろのデスクで仕事をしている他の社員たちの方へ目をやった。
みんな一様に目を逸らした。

「……どこまで、見たんですか?」

「えーと、服を脱いで、おしっこして、懺悔して、股間を拭いて、服を着るとこまで……かな? あはは……」

──つまり、すべて見られていた。

私は黙ってスマホを取り出した。

「よし。通報します。」

「ちょ、ちょっと待って! 保存してた動画は全部消すし、ボーナスも倍にするから!」

「社員全員に見られたんですよ?しかも配信機能の説明なんて一言もなかったですよね?」

ピッピッピと画面をタップする。

「わかった……三倍だ……。三倍出すから……頼む、それで勘弁して……!」


エピローグ

社員全員にパソコンとスマホを提出させた。
案の定、ほとんどの人間が配信動画を保存していた。

驚いたのは──女性社員まで保存していたことだった。
いったい何に使うつもりだったのか…。

動画はすべて消去させたが、そんなもの、完全に消せるはずがない。
もし万が一流出したときは、会社全体で連帯責任を負うという誓約書も取り付けた。
最終的に、全員の同意を得られたし、謝罪もして貰った。

「まぁ……わざわざ流出させる人なんていないと思うけどね。」

そうは思うが、ウイルス感染だとか、不慮の事故だとか……
不安要素はいくらでもある。
とはいえ、もうどうしようもなかった。

私は自分の“痴態”が映った動画を見つめながら、思案に沈む。

「……結構遠くのスマホだったし、着替えと拭いたところ以外は、あんまり見えてないよね。」

少しだけ安心した──が。

「警察に押収された動画は……もっと、えぐいアングルだったりするんだろうな。」

あの建物には、相当な数のカメラが仕込まれていたようだった。
私に親切にしてくれた、あのイケメンの警察官も……
もしかしたら、私の動画を見ていたのかもしれない。

そう考えると、気づけば手が下へと動いていた。

あのときの、自分の姿。
両手でクパッと開いて、放尿していた瞬間……。
もしそれを“誰か”が見ていたのだとしたら──
そして、その姿を見て自慰行為をしていたら…。

想像するだけで、身体の奥が熱くなる。
そして、手の動きも速くなってくる。

「……あっ、はっ……♡」

END


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