男子対女子の缶蹴りが始まった。
男子三人対女子五人。
この差があっても普段は良い勝負をしていた。
ただ、この日は違った。
いつもなら逃げ切れるところを、僕はうっかり転んでしまったのだ。
あえなく捕まってしまう僕。
でも、二人は運動神経がそこそこ良い。
きっとすぐに缶を蹴りに来てくれるだろう。そう思っていた。
「二人は見つかった?」
「全然。見かけてもすぐに逃げられちゃう。」
そう言いながら、戻ってきた女子の手にはロープがあった。
「でもさ、こんな物見つけた。面白そうだし人質はこの木に縛っちゃおうよ。」
流石にルール違反だと抗議するが、多勢に無勢。
僕はあっさりと木に縛り付けられてしまった。
「早く来ないと人質がどうなっても良いのかなー?」
一人の女の子が大きな声で叫ぶ。
しかし、反応はなかった。
ちょっと悩むそぶりを見せたのは、リーダー格の女の子だった。
そして、何かを閃いたように笑顔で叫ぶ。
「早く来ないとズボン脱がしちゃうよー!」
思わず驚く僕。周囲の女の子たちも、きょとんと目を見合わせる。
「ちょっと、そんなこと言って大丈夫?」
「大丈夫大丈夫、冗談だって〜w」
でも、どれだけ待っても助けは来なかった。
「よし、ズボンのチャックを開けちゃおう。」
リーダーの命令に、他の子たちは戸惑いながらも動き出す。
恐る恐る、誰かが僕のチャックを開けた。
「おい、やめろよ!」
僕の声は無視され、ズボンは膝までずり下ろされてしまった。
「あんた、まだブリーフはいてるの?」
鼻で笑う声がした。
普段はボクサーパンツ派なのに、今日に限ってブリーフしかなくて、仕方なくそれを履いていたのだ。
「う、うるさい! 今日たまたまだよ!」
「ふーん。」
女子たちはまったく信じていない様子だった。
「さて、ブリーフ君を助けに来るはずのお仲間はどうなってるのかなぁ?」
まるで悪役のようなセリフを、可愛い笑顔で言われるのはかなりキツい。
「やっぱり助けに来ないね。見捨てられちゃったのかなぁ?」
からかいの笑顔がグサグサ刺さる。
かわいいから余計にだ。
「じゃあ——30秒以内に来なかったら、ブリーフも下ろしちゃおっかな♪」
リーダーが再び叫ぶ。どうしてそんなセリフが恥ずかしくないのだろうか。
羞恥はどんどん限界を超えていく。
30秒が過ぎた。誰も来ない。
「仕方ない、下ろすか。」
「本当に下ろすの…?」
おとなしめの女の子が、頬に手を当てながらそう呟く。
正直、それは僕のセリフだ。
「やめろ! 変態!」
そう叫んでも、誰にも届かない。
リーダーの手が、ブリーフにかかる。
周囲の女の子たちは興味津々のまなざしでこちらを見ていた。
僕は、生きている心地がしなかった。
「せーの…はい!」
ついにブリーフが下げられた。
女の子たちの前に、僕の局部が晒される。
その場に、沈黙が流れた。
おとなしい女の子が、指の隙間からそっと覗いていた。
そして、ぼそりと呟く。
「……弟と一緒だ。」
その瞬間、張りつめていた空気が一気に崩れた。
数秒の沈黙ののち、大笑いが巻き起こる。
「あんたの弟、小学生じゃない!それと一緒って!」
「私も小さいんじゃないかな〜って思ってたよ!」
「わ、笑っちゃ可哀想だよ……ぷぷぷっ!」
もう、言いたい放題だった。
おとなしい女の子は、自分の失言に気づいて慌てて口を押さえ、顔を真っ赤にしている。
それでも笑いは止まらなかった。
「……あはは。」
僕は乾いた笑いしか出なかった。
もしここが男子だけの場所だったら、きっと泣いていたと思う。
一通り笑われたあと、リーダー格の女子が僕の肩をポンと叩いた。
「男はちんこの大きさだけじゃないからな。」
……励まされたのだろうか。
いっそう惨めだった。
「でもさ、お父さんとちょっと形違わない?先っぽ、こんなんじゃなかったような。」
新たな地雷発言。再び女子たちの視線が集まる。
「確かに違うね。どうして?」
なぜ、僕に聞くんだ。
もう抵抗する気も起きず、あきらめて答える。
「皮が被ってるからだろ。小学生の弟だって、こんな形だったろ。」
破れかぶれの暴露だった。
「なるほど〜。まだ脱皮してない子供ってこと?」
「ふふっ、なんかカワイイかも〜」
みんな遠慮がなくなっていた。
缶蹴りなんてとうに忘れて、突発的に始まった“性教育”に夢中だ。
「そうだよ!子供で悪かったな!」
怒鳴るように言ったそのとき——
リーダーの女子が、ニヤリと笑ってこう言った。
「まぁまぁ。良ければ、私が大人にしてあげるから。」
……こいつは、何を言ってるんだ?
正直、戸惑った。
けれど答えを聞く前に、彼女の手が——
僕の先端に、触れた。
触れられた瞬間、ビリッと体を貫くような感覚が走った。
はじめて女の子の手が、そこに触れたという現実。
頭が真っ白になったまま、どうしようもなく反応してしまう。
皮を被ったまま、ぐんぐんと熱を持って膨らんでいく。
視線を感じる。
真っ赤になりながら、でも目を逸らさずに見つめている女の子たち。
リーダー格の彼女ですら、頬を染めていた。
「ちょっと、あんた……何、大きくしてんのよ!」
声だけは強がっているが、その震えに動揺が混じっていた。
「し、仕方ないだろ……触られるなんて、初めてなんだから!」
彼女なんてできたこともない僕にとって、これはもう反射のようなものだった。
「ま、まあ……私も見るの初めてだし。」
「仕方ないよね、思春期だもん。」
「うちの弟もたまに、こう……おっきくして見せにくるよ。」
……弟の話はもういい。
「それにしても、これで人差し指くらい?」
誰かが呟いた瞬間、全員が自分の指を見つめた。
その無言の比較が、何よりも痛かった。
「で、どうやったら元に戻るの?このままじゃ……剥けないよね?」
「時間が経てば、戻るだろ……」
そう答えながらも、羞恥で火照った体は冷める気配がない。
すると突然、別の女子が言い出した。
「なんかさ、こすると元に戻るんだって。隣のクラスの子が言ってたよ。」
——中途半端な知識だが、正解に近い。
「じゃあ、自分でこすって戻しなさいよ。」
「無理に決まってんだろ、縛られてるんだよ!それにもし手が使えてもやらねぇよ!」
少し語気が荒くなったのが気に障ったのか、リーダーがゆっくりと前に出た。
「……わかった。じゃあ、私がやる。」
そう言うなり、彼女の手が僕のちんちんをグッとつかんだ。
「痛っ! もうちょっと優しくしろ!」
「ご、ごめん……」
二度目の接触は、明らかに違っていた。
恐る恐る、けれど確かに、包み込むように触れられている。
「……固いんだね。中に、骨とか入ってるの?」
「入ってたら邪魔すぎるわ……」
他愛もない会話。けれど、その間も指先はそっと動いていた。
ぎこちない。
でも、だからこそリアルで、そして……気持ちよかった。
初めての感覚が、じわじわと波のように押し寄せてくる。
呼吸が荒くなるのを止められなかった。
そして——気づいてしまった。
暑かったのであろう、彼女のシャツが上のボタンまで開いていた。
胸元からちらりと覗く、淡い色の下着。
隙間からもう少しで見えそうな先端。
それだけで、視線が釘付けになった。
視覚と触覚。
二つの刺激が絡まり合って、何かが一気にこみ上げる。
「……も、もれちゃう!」
堪えきれずに叫んだ僕に、彼女は動揺する。
「え? なに? ど、どうしたの?」
でも、もう止まらなかった。
そのまま、波が身体の奥から溢れ出す。
彼女は、咄嗟に身を引いた。
ほんのわずかだが、その反応がなければ確実に——
反射神経の良さに、少しだけ救われた気がした。
「びっくりした……何これ……」
リーダー格の女子が、呆然としたように呟いた。
その手の中では、僕のモノがまだ熱を帯びたまま、硬さを保っていた。
「……それが精液。子供を作るお薬。」
ぽつりと呟いたのは、あのおとなしめの女の子だった。
その冷静な口調に、思わず「こいつ、むっつりだな」と思ってしまった。
「危なかった……。危うく妊娠するとこだった……」
どこか勘違いしている気はするが、いまは突っ込まないでおいた。
「ていうかさ、あんた全然元に戻らないじゃん。」
リーダーが呆れたように言う。
たしかに、普段なら一度出せばすぐに萎えるはずなのに、今日は違った。
状況が状況すぎて、体も心も、まともに戻れなくなっていた。
「次、やってみたい人いる?」
その一言が、容赦なく場を支配した。
——結局、2人ずつ。
順番に僕のそれを触り、確かめ、いじりながら、合計2度、放出させられた。
5人全員に触れられ、搾り取られた僕は、もはや空っぽだった。
ようやく萎え始めたところで、リーダーが最後に言った。
「じゃあ、仕上げに“大人”にしてあげるね。」
にこにこと嬉しそうに言いながら、彼女は皮の先端を優しく握った。
抵抗する気力も、もう残っていなかった。
どうにでもしてくれ——そんな境地だった。
彼女は指で、根元に向かってぐっと皮を動かした。
するり、と音もなく、あっさりと“それ”は剥けた。
自分でも驚くほどのあっけなさ。
そしてそれは、人生で初めて“その状態”を他人の前に晒した瞬間だった。
しかも、女子5人の前で。
——そのときだった。
「カシャッ」
乾いたシャッター音が響いた。
「……え?」
反射的に音の方を見ると、さっきの“おとなしい”子がスマホを構えていた。
「お、おい!カメラはダメだろ!」
「ご、ごめんなさい……つい……。写真は消すから。」
慌てて謝る彼女。
……さすがに、そんな写真が残ったら人生が…終わりはしないが恥ずかしい。
その後、ようやく満足したのか、ウエットティッシュで先を拭かれ、
パンツとズボンを履かされて、事後処理まで整えられた。
けれど頭の中は、ずっとぐるぐるしていた。
——俺、今、とんでもないことされたんじゃないか?
——私たちは今、とんでもないことをしてしまったんじゃないか?
そんな考えがまとまりかけた、その瞬間。
——カーンッ!
乾いた金属音が響いた。
缶が蹴られた音だった。
「缶蹴ったぞー!開放ー……って、あれ?なんで縛られてんの?」
助けに来た男子の声。
思わず全員が振り返り、そして目を逸らす。
もう少し早かったら危なかった…。
女子たちは小声で話し合い、目を合わせる。
「……このことは、ここに置いていこうね。」
リーダーがぽつりと呟くと、みんなはこくりと頷いた。
——僕と彼女たちの秘密は、木陰に残されたまま、静かに幕を下ろした。
エピローグ
今日は……すごいことをしてしまった。
男の子の“ああいうの”を見たのも、触ったのも、生まれて初めてだった。
緊張していたはずなのに、あのときの彼の顔があまりにも恥ずかしそうで——
なんだか、ちょっと可愛く見えてしまったのは内緒だ。
ベッドに転がりながら、その場面を思い出してニヤけてしまう。
すると、スマホが鳴った。
差出人は、あのおとなしい子だった。
いつもはグループチャットばかりで、メールを送ってくるなんて珍しい。
件名:はじめて顔を見せた亀さん
……なにそれ。
思わず苦笑しながら添付ファイルを開いた。
そこにあったのは、たしかに消したはずの“あの時”の写真だった。
「おいおい……」
そう呟きながらも、なぜか指は削除ではなく、保存を選んでしまっていた。
——END


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