【第一話「睡眠」はこちらから↓】
静まり返った個室の中、サロンの女主人は男と向き合っていた。
男は今回、特別な依頼を持ち込んでいた。
女主人は静かに口を開く。
「あなたは──死ぬ覚悟がありますか?」
突然の言葉に、男は思わず目を見開いた。
だが、すぐに真剣な表情で頷く。
「……目的のためなら、死ねます。」
女主人の唇がわずかに歪む。
「ふふ。立派ですね。では……こちらをご覧ください。」
案内された先の部屋には、一人の女性が横たわっていた。
美しい裸体、整った顔立ち。だが、どこか無機質な気配を纏っている。
まるで……人形のように。
「……彼女は?」
「アンドロイドです。正確には、人間の外皮を持った特殊義体、とでも申しましょうか。
これにあなたの意識を一時的に移します。そうすれば、あなたは直接“彼女”を思うままに扱うことが可能です。」
男は息を呑む。
「ただし──」
女主人は表情を崩さないまま続けた。
「まだ実験段階ゆえ、死亡リスクがございます。その上で……料金は500万円先払い。お引き受けになりますか?」
短い沈黙の後、男は力強く頷いた。
「……やります。お願いします!」
女主人の微笑が、さらに深くなる。
「では、ご用意を始めます。」
別の日、女主人が一人の女性と向き合っていた。
エステの常連客である彼女は、今回もいつものコースを受けに来ていたが、女主人が穏やかに切り出した。
「本日は通常コースのご予約でしたが……もしよろしければ、同じお値段でプレミアムコースをお試しになりませんか?」
女性は目を丸くする。
「プレミアムコース……? でも、それって通常のコースの10倍以上のお値段じゃ……」
「もちろん通常ならそうです。ですが、今回は特別に──」
女主人は柔らかな笑みを浮かべる。
「新人スタッフの研修も兼ねておりまして。そのぶんお値段は据え置きでご提供できます。」
女性は少し迷った。
プレミアムコース──ずっと憧れていた特別施術。
普通は桁が一つ違う高額コースだ。それが同じ金額で受けられる機会など、今後もう訪れないかもしれない。
「……でも、研修ですか……?」
「ご安心ください。施術はすべて私の監督のもとで進めます。細部に至るまで責任を持って行いますよ。」
このサロンの女主人自ら施術に関わるとなれば、本来ならさらに0が一つ付いてもおかしくない。
思わず胸が高鳴る。
「──お願いします!」
少し興奮気味に、女性は了承の言葉を口にした。
もちろん、自分が仕掛けられた罠などとは知る由もなかった。
シャワーを浴び終えると、私は案内されるままに豪華な個室へ通された。
目の前に広がるのは、まるで高級ホテルのスイートルームのような広々とした空間。
美しいシャンデリア、柔らかな照明、上質なベッド──その全てが、今の私には場違いに感じられて緊張を高めた。
そんな私の前に、サロンの女主人と、もう一人の可愛らしい女性スタッフが入ってきた。
彼女が今回の“新人スタッフ”らしい。
「本日はプレミアムコースへのご参加、誠にありがとうございます。前半は彼女が担当し、後半は私が直接施術させていただきます。」
女主人自らの施術──それは私にとってまさに憧れだった。
まさか、こんな機会が訪れるなんて。
「……よろしくお願いします!」
高鳴る鼓動を抑えきれず、私は自然と笑顔になっていた。
まずは新人スタッフによるマッサージから始まる。
私は羽織っていたローブを脱ぎ、うつ伏せに横たわった。
背中に温かなオイルが流され、手のひらが優しく滑り出す。
背筋をゆっくりと撫で上げられるたび、筋肉の緊張がほぐれていく。
とても気持ちがいい。けれど──
時折、爪の先でそっとふれるように撫で上げられると、ゾクゾクとした刺激が背筋を駆け上がった。
「……ふふ、敏感ですね。」
新人スタッフの小さな声に少し恥ずかしさを感じつつ、私は微笑んだ。
次第に指先は脇へと滑り込み、柔らかな胸の横を撫でるように通り抜けていく。
わざとではないのだろうけど──わずかにおっぱいに触れられた。
恥ずかしいけれど……これも施術の一環。がまん、がまん。
続いて腰、そして太ももへ。
オイルがたっぷりと塗り広げられ、鼠径部ギリギリまでマッサージされていく。
「……ちょっと、恥ずかしいですね。」
思わず声に出すと、すぐ傍で施術を指示していた女主人が穏やかに微笑んだ。
新人スタッフの手元を時折見守りながら、柔らかな声で説明を加える。
「プレミアムコースは、ありとあらゆる場所を丁寧に磨き上げていきます。皆さま、こうして美しくなられますから。」
その口調は優しく、どこまでも自然で説得力があった。
そう言われると、なんとなく納得してしまう。
みんな、こうして綺麗になっていくのだ──私も、がんばろう。
続いて、太ももから足首、足の指先まで丁寧に揉みほぐされ、足全体がぽかぽかと温かくなる。
「では、少しだけ下着を下げますね。お尻の施術に移ります。」
「あ、はい……」
私は少し驚きながらも、言われるままに身を預けた。
パンツは膝あたりまでゆっくりと下ろされ、完全にお尻が露わになる。
全裸になるわけではないのに、なぜかそれ以上に恥ずかしかった。
たっぷりとオイルが塗られ、柔らかな手のひらが丁寧にお尻を揉み上げていく。
表面だけではなく、下から持ち上げるように、そして丸みの内側へと滑り込むように、指先が動く。
時折、わずかにお尻の割れ目が開かれているような感覚があった。
でも──きっと、気のせい。深読みしすぎかもしれない。
そんな中、女主人が穏やかに声をかける。
「では最後に、お尻を大きく開いてくださいね。色素を落とすクリームを塗らせていただきます。」
「……あ、はい……」
恥ずかしさを堪えながら、私は自分の手で左右のお尻をそっと開いた。
すると女主人がすぐにその隙間へ指を差し入れ、左右にぐっと押し広げる。
肛門までもが完全に露出し、冷たい空気が触れる感覚に自然と身体がこわばった。
その隙間に、新人スタッフがたっぷりとクリームを塗り込んでいく。
肛門の周囲を円を描くように、ゆっくりと、優しく──だが確実に塗り広げられていく。
とろりとした冷たい感触が直に伝わり、思わず身震いした。
「あぅ……」
小さく漏れた自分の声に、更なる羞恥が押し寄せる。
穴の周囲だけでなく、内側にも少しずつ押し込まれていくような感触があり、呼吸が浅くなるのを感じた。
「はい、よくできました。とても綺麗ですよ。」
女主人の穏やかな声が、その恥ずかしさをさらに際立たせた。
「では、仰向けになっていただけますか?」
慌てて私はパンツを引き上げると、仰向けになった。
仰向けになると、自然と両手で胸元を隠してしまっていた。
全くないわけではないけれど、決して自信があるわけでもない。
なにより──少し陥没気味の乳首が、昔からの小さなコンプレックスだった。
そんな私に、女主人が優しく声をかける。
「手を外してくださいね。」
その笑顔に逆らうことができず、私はゆっくりと両腕を離した。
「綺麗な形ですね。隠す必要なんてありませんよ。」
女主人の言葉は、不思議と心にすっと響いてきた。
少し自意識過剰だったかな──そんな気がして、少しだけ気が楽になる。
施術が再開された。
肩から指先が降りてきて、再び脇を撫でられる。
くすぐったさに思わず小さく身をよじる。
そのまま滑るように、手が胸部へと移動していく。
柔らかな乳房を両手でしっかりと包み込み、上下左右へと大きく揉みしだき始めた。
「きゃっ……!」
思わず両腕で再び隠そうとする。
だが女主人は優しく私の腕を取ると、ゆっくりと外していった。
「大丈夫ですよ。これはバストアップの施術ですからね。」
その言葉に、私は再び心を落ち着け、がんばろうと気持ちを切り替えた。
揉まれる手はどこまでも丁寧で、けれどどこか官能的でもあった。
まるで男性に愛撫されているような、少しエッチな感覚が背筋をくすぐる。
でも──これも施術。私はそう自分に言い聞かせた。
「乳首をピンクにする専用クリームを塗らせていただきたいのですが……少々、恥ずかしがり屋さんみたいですね。」
女主人の言葉に顔が熱くなる。
さらに、女主人が続けた。
「ご自分で、出していただけますか?」
「……え?」
恥ずかしさに一瞬固まったが、女主人の柔らかな微笑みに背中を押され、私はおずおずと自分の乳首に指を当てた。
優しく、何度か円を描くように撫でると──ぴょこん、と先端が顔を出した。
「はい、よくできました。とても可愛らしいですね。」
新人スタッフがすぐにクリームを取り、指先で先端にそっと塗り広げていく。
ひんやりとした感触が、じわじわと乳首の奥まで染み込んでいく。
普段は隠され、ほとんど触れられることのない場所──その分、敏感さが際立っていた。
「あぅっ……」
思わず小さく喘ぎが漏れる。
指先は淡いピンク色の乳首を何度もゆっくりとなぞり、円を描くように塗り込み続ける。
クリームが体温でとろりと溶けはじめ、ぬめりを帯びたまま、乳首の先端を優しく転がしていく。
「はぁ……ふぅ……」
その動きはやがて、ゆっくりと摘まむように、上下に軽く擦り上げる刺激へと変わった。
指の腹が乳首の裏側までしっかりと押し込まれ、硬く立った先端を逃がさず、ねっとりと揉み転がしていく。
ぬるぬると滑る指先の感触が、じんわりと乳首の奥にまで響き──
甘く、痺れるような快感が波紋のように広がっていく。
「んっ、あぁ……んぅ……っ」
もう全身の力が抜けそうだった。
乳首だけを集中的に弄ばれているはずなのに、次第に腹の奥が熱を持ち始め、下腹部までじんわりと疼き始める。
「や、だめ……あっ、あっ……!」
そして──
カクン、と一瞬体が跳ねた。
小刻みに震える体が、静かに、しかし確実に絶頂を迎えてしまった。
「はぁ……」
慌てて目を開けて周囲を確認する。
だが女主人も新人スタッフも、何事もなかったように淡々と次の準備に取り掛かっていた。
──良かった。バレていない……。
安堵と羞恥が入り混じったまま、私は荒くなった息を整えていった。
絶頂の余韻にぼんやりしていると、女主人が穏やかに声をかけてきた。
「次は下半身のマッサージに移りますが──少々邪魔になりますので、パンツは脱いでしまいましょうね」
もう、逆らう気力なんて残っていなかった。
私はただ小さく頷くだけだった。
新人スタッフがすぐに私の腰へ手を伸ばし、優しくパンツを下ろしていく。
膝を通り、足首まで脱がされ、ついに完全な全裸になってしまった。
その瞬間、視界の端に薄く糸を引くものが見えた。
──先ほどの施術で、私がどれほど濡れてしまっていたのかが、はっきりとわかってしまった。
新人スタッフはそのままパンツをそっと折りたたみ、ポケットに入れた……ような気がした。
でも──きっと気のせいだ。考えないようにしよう。
新人スタッフは私の足元に移動し、再び太もものマッサージに入っていく。
温かなオイルがたっぷりと塗られ、じんわりと気持ちよさが広がっていく。
また足首、足の指先まで丁寧に揉みほぐされ、ぽかぽかと全身が緩んでいく。
「では、陰部のマッサージに入りますね。」
「えっ……?」
唐突な言葉に、思考が追いつかなかった。
『いんぶ?』──今の私のぼんやりした頭では、何を言われているのか理解できなかった。
だが次の瞬間、全身が一気に覚醒した。
新人スタッフの指先が、私の秘部に直接触れ、ゆっくりと左右に開き始めていたのだ。
「あ、あのっ……!」
驚く私に、女主人が優しく微笑んで言葉を重ねる。
「女性はここから美しくなっていくのですよ。」
ふっくらとした柔らかな割れ目が、ゆっくりと左右に開かれていく。
左右に張り出した外側のひだが、まるで花びらがゆっくりと咲いていくように、じわじわと剥き出しになっていった。
指先が外側の柔らかな皮膚をそっと撫で、ゆるやかに揉み解していく。
そこにオイルがたっぷりと垂らされ、ぬめりを帯びた感触が生々しく伝わる。
ぬるり、ぬるり──そのたびに粘膜同士がわずかに吸いつき、ねちっと小さな音さえ聞こえそうだった。
じわじわと内側へと滑り込む指先。
小陰唇の奥、普段は閉ざされている秘所が、丁寧に撫で広げられていく。
ひだの一枚一枚まで逃さず、指先がねっとりと絡み、形を整えていくようだった。
「あ、ふぅっ……んぅ……」
甘く漏れる声が止められない。
下腹部が熱を帯び、秘部全体がじんわりと脈打っているのを感じた。
さらに──
「んっ……あああっ……!」
ぐい、と左右へ強く開かれる感覚が走る。
一番恥ずかしい中心部──その突起が、完全に剥き出しにされてしまった。
空気が直接触れた瞬間、ビクッと腰が跳ね上がる。
そこへ──
「失礼しますね。」
女主人が静かに声をかけ、たっぷりのクリームを垂らしていく。
冷たくぬめる感触が、一番敏感な突起を直接包み込み、ゆっくりと円を描くように塗り広げられていく。
柔らかな指先が、先端を摘み上げるようにして、上下に優しく揉み転がしていく。
「や、だめぇ……っ、あっ……! ああっ……!」
ぬるぬると滑る指が、敏感な突起を逃がさずねっとりと愛撫し続ける。
くちゅ、くちゅ、と淫靡な音が小さく室内に響き、羞恥と快感が一気に高まっていった。
「ふぁ……あっ……ん、んんぅぅ……!」
腹の奥から熱い波が込み上げ──
カクンと全身が震え、甘い痺れに包まれながら──
私はまたも絶頂に達してしまった。
「──お疲れ様でした。下半身の施術はこれで終了です。」
女主人の穏やかな声が聞こえた。
施術が終わった安心感と、恥ずかしさが入り混じったまま、私は小さく尋ねた。
「みんな……こんなこと、やってるんですか……?」
「ええ、皆様同じように施術させていただいております。ただ──」
女主人は柔らかな微笑みを浮かべたまま続けた。
「お客様は少々敏感なようですね。初めてでしたから、もう少し軽めのマッサージから入った方が良かったかもしれません。」
またしても顔が熱くなる。
恥ずかしくて何も言えず、ただ小さくうなずくだけだった。
ここからは女主人が直接施術を担当した。
先ほどまでの刺激的なマッサージが嘘のように、穏やかで心地よい本来のエステが進んでいく。
全身が軽く、美しく整えられていくのを感じた。
──すべてが終わり、私はジャグジーへと案内された。
温かな泡に包まれ、スペシャルドリンクを飲みながらぼんやりと天井を見上げる。
最初は恥ずかしい思いもしたけれど、こんな天国があったなんて──
「また、来たいな……」
そんな思いが自然と湧き上がるのだった。
エピローグ
気がつくと、目の前に女主人が立っていた。
優雅な微笑みを浮かべ、ゆっくりと声をかける。
「──いかがでした?」
男はゆっくりと息を吐き、満足げに答えた。
「……期待以上だった。あの女をこの手で辱められたからな。」
「彼女とのご関係は──」
女主人が一歩踏み込もうとするが、すぐに小さく微笑んで続けた。
「いえ、プライベートなお話は、なさらない方がよろしいですね。」
だが男は平然と首を振った。
「かまわんよ。あいつは俺を裏切って、別の男と付き合いやがった。」
「──浮気されたのですか?」
男はわずかに鼻で笑った。
「いや──あいつはいつも電車で俺の横に立っていた。たまに目も合った。完全に俺に惚れていたはずだ。だから許さない。」
「……おやおや。」
女主人の微笑みは崩れないまま、わずかに目を細めるだけだった。
男は満足しきった表情で、そろそろ部屋を出ようと身を翻す。
だが、その背に女主人が静かに声をかけた。
「──アンドロイドのポケットの中の物、忘れずに。」
「……ああ。」
男は振り返ると、先ほどまで横たわっていたアンドロイドのポケットに手を伸ばす。
そこには、脱がされたままの彼女のパンツがそっとしまわれていた。
男はそれを戦利品のように手に取り、嬉しそうにスーツの内ポケットへとしまい込んだ。
女主人はその背中を静かに見送りながら、小さく呟く。
「──結果的にあなたは、五百万円かけて彼女を美しくしただけなのかもしれませんね。」
誰にも聞こえない小さな声で、意味深に微笑んだ──
【第三話「混浴」はこちらから↓】




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