【創作羞恥小説】悪徳エステ ~金と欲望の美学~ 第六話『マッサージ』

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「なるほど、お子様の授業参観に行ったときに一目惚れしたと。」

「恥ずかしながら…。」

また特殊な案件だ。
なぜ男はこうも下半身中心に物事を考えるのか。

「私には家庭がある。彼女をマッサージしてあげたいだけなんだ。不倫をしたいわけではない。」

「ご安心ください。お金さえ頂ければ、今回の案件は可能です。」

またアンドロイドに意識を移せば済む話だ。

「できれば、私自身が直接マッサージしたいのです。彼女と対話しながら。」

女主人の眉がピクリと動く。

「当店が男子禁制ということは、ご存じですよね?」
「重々承知です。だからこそ、あなたにお願いしているのです。」

また面倒な案件を持ち込まれた。

「わかりました。少々お時間を頂きたい。そして料金は二倍です。よろしいでしょうか?」
「この手で直接マッサージできるのならば、いくらでも待ちます。」

……腕の良いマッサージ師として有名な彼。
いざというときのため、弱みを握っておくのも悪くない。

「では、連絡をお待ちください。」


三ヶ月ほど経った頃、ようやく連絡が入った。

――相変わらず、男を拒む建物だな。

そう思いながら、指定された裏口から足を踏み入れる。
中に入ると、助手の女が無言で迎え、部屋まで案内してくれた。

この女がアンドロイドだなんて、誰が信じるだろうか。

「なあ、今度、君の体をマッサージさせてくれないか?」

「是非お願いします。」

冗談なのか本気なのか、判別しづらい絶妙なトーンだった。

そんなやりとりを経て、女主人のいる部屋へと通された。

「お久しぶりです。まだ情熱はお持ちですか?」

にこやかに微笑みながら、女主人はそう問いかけてくる。

「はい、待ち焦がれていました。まさに一日千秋とはこのことかと、身をもって知りました。」

「ふふ、それは何より。では、まずはこちらのお着替えをどうぞ。」

手渡されたのは、女主人や助手たちが着ているのと同じデザインの制服だった。
ただし、彼女たちはスカートなのに対し、渡されたのはパンツスタイル。

「スカートもありますよ。」

笑みを浮かべて、女主人が軽口を叩く。

「いや、これで大丈夫です。」

そう言って、その場でさっと着替える。
ぴたりと体に合っていた。――一体いつの間にサイズを測ったのか。思わず、背筋に薄ら寒さが走る。

「これからあなたは、女性のマッサージ師です。」

意味が分からず、一瞬まばたきをする。

「簡単に言えば、彼女には催眠術がかけられています。しっかり効かせるために、少々お時間を頂いていました。」

……なるほど。そんなことまで、可能なのか。

部屋に入ると、彼女はソファに腰かけ、雑誌を読んでいた。

「お待たせしました、山口様。」

女主人が深々とお辞儀をする。慌てて、俺も同じように頭を下げた。

「本日はマッサージコースということで、彼女が担当させていただきます。」

そう言って、女主人が俺の方へ手を差し向ける。

彼女は雑誌を閉じて立ち上がり、笑顔で言った。

「よろしくお願いします。」

「よろしくお願いします。」

俺も返すが――本当に、女に見えているのだろうか。

「…あの、私、かなり体がバキバキでして……女性のマッサージさんでも大丈夫でしょうか?」

彼女が不安そうに尋ねてくる。

俺を“女性のマッサージ師”として疑っていないようだ。

「はい、お任せください。」

俺は、作り笑いにならないよう気をつけながら、彼女にそう返した。


マッサージを始める前に、まずは軽く問診を行うことにした。

首、背中、腰、脚――どうやら全身が痛むらしい。

「運動不足ですね。」

つい、本音が口をついて出てしまった。

彼女は図星だったようで、少し肩をすくめて俯いた。
なんとなく、目がうるうるしているように見える。

――こういうところが、かわいいんだよな。

「マッサージじゃ、どうにもなりませんか…?」

不安げにそう尋ねてくる。

「いえ、大丈夫です。お任せください。必要でしたら、簡単な運動メニューも組めますよ?」

その言葉に、彼女の目がぱっと輝いた。

「お願いします!」

――そうだ。このまっすぐな熱量に、惚れてしまったんだった。

そんなことを思いながら、俺は施術へと移っていった。


さて――催眠とはいえ、急に目覚める可能性があるという。
特に痛覚が引き金になることがあるらしい。

最初は慎重に、丁寧に進めるのが無難だろう。

……その前に、ひとつ確認を入れておく必要がある。

「今回の施術、記録として撮影させていただいてもかまいませんか?」

「はい、問題ありません。」

即答だった。

早速、準備していたカメラを回し始める。
記録という名目だが、実際には“確認”の意味合いが強い。

「では質問にお答えください。お名前と職業は?」

「山口菜々子です。教師をやっております。」

「現在、彼氏はいらっしゃいますか?」

「今はいません。」

「性交渉の経験はありますか?」

「……はい。」

あっさりと答えた。

「経験人数は?」

「……1人です。」

少し意外だった。
もっと経験豊富だと勝手に思い込んでいたのかもしれない。

――お堅い学生生活だったのだろうか。

「ではマッサージを始めますが……服が少々邪魔ですね。脱いでしまいましょうか?」

「はい。」

返事と同時に、彼女はためらいも見せず脱ぎ、すべてをきれいに畳んで横のカゴへ入れた。
動作に無駄がない。

「……あの、下着は?」

「今はそのままで結構です。」

まずは視線で全体を確認する。
上下お揃いの、レースが縁取られた可愛らしい下着。
色味も淡く、主張しすぎないが――その中に収められたものは、なかなかに存在感があった。

服の上からではわからなかったが、思った以上に立派なバストだ。

「失礼ですが、カップ数は?」

「Fカップです。」

「……なるほど。肩こりの大きな原因は、きっとそれですね。」

そう言いながら、まずは首から肩を丁寧にほぐしていく。
強張った筋肉が少しずつ弛んでいく感覚が指先に伝わる。

「あ……あぁ……。」

小さな吐息が漏れる。
反応に敏感なタイプのようだ。

「声は我慢しなくて大丈夫ですよ。自然に出るものですから。」

「……はい、ありがとうございます……。」

返事の声もかすかに震えている。
肩から鎖骨のラインへと手を移し、そのままバストのマッサージに入る。
下着越しとはいえ、手のひらに伝わる感触は明確だった。

やわらかく、温かく、弾力がある。
しっかりと肉質があるのに、手のひらの中で形が変わるほど柔らかい。

こんなにも胸元に触れることが自然に許される状況が存在するのか――
その事実に、思わず感覚が研ぎ澄まされていく。

「……あの、やっぱり……おっぱい揉まないとダメですか?」

「ええ、肩こりや姿勢のバランスに大きく影響しますから。
 よろしければ、ブラジャーを外して、直接マッサージしましょう。」

「……わかりました。」

一瞬だけ迷うような間を挟み、彼女は静かにホックを外すと、ブラを取り外しカゴへ置いた。

胸元があらわになる。
視線はそらさず、だがあくまで施術者としての手つきでオイルを馴染ませていく。

指先をすべらせながら、外側から円を描くように圧をかけていく。
谷間から脇へ、そして下から支えるように。
中心部に近づくにつれ、肌が微かに震えているように見えた。

そして――すでに、先端は硬くなっていた。
その先端を扱くようにマッサージしていった。
そのたびに体がピクッピクッっと反応している。

「気持ちいいですか?」

「……!? あ、はい……気持ちいいでしゅ……っ。」

声がわずかに上ずっていた。
思わず噛んでしまったその声に、素の彼女が垣間見える。

「では、もう少し続けますね。」

そう声をかけると、彼女は小さくうなずき、身を預けてきた。
その柔らかさと反応を、心ゆくまで堪能しながら――俺は施術を続けた。

しばらくの間、両手で彼女のバストを包み込むようにしながら、深層部のコリを探っていく。
ただ柔らかいだけではない。中にしっかりとした張りがあり、指に力を込めれば、その抵抗がちゃんと返ってくる。

胸の下、脇、上部へと指を移動させながら、まるで筋膜リリースのように押し流していく。

「んっ……あ……ぁ……。」

息の混ざった声が何度も漏れる。
思わず口元を押さえかけるが、催眠のせいか、指は浮いたまま止まるだけだった。

先端にも意識的に圧をかける。
ただ摘むのではない。螺旋を描くように、指先で“流す”。

「ひゃっ……ぅぅ……。」

反応が、どんどん素直になってきている。

「大丈夫ですか? 気分が悪いとか、そういうことはありませんか?」

「い、いえ……すごく……いいです……。」

顔は紅潮し、耳の先まで赤くなっている。
おそらく、彼女の中には羞恥という感情がある。だが、それ以上に**“女性にしてもらっている”**という自己認識が、すべてを許している。

――この不思議な均衡。
破ってしまえば催眠が解けるかもしれない。
でも、このギリギリの綱渡りこそが、この施術の醍醐味なのだろう。

「では、仰向けになってください。」

「……っ、はい。」

少し緊張したような声色で、彼女はゆっくりと身体を回転させる。
バストが自然に横へ流れる。オイルの照り返しで、形の変化がより生々しく映った。

「少し、腹部と鼠径部も流していきますね。」

「そ、そこもですか……?」

「リンパの流れには非常に重要なポイントです。ご安心ください。」

鼠径部。つまりは脚の付け根――
彼女が一瞬、脚を閉じかけるが、すぐに緩めた。
拒んでいるのではない。むしろ、どう振る舞って良いのか迷っているようにも見える。

指先で、そっと下腹部の脇から撫でるようにして圧をかけていく。
内腿のきわ、パンツのゴムに触れないぎりぎりの位置まで。

「んっ……ぅく……あっ……。」

声がまた、上擦る。

「苦しくないですか?」

「は、はい……少し……へんな感じが……でも……イヤじゃ、ないです……」

あくまで施術である。
そう、これはマッサージなのだ。
ただし――この空間の中では、その線引きすら曖昧になっていく。

「パンツがオイルで汚れてしまうと良くないですね。脱いでしまいましょうか?」

「えっ……パンツも脱ぐんですか?」

彼女は目を丸くしてこちらを見た。
声には戸惑いが滲んでいたが、それでも“完全な拒絶”ではなかった。

「はい。我々が脱がすことはできませんので、お客様ご自身でお脱ぎください。もちろん、抵抗があれば無理にとは申しません。」

少しだけ視線が揺れた。
迷いがあったのは確かだが、それ以上に彼女の中には“信頼”と“納得”が芽生えていたのかもしれない。

「……わかりました。あの……あまり、見ないでくださいね?」

ふだんなら「はい」と答えるところだ。
だが今回は――建前を含め、踏み込んでみる。

「申し訳ありません。施術の都合上、視診による確認が必要になります。
 必要であれば、リンパの集中する部位における皮膚や粘膜の状態も見させていただくことがありますが……よろしいですか?」

「……はい、お願いします……。」

ごく小さな声だったが、確かに同意は得られた。

彼女は静かに、パンツに指をかける。
そのまま脚を持ち上げて、慎重に膝から足元へと引き下ろしていった。

まるで濡れた羽衣を剥ぐかのように――滑らかに、しかし確かに露わになっていく肌。
彼女は下着をそっとカゴに入れたあと、うつ伏せの体勢から、ゆっくりと仰向けになった。

脚を揃えたままでは施術が難しい。

「脚を軽く開いてください。無理のない範囲で結構です。」

「……こ、こうですか?」

ぎこちなく、太ももがわずかに開いた。
その間から見えるものは――はっきりと“見せつける”類のものではない。だが、確かにそこに“女性の柔らかさ”が存在していた。
そして、自己主張するように大きめのクリトリスが顔を見せていた。

羞恥と信頼が綱引きしている。
その揺らぎが、空気に伝わってくる。

「では、鼠径部の施術に入りますね。」

オイルを手に取り、温めたあと、内もものラインへ指をすべらせていく。
脚の付け根、太ももの内側。敏感な箇所を避けるように、しかしギリギリをなぞるように。

「ふぁ……っ……んぅ……。」

呼吸が浅くなる。

「大丈夫です。無理はしません。リラックスしてください。」

「……だいじょうぶ……です……。」

声はかすれていたが、震えの中にはどこか甘さが含まれていた。
粘膜には触れていない。だが、その周囲の温度、柔らかさ、肌の反応――
すべてが、“ここに触れている”という事実を強調していた。

……この状態でも、彼女の中では“女同士”という認識は揺らいでいないようだ。

「リンパの流れは良好です。少し刺激に過敏な箇所があるようなので、軽めに仕上げておきますね。」

「はい……お願いします……。」

彼女は静かに目を閉じた。
その頬は紅潮し、身体はわずかにこわばっていたが――そのまま、すべてを委ねてきていた。

鼠径部のリンパを流し終えると、彼女は息を吐くように脱力した。

しかし――それで終わりではなかった。

「……あの……」

ぽつりと彼女が口を開いた。顔は真っ赤だ。
だが、その視線には決意のようなものが宿っていた。

「……もうちょっとだけ、続けてくれませんか……?」

「……どのあたりを、でしょうか?」

とぼけるわけにもいかず、穏やかに問い返す。

「……その……さっき、触れてたところ……」

指で、自身の下腹部を示す。
その動きには確かな恥じらいがあったが、それ以上に、身体がそれを求めていることを彼女自身が認めていた。

……ここまできて、断る方が不自然だ。

「……わかりました。少しだけ、調整していきますね。」

オイルを追加し、再び脚の付け根へと指を這わせる。
もう“リンパの流れ”という言い訳すら、成り立たないことは理解している。
だが彼女は、すべてを受け入れる体勢だった。

「んっ……んあ……はぁっ……!」

快感の波が、声に混ざって漏れる。
表情は蕩け、体は震え、何かが臨界点に近づいていることがはっきりと伝わってくる。

「……っ、あ、ああっ……お願い……も、もうちょっと……!」

指先に力を込める。
触れる面積を広げ、中心を逃がすように優しく、しかし的確に撫でていく。

そして――

「い、いく……っ……あああぁっ……!」

全身が痙攣するように跳ねた、その瞬間――彼女の瞳が開いた。
視線が宙をさまよい、何かを思い出しかけているようだった。

(……まずい)

その気配を察して、俺は無言で部屋を出た。
ドアが静かに閉まる――と、同時に入れ替わりで入った人がいた。。

助手だ。
無表情のまま入室し、何事もなかったかのように施術台の横へと立った。

彼女は体を起こしかけていたが、助手を見ると、ほんの少し安心したように目を細めた。

「……あれ……?」

「お疲れさまでした。施術はすべて完了しました。」

柔らかいが抑揚の少ない声。そのまま、淡々とタオルをかける動作を見せる。
菜々子の視線が一瞬だけ泳ぐが、すぐに落ち着きを取り戻していた。

「……なんか、ちょっと……ぼーっとして……」

「深いリラクゼーション状態でした。正常な反応です。」

「……そうですか……」

そこへ、女主人がふらりと入室する。
落ち着いた笑みを浮かべ、ベッドの傍に立つ。

「お疲れさまでした、菜々子さん。しっかり受けていただけたようですね。」

「はい……すごく、スッキリしました……。」

女主人は微笑をたたえたまま、助手に目配せする。
助手は無言で一礼し、その場を離れた。

そのやり取りを、菜々子はなんの疑問も抱かずに眺めていた。


「どうでしたか? 直接施術した感想は。」

「最高でした。ただ……職業病なんでしょうね。彼女の体を癒してあげたい気持ちが、どんどん強くなっていました。」

ふたりで軽く笑い合う。

「今回のようなセクハラまがいをせず、純粋に患者として受け入れるというのなら、彼女をあなたの診療所に紹介いたしますよ?」

「それはありがたい。ぜひ、お願いします。それと……これを彼女に渡してください。」

「これは?」

「運動メニューです。さすがに男の字のまま渡すわけにもいかないので、誰かに清書してもらってください。」

そう言って紙を渡す。
女主人はそれを受け取り、目を通した。

かなりしっかりとしたメニューが組まれている。
しかも、普段運動しない人でも無理なく続けられるよう、丁寧に構成されていた。

「わかりました。」

そのメモは助手に手渡された。

「……きっと、彼女も喜ぶと思います。」

 

──後日。

診療所に、彼女は現れた。

「こちらの診療所だと、私の体をほぐしてもらえると聞きました。」

まさか、本当に紹介してくれるとは思っていなかった。

「息子がお世話になっております。」

「高橋君のお父様ですよね? よかった、知らない男性に触られるのは、少し抵抗があったんです。」

そう言って、彼女はまぶしい笑顔を見せた。

……これは、変なことはできないな。

 

それ以来、少しずつ女性のお客さんが増えていった。
どうやら女主人が、手に負えないほど凝り固まった客を、こちらに“流している”らしい。

「ありがたいけど……ほどほどにしてくれよ……。」

今日も、診療所は満室だった。

 ──END


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