「卒業記念に、作品を作ろうと思うの。」
もうすぐ卒業を迎える私たち4人を集めて、部長がそんなことを言い出した。
「急に何?また変なこと思いついたの?」
私たちは、ちょっと呆れ気味だ。
昔からこの人は、私たちを無理やり巻き込んでは、あれこれ面倒ごとに引っ張り込んできた。
けれど、嫌いじゃない。むしろ大好きな人だ。みんなに頼られていて、信頼される素敵な人だと思う。
「美術部で今年卒業するのって、私を含めて5人でしょ?最後に、何か学校に残しておきたいと思わない?」
その気持ちは、すごくわかる。私たちも、卒業を前に何か形に残るものを作りたいとは思っていた。
でも、いったい何を作るつもりなんだろう――恐る恐る尋ねてみる。
「あのさ、具体的には……何を作ろうとしてるの?」
部長はニヤリと笑って、得意げに言った。
「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれました!私たちの卒業記念に、“生命の入り口”を学校に贈ろうと思います!」
……わからない。
誰もが一瞬、思考を停止した。何を言っているのか、本気で理解できなかった。
そんな私たちの表情を見ながら、部長はさらりと言い放った。
「シンプルに言えば、“おマンコ”をプレートにして、芸術作品として学校に寄贈するのよ。」
あっけにとられる私たち。
……どう考えても、学校がそんなものを受け取るとは思えない。
でも、部長は本気だった。
一人着々と、準備を進めていた――。
部長は、左右にくぼみのあるバケツのようなものを抱えてきた。
「……それ、なに?」
思わず純粋な興味で尋ねると、部長は嬉しそうに口を開いた。
「よくぞ聞いてくれました!これが、座るだけで型取りできる君です!」
また、変なことを言い出した。
「つまりね、この中にアルジネートを流し込んで、左右のくぼみに足を入れてしゃがむの。そうすると、あら不思議!そのまま型が取れちゃうってワケ。」
見事などや顔だった。本当に、うまくいくのだろうか――。
「まずは言い出しっぺの私からやるね。みんなも準備しないといけないし。」
「準備って……?」
問い返すと、部長はためらいもなくスカートをまくり上げた。
そこには、毛の一本もない、つるりとしたおまたが露わになっていた。
「毛はね、アルジネートに持ってかれちゃうから。みんなも、きれいに剃っておいてね。」
はじめて他人のそれを見てしまった私たちは、遠慮という言葉を忘れて、無言でじっと見入ってしまった。
流石に恥ずかしくなったのか、部長はスカートをバッと下ろした。
「……同性でも、そんなじっくり見られたら恥ずかしいよ……。」
正直、かわいいと思ってしまった。
そして、そんな部長の型取りが、いま始まろうとしていた――。
誰からものぞかれないように、カーテンをしっかり閉め、ドアには鍵をかけた。
準備が整ったところで、部長が「型取りできる君」にまたがる。
かなり両脚を大きく開かなければならないらしく、その姿勢は…なんというか、かなり開放的だった。
(アレじゃ、パックリ開いちゃうな……)
内心そんなことを思ってしまった。
そのままの体勢で、アルジネートを静かに流し込んでいく。
「よし、部長として先陣を切るぞ。」
ぼそっと呟いたかと思えば、そのまま勢いよくしゃがみ込んだ。
「冷たっ!」
今は冬。水で溶いたアルジネートは、想像以上に冷たかったはずだ。
「冷たいよ〜……。あと、思いのほか恥ずかしいよ〜……」
そりゃそうだ。
正面からは見えないとはいえ、うら若き乙女が、大股を開いてしゃがみ込んでいるのだ。
姿勢的には、まるでおまるにまたがっているような感覚に近いのかもしれない。
それでも私たちは、なぜか自然と声を揃えて部長を応援していた。
自分たちもこれから同じことをやるという事実を――一時だけ、忘れたふりをして。
時間になり、いよいよ型を剥がすことになった。
けれど、長時間大股を広げてしゃがんでいたせいで、部長は自力では立ち上がれないようだった。
「ごめんね……足が動かなくて、一人じゃ立てなくなっちゃった。」
申し訳なさそうに笑う部長を、二人がかりでゆっくりと立たせる。私は「型取りできる君」を押さえる役にまわった。
「ゆっくりね!ほんと、ゆっくり……!」
部長の声は、ほんの少し震えていた。足がしびれているようで、動きも慎重だ。
彼女が少しずつ立ち上がっていく中、私は――視線を外すことができなかった。
アルジネートの中から、ぺりぺり、と音を立てて剥がれていく部長の秘部。
その途中、小陰唇の端がわずかに張りついたまま、引っ張られるように少しだけ伸び……最後の瞬間、大陰唇にふわりと戻っていった。
(……これは、相当恥ずかしいんじゃないだろうか)
恐る恐る部長の顔を見ると、彼女の頬は真っ赤になっていた。
あの堂々とした部長が、こんなにも赤くなるなんて。
――なんだか、少しときめいてしまったのは内緒だ。
私は、レズではないので。
「型取りできる君」の中を覗き込んでみると、アルジネートはしっかりと固まっていた。
凹型になったそれに、私たちは用意しておいた石膏を静かに流し込んでいく。
白い液体がゆっくりと型の隅々まで広がっていく様子を見つめながら、固まるのを静かに待った。
その間、部長はというと、なぜかずっと落ち着かない様子だった。
「……なんか、まだくっついてる気がする。変な感じ。気持ち悪い。」
スカートの上から、そっと股間に手をやって、もぞもぞと何かを確かめている。
おそらく、アルジネートの細かい残りや粘着感が気になっているのだろう。
私は思わず視線を逸らしつつ、心の中で考えていた。
(もし私が男だったら……今の部長を見て、きっと興奮してただろうな)
そんなことを考えながら、白く固まっていく石膏を無言で見つめ続けた。
ついに石膏が完全に固まり、型から外す時がやってきた。
「ゆっくり、丁寧にね。もう一回やるのは絶対イヤだから。」
部長がそう念を押すと、私たちは緊張しながら、慎重に型を外していった。
少しずつ姿を現していく部長の大事な部分――その立体像。
そして、ついにその全貌が目の前に現れた。
「おお……すごいリアル……。」
「これが……部長の……。」
「足、めっちゃ開いてたから……口、完全に開いてるよね。」
「ビラビラがこんなにはっきり……ちょっとエッチだ……。」
「上見て、クリトリスもばっちりじゃん。てか、ちょっと大きめ?」
「真ん中に指当てたら、飲み込まれそう……」
「あ、お尻の穴もシワまでくっきり……。」
誰もが遠慮という言葉を忘れ、目の前の作品に群がる。
触れて、眺めて、批評して――それはもう、部長の女性器そのものを鑑賞し、評価している状態だった。
その空気に耐えきれなくなったのか、部長は石膏の女性器を抱きかかえるように奪い取ると、真っ赤な顔で叫んだ。
「そんなに見ないでよ!……お前たちもやるんだからな!絶対、批評してやるんだから!」
その目は、本気だった。
その日は解散となり、私は家でお風呂に浸かりながら、ぼんやりと考えていた。
「明日は……私たちも、あれをやるのか……」
正直、恥ずかしい。
みんなの前で、私の――まだ誰にも見せたことのない場所をさらけ出すことになる。
考えれば考えるほど、胸の奥がザワザワして、落ち着かなくなった。
そのとき、頭の中に部長の言葉がよみがえる。
『下の毛は剃ってこいよ!ツルツルだぞ!あと、私のおマメはそんなに大きくないからな!』
……最後の一言はともかく、全剃りは必須のようだ。
私のアンダーヘアは、発育が少し遅くて、生えそろったのもつい最近のことだった。
だからこそ、ちょっとだけ――ほんの少しだけ、名残惜しい。
けれど、部長だけが恥ずかしい思いをして、私たちが逃げるなんて……そんなこと、できない。
私は湯船から上がると、そっと石けんを泡立てて、陰毛へと手を伸ばした。
「……さよなら、私のアンダーヘアー。」
静かな夜に、泡のはじける音だけが、静かに響いていた。
翌日、部活に行ってみると、部室には4個の「型取りできる君」がずらりと並んでいた。
とはいえ、さすがに4人同時にというのは難しく、結局は2人ずつ行うことになった。
最初のペアは、私と柚木ちゃん。
緊張が高まる中、部長が手を腰に当てて、いつもの調子で言った。
「2人とも、ちゃんと剃ってきたかな? 確認するよ?」
そう言いながら、私たちのスカートをぴらりと捲って、ツルツルのおまたかを確認する。
「うん、大丈夫そうだね。毛が残ってると、本当、剥がすとき痛かったりするからね。じゃ、始めようか。」
緊張と羞恥が入り混じる中、私たちは「型取りできる君」にまたがり、部長と同じように大きく足を開いて、そっとしゃがみ込んだ。
股間がひんやりとした型に触れた瞬間――
「ぴえっ!」
隣から、柚木ちゃんの妙な声が漏れた。
……よっぽど冷たかったのだろう。
私はなんとか声は抑えたものの、その冷たさと、足を広げたままの恥ずかしい姿勢に、どうしようもなく心拍数が上がっていく。
(これを一人でやってのけた部長って……本当にすごいな)
思わずそんなことを考えてしまうほど、部長への尊敬の気持ちが湧いていた。
そして私は、冷たさと羞恥に耐えながら、型が固まるのをじっと待つのだった。
石膏が固まり、いよいよ剥がす時間がやってきた。
まずは、私の番だ。
型を取っていない残りの2人が私の体を支え、部長が型をしっかり押さえてくれることになった。
「昨日さ、剥がすとこ、じっくり見てたでしょ?めっちゃ恥ずかしかったんだからね。」
部長はニヤリと笑う。その顔に、ちょっとだけ意地悪な気配があった。
これは、確実に恥ずかしい――そう思った瞬間、私は2人にぐいっと持ち上げられた。
部長は型をしっかりと両手で支え、その瞬間を今か今かと待ち構えている。
そして、案の定だった。
私の小陰唇も、部長と同じように、アルジネートにぺったりと張りつき、ゆっくりと引っ張られながら……最後には、ぺろん、と戻った。
(とんでもなく恥ずかしい!……部長、ごめんなさい……!)
心の中でそう叫びながら、私はただただ耐えるしかなかった。
私と柚木ちゃんの型が無事に外され、続いて型に石膏が流し込まれる。
その間に、残る2人も順番に「型取りできる君」にまたがって、型取りを済ませた。
そしてついに――5つの女性器の石膏が完成した。
なぜかその瞬間、みんなで自然と拍手をしていた。
「やっぱり、みんな形違うね。」
「私のビラ、ちょっとはみ出してて……恥ずかしいな……。」
「でもあれだけ大股開いたら、全員はみ出してるでしょ。」
「比べると、やっぱり部長のクリ……」
「私のは大きくない!普通だってば!」
そんな和やかで、ちょっと恥ずかしい感想会は、しばらくのあいだ続いていた。
5つ並んだ石膏のプレート。
このままでは、さすがに学校が受け取ってくれるわけがない。
それ以前に、見つかれば退学になる可能性すらあった。
「で、これ……どうするの?」
私が尋ねると、部長は少しも動じることなく答えた。
「うん。とりあえず、中心のおマンコの部分はそのまま。で、周りを装飾していくよ。」
つまり、核心部分には手を加えず、周囲を凝った装飾で隠す――ぱっと見には分からないように、でもそこに確実に“それ”がある作品にするつもりらしい。
「美術部の集大成だよ。絶対にバレないように。でも、その中には生命の神秘が詰まってる。それが大事なんだよ。」
なるほど、と思った。
……でも、本当にうまくいくのだろうか?
そう考えながらも、私たちは冬休みを費やして装飾作業に没頭した。
型の周囲にパーツを付け、レリーフや模様を重ね、何層にも色を塗っていく。
時には互いの作品を見せ合い、角度やライティングまで細かく確認した。
私たち以外には絶対に分からないように。
でも、私たちには確実にそこに“それ”があると分かるように。
やがて、作品は芸術の装いをまとい始めた。
最後にコーティングを施し、ついに――5枚のプレートは、堂々たるアート作品として完成を迎えた。
「よし、完成ね。あとはこれを寄贈して、受け取ってもらうだけ。」
冷静になって考えると――
なんで私たちの性器を、学校に渡さなきゃいけないんだっけ?
そんな疑問も一瞬よぎったけど、まあいいか、という結論になった。
羞恥心よりも、この作品を誰かに見てもらいたい気持ちの方が、ずっと大きかった。
──後日。
私たちは時間をもらい、完成したプレートを校長に直接手渡した。
校長は一枚一枚じっくりと眺め、感動したように大きくうなずいた。
「素晴らしい作品じゃないか!これはぜひ、校門の横に貼って、みんなに見てもらおう!」
……こうして、私たち五人の女性器は“芸術作品”として、校門の横に堂々と飾られることとなったのであった。
誰にも性器とは気付かれずに。
エピローグ
私が卒業して、数年が経った。
今では私も社会人になり、忙しい日々を送っている。
そんなある日、ふと母校の前を通りかかった。
校門の横には、かつて私たちが寄贈した5枚のプレートが、今も変わらず掲げられていた。
聞いた話では、校長のお気に入りで、日々誰かが磨いてくれているらしい。
ちょうどその日も、男子生徒2人が熱心に拭き掃除をしていた。
「なあ……このプレート掃除してると、なんか変な気持ちになるんだよな。」
「わかる。こないだなんて…勃起しちゃってさ…。」
「……俺たち、ヘンかもしれない。」
そんな会話が耳に入り、不意に下腹部がキュッとする感覚があった。
――真実を教えてあげたい。
「よく見てごらん。それ、実は……私たちの“おマンコ”なんだよ。」
でももちろん、そんなことは言えるわけがない。
私はその場を静かに離れた。
その夜、部長からメッセージが届いた。
『じゃーん。あのときの型が出てきたよ〜。どうしようかな〜♡』
……急いで取り戻さないと、面倒なことになりそうな予感がした。
私は、かつての仲間たちにメッセージを送った。
「今週末、部長の家に集合。例のブツ、回収に行くよ。」
こうして、私たちの“同窓会”が、静かに幕を開けた。
END


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