高熱が出てしまった。
めまいがする寒気がする喉が痛い関節が痛い頭痛が…痛い。
そんなしょうもないことを考えるだけでも、頭にズキズキと響く。
「ごめんね。お母さん、仕事があるから出かけちゃうけど、何かあったら電話してね。」
共働きだし、それは仕方ない。
というより、休もうとしていた母を「大丈夫だから」と送り出したのは僕だ。
昨日も休ませてしまい、これ以上迷惑をかけたくなかった。
「夕方に、夏芽ちゃんが様子を見に来てくれるみたいだから。よろしくね。」
夏芽……ねえちゃん。
近所に住む、昔からよく面倒を見てくれているお姉ちゃんだ。
“お姉ちゃん”といっても、2歳上なだけなんだけど。
「わかったー……。」
かすれた声で、なんとか返事をした。
母は心配そうな顔をしながら、家を出ていった。
僕は自由だ。
──なんてことはなく、ただおとなしく寝るだけだった。
ふと目が覚めた。
目の前に、かわいらしい顔があった。
「大丈夫? うなされてたから、心配しちゃったよ。」
夏芽ねえちゃんだ。
わざわざお見舞いに来てくれたなんて、ありがたい。
「おばさんから“やってほしいことリスト”もらってるから、安心してね。」
そう言いながら、手に一枚の紙を持っていた。
……なんだか、少し嫌な予感がする。
「まずは、体温を測ろうか。」
手にした体温計を見せると、僕のパジャマのボタンを外し、そっと脇に挟んできた。
「38度か。まだ高いねー。」
体温計の表示を見て、ねえちゃんが眉をひそめる。
そして手元のメモを見直すと、
「ちょっと用意してくるから、横になって待っててね。」
そう言い残して、部屋を出ていった。
何をされるのか、何も言ってくれなかった。
少し……怖い。
洗面器とタオルを持って、夏芽ねえちゃんが部屋に戻ってきた。
「一昨日からお風呂に入ってないんだって?体、拭いてあげるからね。」
……いやいや、さすがにそれは恥ずかしい。
「大丈夫、自分でやれるから。」
なんとかそう言って起き上がろうとしたけど、その瞬間、目の前がグラッと揺れた。めまいだ。
「ほら〜。お姉ちゃんが拭いてあげるから、おとなしくしてなさい。」
もう、抵抗する力も残っていなかった。
なすがままに、パジャマの上を脱がされてしまう。
「昔よりずいぶんがっちりしてきたね。」
そんなことを言いながら、温かいタオルで体を拭いていく。
脇を拭かれたとき──
「あら、ここにも毛が生えてるのね。ずいぶん大人になって。」
いちいち解説してくるのが、なんとも恥ずかしい。
正面から背中まで、丁寧に上半身を拭いてくれた。
「じゃ、次は下ね。」
……は? 下?
さすがに、それはまずいでしょ。
「いや、はずかしいし……!」
出ない声で、なんとか抵抗を試みた。
でも、そんなことお構いなしに、ズボンをスルリと脱がされてしまう。
気がつけば、パンツ一枚の姿になっていた。
「足だって汗かくんだから。ちゃんと拭かないとね。」
……ああ、足か。
変なところを拭かれるのかと、思ってしまった。
太ももから足先まで、指の間も丁寧にタオルで拭いてくれる。
正直、気持ちよかった。
足を拭き終えた夏芽ねえちゃんが、メモを見ながら一言。
「パンツも脱いじゃうか。」
抵抗むなしく、パンツを脱がされてしまった。
「うん、まだまだ子どもなんだから。お姉さんに任せなさい。」
股間をじっと見つめながら、そんなことを言われる。
何気ない一言なのかもしれないが、さすがにショックだった。
「……あはは。」
死にそうな愛想笑いを浮かべると、ねえちゃんはハッとした顔を見せた。
「違うからね!毛が生えてないなーとか、先っぽが閉じてるなーとか、そんなこと思ってないから!」
……全然フォローになっていない。
「さ、早く拭いちゃいましょう!」
無理やり話題を進めようとするが、今の僕にはそれを止める力もない。
ただ横たわるしかなかった。
ねえちゃんは僕のそれをつまみ、丁寧にタオルで拭きはじめた。
「あ、よく見たら産毛が生えてきてるね。大人だね。」
楽しそうな声。
お姉ちゃんは、本当に恥ずかしくないのだろうか……。
竿、玉、そして肛門まで、ためらいなく丁寧に拭かれていく。
羞恥と高熱のせいで、体がどんどん火照っていくようだった。
やっと終わった、そう思ったとき。
ねえちゃんはまだ手を離さず、じっと見つめている。
「ねえ、これって……剥けるの?」
「剥けません。」
すねたように返す。もう、どうにでもなれという気持ちだった。
「も~、怒らないでよ。じゃあ、お姉ちゃんが剥いて……大人にしてあげるね。」
その言葉とともに、彼女の指がそっと動いた。
慎重に、優しく。まるで包帯を外すような手つきだった。
「……あ。」
ねえちゃんが少しだけ眉をひそめた。
「ちょっと汚れがついてるかも。ごめんね、痛くしないように拭くから。」
タオルをぬるま湯で湿らせ、そっと撫でるように拭いていく。
冷たくも熱くもない指先が、やさしく敏感な部分に触れるたび、羞恥が増していった。
「ちょっと匂いもあるけど、これは普通のことだよ。誰でもこうなるから、気にしないでね。」
明るく言いながら、ねえちゃんはさらに言葉を続けた。
「……これからは、ちゃんと剥いて洗ってね。そうしないと、汚れもたまるし、ばい菌が入ったら大変だよ?」
保健の先生みたいに真面目な口調だったけれど、顔はどこか照れているようにも見えた。
彼女の手が最後の拭き取りを終えるまで、僕はただ黙って天井を見つめていた。
一通り、拭き終わった。
けれど──まだ終わらないようだった。
剥けたそれをじっと見つめながら、ねえちゃんがぽつりと口を開く。
「あのさ、こんなに触られても……大きくならないの?」
……何を言い出すんだ、この人は。
確かに、拭かれているときは妙に気持ちよくもあった。
けれど、高熱のせいで体力も反応も鈍っていて、そんな状態には到底なれなかった。
「……!?」
ねえちゃんが突然、何かを閃いたような表情をした。
嫌な予感が、体温とは別の意味で背中を走る。
「もしかして……高熱でおちんちん死んじゃった? そういう話、聞いたことあるよ!」
いや、多分違う。
高熱で精子が死ぬみたいな話は聞いたことはあるけど、それと立たないのは別問題なはずだ。…多分。
僕の顔を心配そうに覗き込むねえちゃん。
「ちょっと、確かめてみるから──目、つぶっててね。」
そう言って、そっと顔にタオルを掛けられた。
も、もしかして──お姉ちゃん、手で扱いてくれる……?
そんなことを、頭の中で期待してしまっていた。
もちろん、自分でなら何度も経験はある。
でも、他人に、それも夏芽お姉ちゃんに……なんて。
「じゃ、いくよ? 絶対に見ちゃダメだからね。見たら絶交だからね。」
タオル越しにそう言われた次の瞬間、僕のそこは何か温かく、ぬるっとしたものに包まれた。
……手じゃない。初めての感覚だった。
先端から裏筋、そして竿全体へとゆっくり包まれていく。
熱と羞恥と混乱で、もう思考が追いつかない。
「うあ……」
声が漏れた。
止めようとしても、身体のほうが勝手に反応して大きくなってしまう。
この時点で止めても良いはずなのに快感は続く。
ピチャピチャと水音のような音が響き、さらに刺激が重なって──
「……でちゃう……!」
自分でも驚くほどの感覚とともに、何かが弾けた。
呼吸も浅く、意識も遠く、すべてが霞んでいく。
今までに出した事ないくらい大量に出した気がする。
ぬるぬるとしたものが、最後まで離れず、
どこかで「ちゅぽん」という音がして、やっと開放された。
夏芽ねえちゃんが洗面所へ走っていく気配を感じた。
でも──僕はもう、そこで意識を手放していた。
目が覚めて、ガバッと上体を起こした。
……とんでもない夢を見た気がする。
まさか、夏芽ねえちゃんに──。
そんな現実味のない記憶に混乱しながら、ふと枕元に目をやると、小さなメモが置いてあった。
「眠っているようなので、帰ります。
冷蔵庫にゼリー入れておいたので食べてね。
夏芽」
やっぱり、夢だったのか。
あの夏芽ねえちゃんが、そんなことするはずないよね。
……ちょっと残念だけど。
熱も、さっきよりずっと落ち着いている。
額に触れてみると、汗もひいていて、呼吸も楽だ。
きっと明日には、もう完全に治ってる。
そう思ったら、少しだけ、寂しさのような、名残惜しさのような気持ちが胸に残った。
「夏芽ねえちゃんに……会いたかったな。」
ぽつりと呟きながら、汗ばんだ身体が気になり、ゆっくりとシャワーへ向かった。
熱は下がっていても、身体のだるさはまだ少し残っている。
服を脱ごうとしたとき──
「あれ……?」
パンツが、前後逆になっていた。
どうやら、かなりひどい熱の状態だったらしい。
苦笑いを浮かべながら、それをそっと洗濯機に放り込んだ。
エピローグ
「夏芽ちゃんが風邪引いちゃったみたいなの。この間のお礼もかねて、これ持って行ってくれない?」
母から、ゼリーとスポーツドリンクの入った袋を手渡された。
「玄関で夏芽ちゃんのお母さんに渡してくれれば良いからね。」
なるほど、おばさんが出てくるなら、無理に会わなくてもいいか。
……ちょっと残念だけど、弱ってる姿はあまり見たくないし、見せたくもないもんね。
そう思いながら、夏芽ねえちゃんの家に着いた。
チャイムを鳴らす──しかし、反応がない。
あれ? おばさんがいるはずなのに。
もう一度、押してみる。
もしかして、出かけちゃったのかな……。
だとすると迷惑か。一度帰ろう。
そう思った瞬間──
ガチャッと、ドアが開いた。
マスクに冷えピタ姿の、夏芽ねえちゃんだった。
「あれ、どうしたの……?」
マスク越しに伝わる笑顔とかすれた声で、弱々しく尋ねてくる。
事情を説明して袋を手渡し、早々に帰ろうとしたそのとき──
突然、夏芽ねえちゃんが抱きついてきた。
「なっ……!?」
驚く間もなく、彼女の体に触れて気づく。
体が熱い。
どうやら意識が朦朧としているらしい。
熱に浮かされた体からは、汗とほんのり甘い女性特有の匂いが漂ってくる。
その一瞬で、僕の下半身は反応してしまった。
……けれど、そんな彼女に何かできるわけもない。
どうにかして、夏芽ねえちゃんを部屋のベッドまで運び、そっと寝かせる。
「お大事に。」
そう言って部屋を出ようとしたとき、背中越しに声がかかった。
「ねえ……この間、体拭いてあげたんだから。今度は、私の体を拭いてよ。」
END


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