最近、クラスの男子たちの間で奇妙なブームが起きていた。
どうやらトランクスが流行っているらしい。
きっかけはどうやらクラスの中心人物の××君。
彼がたまたまゲームセンターで取れた商品がキャラ物のトランクスだったらしい。
その快適さを熱弁しているうちに一人、また一人とトランクス派が増えて今ではクラスの男子全員がトランクス派らしい。
私は、その噂を友達から聞いて、なんとなく気にはしていた。
「ブリーフよりぶらぶらして気持ちいいんだって!」
──男子がそんな会話をしているのを耳にしたとき、私は思わず顔が熱くなってしまった。
女の子の前でも男の子たちはそんなことを平気で話すのだ。
そんなある日、体育の授業で事件は起こった。
短パンの裾から、ふと何かがちらりと覗いたのだ。目を疑った。けれど、すぐに理解してしまった。
放課後、友達に打ち明けると──
「やっぱり出てるよね!私も見た!」
まるで合図だったかのように、女子の間で密かな盛り上がりが始まった。
「今日は誰が出てた?」
「◯◯くん、結構大きかったよ」
「△△くんは皮がちょっと…いやだいぶ余ってたかも」
「□□くん、面白いところにホクロあったよね?」
「××くんはうちの弟より小さかった」
最初は小さな好奇心だった。
だが、いつしかそれは収集活動へと発展していった。体育の授業は観察の場と化し、女子たちは自然と協力しながら情報を蓄積していった。
「これ、まとめておこうよ」
絵が得意なミカちゃんの提案で、一冊の図鑑が作られ始めた。
男子全員分の特徴が、イラストと簡単なメモで整理され、誰もがスマホで見られるよう共有された。
そして──
次第に情報は整理され、サイズ順のランキングまで作られていった。
「今のところ、1位は……」
「いや、でも最近△△くんも成長してるかもよ?」
「最下位は…やっぱり××くんか。体は大きいのにね。」
冗談混じりの囁き声が、休み時間の女子たちの間で飛び交っていた。
もちろん男子たちは、そんな秘密の遊びに全く気付いていなかった。
それが、妙な優越感と甘い背徳感を生み出していた。
──けれどある日、ついに担任の佐藤先生(もちろん女性)の耳に入ってしまった。
「…ちょっと、これ……」
放課後の教室で集められた女子たち。
佐藤先生の手には、『ちんちん図鑑』の原本があった。
「さすがに、これはダメよ。本当なら大問題になりかねないから今回は見逃すけど……スマホのデータは全部消しなさい。」
泣く泣く先生の確認の元、スマホのデータを削除した。
そして原本は先生が回収することでその場は収まった。
──その夜。
自宅に持ち帰った原本を開いた佐藤先生は、静かにページをめくっていく。
細かく描かれたイラストと特徴のメモ、そしてランキング表が整然と並んでいた。
(…こんなに詳しく…、しかも、こんな子まで…)
読み進めるたび、胸の奥がざわざわと波打った。
「……全く、もう……明日からどんな顔して授業すればいいのよ。」
呟きながらも、最後までページを捲る手は止まらなかった。
もちろん女子たちの手元にはたまたま休んでいた友達のスマホに残されたバックアップが存在しており、翌日にはあっさり復元されていた。
「今度から、もっと慎重にやらないとね」
「先生には絶対にバレないように!」
「今日は新しいデータ、1件追加で~す!」
こうして今日もまた、図鑑は静かにアップデートされ続けている。
【たまたま図鑑を見てしまった男子編はこちら↓】



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