【創作羞恥小説】真冬のウラオモテ


朝、階段を降りリビングに向かおうとしたら、今から登校するであろう妹とかち合った。

「おはよう。」

俺の朝の挨拶に対し、妹の真冬は一瞥をくれただけで不機嫌さを隠そうともせず家を出て行った。
バタン、と閉まるドアの音。
一体、いつからこうなってしまったのだろうか。

重いため息を吐き出しながら、俺はリビングへと足を踏み入れる。

「お兄ちゃん、おはよう。」

キッチンでは、母がいつも通り俺の朝食を準備していた。
俺と真冬の冷え切った関係について、母は特に何も言わない。
おそらくは「思春期特有の反抗期」か何かだと思っているのだろう。
それは半分正解で、半分は間違いだ。

朝から憂鬱さを感じながら、用意された食事を口に運ぶ。
その時だった。

「あ!」

母の小さく鋭い声が響いた。
顔を上げると、そこには可愛らしい布に包まれた弁当箱を手に、困り果てた様子の母が立っていた。

「真冬ちゃん、お弁当忘れてるわ……」

真冬は俺と同じ高校に通う一年生だ。
部活動がある彼女は、引退済みの三年生である俺よりも少し早く家を出る。
……そして、続く言葉は聞かずとも予想がついた。

「お兄ちゃんごめんね。学校へ行くついでに、真冬ちゃんに届けてくれない?」

母は朝からパートのシフトが入っている。
学校へ寄り道する時間はない。
……真冬のクラスに行くとものすごく不機嫌になるんだよな。
正直、行きたくはない。

しかし、空腹のまま午後の授業を受けるのは酷だろう。

「……わかったよ。」

睨まれるのはいつものことだ。
自分にそう言い聞かせ、俺は母からそのかわいらしい弁当袋を受け取った。

ずっしりと手に伝わる重みが、これからの受難を予感させる。
はぁ、と今日二度目のため息をついて、俺は登校の準備を始めた。


登校し、一階にある一年生のフロアへと足を運ぶ。
目的のクラスの前に差しかかったところで、見知った顔に呼び止められた。

「あれ?お兄さん、おはようございます。今日はどうしたんですか?」

何度か家に来たことのある、真冬の友人の千尋ちゃんだ。

「ああ、おはよう。真冬が弁当を忘れてね。」

手に持った可愛らしい巾着袋を見せると、彼女は納得したように頷いた。

「そうなんですか。真冬ちゃん呼んできますね!」

「あ、いや……」

わざわざ呼び出さずとも、代わりに渡してくれれば済む話だったのだが、彼女は快活に教室の中へと駆けていってしまった。
仕方なく入り口付近で待っていると、教室内で友人と談笑する真冬の姿が視界に入った。

楽しそうに、無邪気な笑顔で笑っている。
あんな顔を見るのは、一体いつ以来だろうか。

ふと、千尋ちゃんがこちらを指差した。
真冬と俺の目が合う。その瞬間、彼女の表情から温度が消えた。
氷が張るような冷たい顔。
そのまま、俺の方へと足早に歩み寄ってくる。

「……私のクラスにまで来ないでって言ったでしょ。」

低い声で吐き捨てると、彼女は俺の手から弁当をひったくるように奪い取った。
その様子を見ていた千尋ちゃんが、「また始まった」と言いたげにやれやれと首を振っている。
いつものことだ。分かってはいる。
けれど、少し心にダメージを負いながら俺は自分の教室へと戻った。


その日の夜も、家庭内には重苦しい沈黙が流れていた。
リビングにいても真冬は俺を睨みつけるばかりで、一言も言葉を交わそうとしない。

夕食の席、彼女は母とは親しげに会話を交わすのに、俺の事は無視している。
母が気を使って俺に話を振ってくれても、会話はすぐに終了しまう。

母もまた、妹の友人と同じように困ったような、諦めたような溜息をつく。
……結局、俺が悪いのだろう。

「ごちそうさま。」

いたたまれなさに耐えかね、俺は食べ終えた食器を流しまで運ぶと、逃げるように自分の部屋へ引きこもった。
重い扉を閉め、深いため息を一つ。

勉強机に向かい、参考書を開く。
一心不乱にペンを動かすこの無機質な時間だけが、ざわつく心を落ち着かせてくれる唯一の救いなのかもしれない。

だが、その平穏な逃避行も唐突に終わりを告げる。
深夜十二時を過ぎ、両親の寝静まった頃――「それ」は始まる。

コン、コン。

控えめなノックの音が響く。
……今日もか。
俺は扉の前にいる人に聞こえないよう、一つため息を吐き出した。

ドアを開けると、そこにはパジャマ姿の妹が立っていた。
昼間の冷徹な視線はそのままに、相変わらず不機嫌そうに俺を睨みつけている。
ただ弁当を届けただけで、この仕打ちだ。
鉛を飲んだように心が沈んでいく。

親に気づかれるわけにはいかない。俺は無言で彼女を部屋に招き入れた。


ドアが閉まった瞬間、真冬は俺の襟首を乱暴に掴んだ。
そのままの勢いで、俺はベッドへと押し倒される。
抵抗できないわけではない。
ただ、もはや抵抗する気力が湧かないだけだった。

のしかかってきた真冬が、口を開く。

「今日、ちーちゃんと話してたよね?」

ちーちゃんとは、朝、教室の前で会った妹の友人の千尋ちゃんのことだ。
やはりそのことが気にくわなかったのだろう。

「クラスに来るなとも、私の友達としゃべるなとも言ったよね?」

俺の首筋に細い指を這わせながら、真冬は低く囁く。
あまりにも理不尽だと思う。
真冬は、俺が自分以外の女性と接触することを極端に嫌う。
それもこれも……。

「罰は受けてもらうよ?」

真冬の冷たい宣告と共に、シャツが剥ぎ取られた。
抵抗を捨てた俺の肌に、夜の冷気が触れる。

彼女は、俺の胸元に爪を立てた。
カリカリと、焦らすように突起を刺激していく。
……悔しいことに、繰り返されるこの行為のせいで、そこはいつの間にか敏感な性感帯へと変えられていた。

「……っ、く……」

俺が掠れた声を漏らすたび、真冬の険しかった表情が、わずかに和らぐ。
硬くなったそこを確認するように見つめると、彼女はゆっくりと舌を這わせた。
何度、こうして舐められただろうか。

真冬の舌は、粘りつくような感触を残しながら、ゆっくりと下腹部へと向かっていく。
まるで這いずるナメクジのように。
ヘソのあたりまで辿り着くと、彼女は一度顔を上げ、無言のまま俺のズボンと下着に手をかけた。

いつも通りの流れだ。
ここまでされても俺は無抵抗を通す。

――これは、きっと俺への罰なのだ。
俺はただ、妹の執着に身を委ねるしかなかった。


抵抗する間もなく、下半身が夜の空気にさらけ出される。
真冬は、そこにある俺の無防備な部分を、値踏みするようにじっと見下ろした。

「相変わらず、勃起しても剥けない……情けないおちんちんね。」

初めてその言葉を投げかけられた時は、あまりの屈辱に目の前が暗くなった。
だが、今は違う。その冷酷な言葉が耳に届いた瞬間、股間の拍動が一段と強くなる。
俺の心は、真冬の手によって、修復不可能なほどに歪められてしまったのだろう。

乳首への愛撫で既に硬くなっていたそれは、彼女に直接見られ、なじられることによって、いよいよ最高潮にまで膨張する。
そんな無様な俺を見て、真冬は鼻で笑った。

「妹にこんなこと言われて興奮するなんて、本当に変態ね。……気持ち悪い。」

そう吐き捨てると同時、彼女はそれをギュッと握りしめた。
加減のない強い力。
本来なら痛みが勝るはずなのに、俺の脳はそれを「甘美な刺激」として変換してしまう。

苦痛と快楽に顔を歪める俺を見て、真冬は心底から軽蔑しきったような表情を浮かべた。
そして――あろうことか、俺のそこへ、ペッと唾を吐きかけた。

男としての尊厳を泥靴で踏みにじるような、最低の行為。
頭では「ありえない」と絶望しているのに、下半身はまるで極上の餌を与えられたかのように歓喜し、跳ねる。

そのまま、真冬の無機質な「手コキ」が始まった。
指の間で唾液と先走りが混ざり合い、グチュグチュという淫らな音が静かな部屋に響き渡る。
視覚的な屈辱と、機械的な摩擦。限界はすぐに訪れた。

「真冬……もう……っ」

俺の情けない懇願を聞き、彼女は短く、冷ややかなため息をつく。

「短小包茎で早漏……。あなたに、男としての価値なんてあるの?」

真冬の手の動きが加速した。
逃げ場のない快楽が渦を巻き、視界が白く明滅する。

「……うっ!」

あえなく、真冬の手の中に熱いものが吐き出された。
手のひらを汚され、心底嫌そうに顔をしかめる真冬。
その「自分を嫌悪する妹の表情」に、俺はこれ以上ないほどの絶頂を感じていた。


真冬は汚れた手を、ゴミを拭くかのように俺の胸元になすりつけた。

「……汚い。」

ぼそりと零された独り言。
俺の身体は、彼女にとって汚れた手を拭う雑巾に過ぎない。
だが、まだ終わりではないことを俺は知っている。
俺の罪は、たった一度の射精で許されるほど軽くはないのだ。
それを誰よりも理解している下半身は、萎えるどころか、さらに猛々しくそそり立っている。

「……ここは素直なのに。」

一瞬、真冬が寂しげな表情を見せた気がした。
しかし、それは幻だったかのように、彼女はすぐに冷徹な「罰を下す者」の顔に戻る。
そして、無理やり包皮を剥き下げた。

「ぐっ……!」

鋭い痛みが走る。
けれど「優しくしてくれ」なんて口が裂けても言えない。
そんな甘えは、さらなる罪を重ねるだけだ。

「本当に、汚らわしい。」

嫌悪を露わにしながら、彼女は剥き出しになったそこを舐め始めた。
言葉と行動のあまりの乖離。
真冬自身も、俺と同じように壊れてしまっているのではないか……そんな疑念が浮かぶが、考える間もなかった。

ピチャピチャと、湿った音を立てて這い回る舌。
やがて彼女はそれを、まるごと口内に含んだ。生暖かく柔らかな粘膜の感触。
何度も繰り返される「儀式」によって、彼女は俺の弱点を完璧に把握している。
裏筋をなぞり、亀頭を執拗に吸い上げるプロのような手際に、抗う術などあるはずもない。

一度出したはずなのに、すぐに沸点へと到達する。

「で、出るから……口を離して……っ!」

俺の情けない懇願など、彼女に耳には届かない。
そのまま、真冬の口内へと二度目の精をぶちまけた。

「くあっ……!」

情けない声を上げ、びゅっびゅと脈打つ。
射精が終わっても真冬は口を離さず、チューッと最後の一滴まで吸い尽くした。
そして――ゴクリ、と喉が鳴る。

真冬は俺を射抜くような目で見つめたまま、すっと立ち上がった。

「私に、こんな汚いものを飲ませるなんて……」

飲んだのは自分の意志であるはずなのに、理不尽な言葉を投げつけながら、彼女は出したばかりのそこを足の裏でグッと踏みつけた。

「……っ!」

あまりの不条理。
だが、踏みしだかれる痛みが、二度出したばかりのそこを再び硬直させる。

「男の大事なところを踏まれて喜ぶなんて。……最低の変態ね。」

蔑みの言葉と共に、足裏に力がこめられる。
ぐりぐりと踏みにじられ、蹂躙される。
手や口による愛撫よりも快楽そのものは劣るはずなのに、どうしようもなく精神が昂ぶっていく。
屈辱に歪む自分の顔を、真冬は愉悦の表情で見下ろしていた。

「何その顔。気持ちいいの?」

彼女の足裏が、俺の溢れ出させた分泌液で汚れていく。
その汚れを潤滑剤にして、彼女は足の指を絡め、ぬるぬると扱きあげた。

三度目の限界が近づく。

「足でイッちゃうなんて、そんな恥ずかしいこと、しないよね?」

口角を上げながら真冬は言うが、目は笑っていない。
その徹底的に見下す瞳に、俺の興奮は極限まで突き抜けた。

「出る……っ!」

身体が大きく跳ね、真冬の足の裏をさらに白く汚していく。
彼女は吐き出された液体を、竿になすりつけるように踏み続けた。

グチュグチュという淫らな音が響く。
俺はただ、彼女が満足して足を離すまで、ぬかるみの中で悶え続けることしかできなかった。


三度の絶頂の果て、真冬はやっと満足したのか、汚れた足の裏をこちらへ向けた。
俺はあらかじめ用意していたタオルでそれを拭い、ウェットティッシュで指の隙間まで丁寧に清める。

いつものことだ。真冬の足を綺麗に磨き上げて初めて、この「儀式」は一段落を迎える。
全てが終わると、彼女は「もういいよ」と短く言い、顎で廊下を指した。
シャワーを浴びてこい、という合図だ。
俺は着替えを手に取り、言われるがままに浴室へと向かった。

熱いシャワーを浴びながら、俺は今日の「罪」を数える。

一つ目は、千尋ちゃんと話した罰。
二つ目は、真冬のクラスに行った罰。
そして、三つ目は――真冬を拒絶した罰。

一年ほど前まで、俺たちは誰もが羨むほど仲の良い兄妹だった。
俺に懐き、どこへ行くにも後ろをついてきた真冬。
当然、俺も彼女を心から可愛がっていた。
だが、それはあくまで家族としての愛情だった。

しかし、真冬は違った。
彼女は俺を、一人の「男」として愛していたのだ。

一年前、真冬は俺にその想いを告白した。
俺はそれを拒絶した。血の繋がった兄妹として、そんなことはあり得ないのだと。
兄として正しい道を示したはずだった。
間違ったことはしていないと、今でも思っている。はずなのに……。

その日から、真冬の愛情は急激に反転し、どす黒い憎悪へと変質した。
昼間は冷徹に俺を無視し、夜は罪を償わせるために俺の部屋を訪れる。
当初はもちろん必死に抵抗した。
だが、真冬は躊躇なく自分の服を脱ぎ捨て、「お兄ちゃんに襲われたと叫ぶよ?」と俺を脅したのだ。

その脅迫に屈し、心は疲弊し、いつしか俺は彼女のなすがままにされる道を選んでしまった。

こんな関係が許されるはずがない。
いつか破綻することも分かっている。
だが、今の俺にはもうどうすることも出来なかった。

浴室の鏡に映る自分の顔は、情けないほどに憔悴し、それでいてどこか満たされたような、醜い色を帯びていた。


エピローグ

浴室から部屋に戻ると、真冬は俺のベッドで安らかな寝息を立てていた。
本日何度目か分からない深いため息をついた。

布団をめくると、真冬は全裸だった。
床を見れば、脱ぎ捨てられたパジャマと下着が無造作に散らばっている。
いつも通りのことだった。
……もしかしたら、彼女は俺が「一線を越えて襲いかかってくること」を待っているのかもしれない。

この異常な夜が始まってから、もう一年。
俺はもはや慣れた手つきでパジャマを拾い上げ、当たり前のように彼女の隣に潜り込む。

眠っている真冬の横顔を覗き込むと、彼女は決まって涙を流している。
そして、うなされるように微かな声で呟くのだ。

「アイシテル」「ユルサナイ」

真冬の心の中では、今も一枚のコインが高速で回り続けているのだろう。
表と裏。愛と憎しみ。
光を反射してキラキラと、あるいはドロドロと、終わりなく回転しながら……。

明け方になれば、真冬は音もなく俺の部屋を抜け出していく。
そして、俺がリビングへ向かうタイミングを見計らって家を出るのだ。
毎朝、俺を親の仇のように睨みつけながら。
そして、時折わざと忘れ物をしながら。

もし、俺が彼女の望むままに「男」として彼女を受け入れれば、一年前の可愛らしい真冬に戻ってくれるのかもしれない。
だが、それは決して許されない禁忌だ。
俺たちはどこまで行っても、血の繋がった兄と妹なのだから。

俺の心が完全に折れてしまうのが先か。
それとも、真冬の執着が尽き果てるのが先か。

重く、濁った意識の底で、俺は自問自答を繰り返す。

――俺は、イツマデタエラレルノダロウカ。

END


ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

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