僕には昔から、ひとつの悪癖がある。
それは――大事な部分を、女性に見てほしいという欲求だ。
幼い頃は田舎に住んでいて、裸で走り回るのも珍しくなかった。
周囲の女性たちも「かわいいわね。」と笑って見てくれたし、
中には撫でながら「まだ子どもねぇ。」と言ってくれる人もいた。
僕は、それがたまらなく気持ちよかった。
けれど、時は流れて僕も大人になった。
当然、今はそんなことはできない。
露出などすれば、たちまち犯罪者だ。
世間に顔向けできないような、取り返しのつかない事態になる。
それでも、この欲求は消えなかった。
そんなある日、スマホで「同意のうえで露出相手を募集する」というサイトの存在を知った。
怖さもあったが、自宅から遠いエリアで募集していた女性に思い切って連絡をとった――。
約束の場所は、寂れた小さな公園だった。
周囲は木々に囲まれ、昼間でも薄暗く、人気はまったくない。
錆びた滑り台と、朽ちたベンチがぽつんとあるだけで、人が立ち入った形跡は見当たらなかった。
公園に足を踏み入れると、女性がひとり、入口のそばに立っていた。
サングラスをかけ、ベージュのロングコートに細身のパンツ。
手には小ぶりな革のバッグを提げ、控えめなアクセサリーが上品に光る。
どこか高級感が漂っていて、この場所には不釣り合いなほどだった。
「……けーごさん?」
彼女がこちらに顔を向け、小さく問いかける。
落ち着いた、よく通る声だった。
「あやのさんですか?」
僕も同じように返す。もちろん、どちらも本名ではないのだろう。
「今回はよろしくお願いします。」
僕が声をかけると、あやのさんは軽く頷き、ふわりと笑った。
「こちらこそ、けーごさん。緊張してます?」
少しだけ柔らかい声だったが、どこか慣れた感じもある。
「じゃあ、早速始めましょうか。お互い、時間は有効に使いたいですもんね?」
僕の希望は、大事な部分を見てもらい、その感想を聞くこと。
彼女目線での録画もお願いしていた。
一方のあやのさんの希望は、それを写真に撮って加工し、個人のサイトに掲載することだった。
彼女のサイトは、あらかじめ見せてもらっていた。
さまざまな男性器の写真が整然と並び、それぞれに軽いコメントが添えられていた。
芸術としての側面を意識しているのか、写真の色味や構図にも工夫が見られた。
もちろん、撮影時に顔が写ることはない。
この条件で、すでに話はまとまっている。
「まずは、けーごさんのご希望からいきましょうか。」
あやのさんは僕のスマホを受け取り、カメラアプリを起動した。
「性器を中心に撮影すればいいのですね?」
そう言って、ためらいなく僕の股間へとレンズを向ける。
それだけで立ち上がってしまいそうだったが、なるべく小さい状態で批評してもらいたかったので、必死で耐えた。
「撮影中、私の声も入るかと思いますが……何か言ってほしいセリフ、ありますか?」
彼女は自然な調子でそう訊いてきた。
サービス精神は旺盛らしい。
「あの、できれば……ちょっとSっぽくお願いします。あと、大きいとか、嘘は言わなくて大丈夫です。」
その瞬間、あやのさんのサングラスの奥にある瞳が、かすかに光ったような気がした。
「了解しました。軽い言葉責めをご所望ですね。」
声のトーンは変わらないのに、空気が変わった気がした。
ついに、始まる。
スマホを向けたまま、あやのさんが口を開いた。
「はやくおちんちん見せて♡どんなおちんちんかな♡」
なぜか、急に甘えた声になった。
あまりの恥ずかしさに、思わず反射的にズボンを下ろし、パンツも一気に脱いでしまった。
下腹部には、小さなそれがぶら下がっていた。
「あれ?ちょっと……小さいよ?」
声のトーンがすっと落ちる。
あやのさんはしゃがみこみ、スマホ越しに覗き込むようにしながら、竿の部分を指先でつついた。
「……皮も、しっかり被ってるねぇ。」
「…はずかしい。」
僕の口から、小さな声が漏れた。
「見られるの、恥ずかしいんだ? でも、自分で脱いじゃってるし……ふふっ。」
それでも、やはり恥ずかしいものは恥ずかしかった。
「見られるの、好きなの?」
「……はい。」
あやのさんはふっと息を吐いて、スマホを構え直すと、静かに言った。
「じゃあ、少し冷静に見せてもらいますね?」
それまでの軽い調子とは違い、声のトーンは落ち着いていた。
「左右差……少し左に曲がってますね。これは……オナニーのしすぎ、かな。曲がっちゃってるわ。」
僕の心臓がバクンと跳ねる。
「毛の処理は……特にされてないようですね。でも清潔にはしてるみたい。
皮は深め。かなり被ってます。サイズは……うん、正直、小さめです。」
そう言うと、あやのさんはスッと指先で皮を剥いた。
「あら、綺麗なピンク色ですね。ふふ……もしかして童貞さんでしたか?」
声には笑いが混じっているのに、なぜか突き刺さる。
「短小包茎の、童貞ちんちん。これはこれで、可愛いですね。」
観察され、剥かれ、言葉を浴びせられ──
恥ずかしさと快感が爆発するように重なり合い、僕のそれは膨れ上がってきていた。
「ふふっ……でも、29点です。」
あやのさんはスマホ越しににこやかに言い放つ。
「赤点ちんちんですね。」
観察され、剥かれ、言葉を浴びせられ──
恥ずかしさと快感がないまぜになり、気がつけば最高潮になっていた。。
「ふふっ……反応、早いですね。」
あやのさんはスマホを構えたまま、少しだけ顔を傾けた。
「じゃあ、勃起時の状態も見せてもらいましょうか。」
そう言いながら、スマホをやや下からの角度に構え直す。
「……固いですね。」
落ち着いた口調のまま、指先で軽く竿をつつく。
「これで……精一杯ですか?」
わずかに首を傾げて、真顔で尋ねられる。
「流石にこれは……ちょっと物足りないかなあ。」
僕の顔が思わず熱くなる。
「さっきよりはマシだけど……やっぱり全体的に短いですね。
太さも平均以下。皮もまだ少しかぶってるし……ふふ、可愛いけどね。」
スマホ越しに覗き込むあやのさんの目が、冷静に、そしてどこか楽しげに揺れていた。
「これなら……勃起時でも35点、ってところかな?」
ほんの少し点数が上がっただけなのに、どうしようもない達成感が湧いてくる。
それがまた、情けなさを増幅させた。
撮影が終わり、スマホの動画を確認してみた。
想像以上に仕上がりは完璧だった。
あやのさんもその出来に満足したようで、
「私もこれ、欲しいかも」と言い出した。
コピーして彼女にも動画を渡す。
もちろん、絶対に流出させないよう口裏は合わせてある。
……まあ、流出したところで、顔も映っていないし、
誰のものとも分からないちんちんが見られるだけだ。
僕の性癖的には、むしろそのほうが興奮するくらいだった。
「では、次は私の番ですね。」
あやのさんは、ベンチに置いていたカバンから立派な一眼レフカメラを取り出した。
「そんな物で撮影するんですか……?」
思わず問いかけてしまう。
「ええ。せっかくの素材ですし、綺麗に残したいですから。」
さらっと返され、なぜか背筋が伸びる思いがした。
「じゃ、ちょうど良いから……勃起状態から撮らせてもらうわね。」
そう言って彼女は、ベンチにタオルのようなものを敷いて腰を下ろした。
僕の正面に座る形で、堂々と構えたカメラが、ためらいなく股間を捉える。
撮影が始まると、あやのさんはゆっくりとサングラスを外した。
……驚いた。
そこには、信じられないほど整った顔立ちの女性がいた。
優しげな目元に、知性と余裕を感じる微笑み。
こんな美人に、自分のすべてを見られている──
そう考えた瞬間、先端から透明な液が滲んでしまった。
慌ててポケットからティッシュを取り出そうとすると、
「綺麗だからそのまま!」
あやのさんにぴしゃりと制されてしまう。
その後も彼女は、様々な角度から、レンズ越しに僕の性器を撮影していった。
僕はといえば、羞恥と興奮と熱のせいで、頭がくらくらしていた。
「……よし。勃起時の撮影は、これで終了。」
あやのさんがレンズキャップを閉じたとき、
初めて呼吸が深くなった気がした。
やっと、終わった。
ところが──あやのさんは、思いがけないことを言い出した。
「次は、小さい状態の撮影ね。悪いけど……小さくしてもらえる?」
「ええ……。」
勃起したまま、また萎えさせろというのか。
流石に、それは恥ずかしすぎる。
戸惑っている僕を見て、あやのさんは少し考え込むように口元に指を当てた。
「そうよね。自分でやれってのも酷よね。」
やけに真剣な表情で悩み出す。その顔も美人だった。
そして──
「わかった。私が小さくしてあげるから。……手と口、どっちがいい?」
……え?
何を言っているんだ、この人は。
驚愕と動揺と興奮が一気に押し寄せてくる。
でも、これは……チャンスだ。
何度もAVを見て、ずっとあこがれていたフェラをして貰う。
「じゃ……あの……口で……。」
そう答えた瞬間、あやのさんはニヤリと唇を吊り上げた。
そしてすっと顔を寄せ、耳元でささやく。
「……おませさん。」
あやのさんは、バッグからウエットティッシュを取り出した。
「ごめんね。さすがに、初対面の人のを口に含むなら……拭かせてもらうね。」
そう言いながら、僕のそれを丁寧に拭っていく。
「まあ、童貞くんだから性病とかは無いと思うけど♡」
にこやかに放った一言に、心臓が跳ねた。
その笑顔は、優しいのに残酷だった。
……ああ、やっぱりこの人、天然でSなんだな。
「……自分だけで楽しむって言うなら、撮影してもいいよ。」
さらっと、でも上から目線で許可が下りる。
ええ、そんな……でも……。
僕は言葉に甘えて、スマホを構えた。
次の瞬間──
あやのさんはためらいなく、僕のそれを口に含んだ。
温かく、濡れた感触が一気に押し寄せる。
舌先が裏筋をなぞり、くちゅ、くちゅ……と控えめな音を立てながら上下に動いていく。
肌に直接息がかかるたび、背筋が震えた。
「あ……っ……あやの、さ、ん……」
息が漏れる。喉の奥から勝手に声があふれてしまう。
あやのさんの頭を、僕は無意識に押さえていた。
「ん……んっ……」
喉奥に先端が当たる。やばい、もう無理だ。
「いっ……く、あ……あっ……!!」
ビクンッ!
全身が跳ねる。
下腹部から迸る熱が、あやのさんの口の中へと噴き出していく。
脈打つ感覚が、はっきりとわかる。
「っ……ぁ……あっ……!」
震える声とともに、すべてを吐き出してしまった。
あやのさんは、一瞬だけ動きを止めたあと──
ごくん、と喉を鳴らしてすべてを飲み込んだ。
ゆっくりと顔を上げ、唇を指でぬぐうと、じっとこちらを見つめてくる。
「……もう。飲んじゃったじゃない!」
頬をふくらませ、少しだけ眉をひそめたその表情は、まるで拗ねた恋人のようだった。
「出すなら、ちゃんと一言言ってくれないと。初めてでも……最低限のマナーよ?」
やさしく、でも確かに怒られている。
なのに、その叱責が胸の奥にじんわりと響いて──
僕はただ、何も言えずに俯くしかなかった。
一通り吐き出し終え、時間を置くと、僕のそれはようやく萎えはじめた。
無事、小さくなり──撮影は再開された。
皮をかぶった状態、剥いた状態。
上から、下から、斜めから、あらゆる角度での撮影が行われた。
勃起しそうになる瞬間もあったが、
カメラを構えるあやのさんの真面目な横顔に、どうにか理性を保てていた。
「ありがとう!すっごくいい撮影会になったよ。」
最後にあやのさんは、柔らかく手を差し出してきた。
思わず握り返すと、彼女の掌は、少しだけ温かかった。
心の中で、ふと思った。
――もう少し、この時間が続けばいいのにな。
エピローグ
その後、少しだけ会話をした。
どうやら、あやのさんは意外と近所に住んでいるらしい。
お互い、身バレを避けるためにわざわざ遠くの場所を選んでいたようだ。
「まさか、こんなへんぴな公園で出会うなんてね。」
あやのさんは、あのときと同じように、静かに笑った。
とても美しいと思った。
別れ際、僕は少しだけ勇気を振り絞った。
「また……会えませんか?」
驚いたように目を見開いたあやのさん。
けれど、すぐに微笑み、手に持っていたカメラを軽く掲げた。
「また、モデルやってくれるなら。」
その言葉に、僕は心の中で小さくガッツポーズをした。
後日、あやのさんのサイトを覗いてみた。
「Kくんがモデルをやってくれました。かわいい男の子でした。また今度会うんだ♡」
そんなコメントとともに、僕のそれを使った作品がいくつも並んでいた。
恥ずかしさが込み上げたが、どこか、少し誇らしくもあった。
そのとき──
スマホが振動した。
画面には、こう表示されていた。
あやのさん
――END


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