今年から導入されたという性徴検査。
女子は今日は休みだと聞かされていたはずだった。けれど私は、なぜか学校に呼び出されていた。
案内されたのは、視聴覚室の裏手にある小さな部屋。
中に入るとそこには一台のテーブルと数脚の椅子、そしてその中央に置かれたタブレット端末があった。
画面にはいくつものボタンが並んでいてそれぞれに番号が振られている。
その隣には紙とペンも用意されていた。
「ここで検査補助をしてもらうの。難しいことはしなくていいから安心してね」
付き添ってきた女性の先生が柔らかく微笑む。
状況がまだよく飲み込めないまま、私は促されるまま席に座った。
「試しに、最初のボタンを押してみましょうか」
恐る恐るタブレットに指を伸ばす。
押した瞬間、天井のスピーカーから男性の声が流れた。
「台の上に立ってください」
まるで録音されたアナウンスのような声。
──これで検査が進められるのだろうか?
理解が追いつかないままの私の耳に、背後の扉が開く音が届いた。
誰かが入ってきたのだろう。カーテンの向こう側の薄暗い室内に人影が現れる。
カーテン越しだからはっきりとは見えないけれど、制服姿の男子のようだ。
……よく見ると、それは仲の良い──少し気になっていた、弘樹くんだった。
胸の奥がふわりと揺れる。
「もう一回さっきのボタン押してね」
先生に言われてもう一度押す。
「台の上に立ってください」
彼は少し戸惑うも言われたとおりに台の上に立った。
「次のボタンを押していいわよ」
先生が小さく囁いた。
指示通りに二つ目のボタンを押すと、また先ほどと同じ男性の声が流れる。
「これから行う検査の内容については、プライバシーの観点から他言は厳禁です。
よろしいですね?」
──彼もきっと何も知らされていないまま呼び出されたのだろう。
私自身も何が始まるのかわからず、不安が募っていく。
「じゃあ、次を押して」
先生の合図に合わせ、三つ目のボタンを押す。
「では──下着まで、すべて脱いでください」
……えっ?
一瞬、理解が追いつかず、思わず先生の顔を振り返った。
けれど先生は微笑んだまま、何も言わずに私をじっと見つめている。
──本当に……脱ぐの?
向こう側の彼も、戸惑いを隠せずにいるのがわかる。
けれど、彼がまだ迷っているうちに、先生が代わりにボタンを押した。
「早くしなさい」
低く、冷たい命令の声が響く。
彼の肩が小さく揺れた。
そして──意を決したように、ゆっくりと制服のズボンに手をかけた。
ホックを外し、ベルトが緩み、ズボンが滑り落ちる。
続けて、パンツまでもが足元へと降りていった。
その瞬間──
スポットライトが彼の下半身を照らし出した。
眩しい光が彼の秘部をくっきりと浮かび上がらせる。
今までは暗がりとカーテンの向こうでぼんやりとしか見えなかったのに、光量のせいか細かな部分まではっきりと見える。
──いや、違う。
ここはマジックミラーのようになっていたのだ。
カーテン越しではなく、私からは彼の下半身が真正面に丸見えになっている。
「……っ」
思わず息を飲む。
ずっと気になっていた男の子の、こんな姿を見ることになるなんて──
台の中央に立ち、下半身だけ裸のままわずかに肩を強張らせている。
私の方からは、その全てがはっきりと見えていた。
──小さい…それにまだ生えていない
けれど、必死に縮こまるように揺れるそれは、まるで震えながらも「ここにいる」と主張しているように見えた。
「次の操作、お願いね」
先生が優しく声をかけてくる。
促されるまま、次のボタンを押す。
「陰部に定規を当て、正面から見えるようにしなさい。そして、計測値を読み上げなさい」
手渡された定規を彼は震える指で掴み、それを慎重に当てていく。
小さな先端に触れないように、慎重に角度を合わせながら──
そして声を震わせながら、数字を読み上げていった。
私は息を飲む。
たしかに、さっきまでは何となく「男の子のそれ」という漠然としたイメージだった。
けれど、今は目の前に現実として突きつけられている。
その皮膚感、色味、わずかに透ける血管、産毛──
全てが生々しく、どこか卑猥に思えた。
「……包茎ですが、自分で剥けますか?」
録音された男性の声がそう告げた。
彼の体がピクリと揺れた。
小さく「はい」と答えた声が聞こえる。
「では、剥いて見せなさい」
彼はゆっくりと指先を添え、皮膚を後退させていく。
滑らせるたびに、その先端がじわじわとあらわになっていった。
「剥けたら、正面によく見えるようにしなさい」
彼は言われるがままに正面に向けた。
──あ……
先端は、思ったよりも柔らかい桃色だった。
けれど完全には剥けきらず、僅かに皮が縁に残っている。
窮屈そうに縁を締め付けながら、それでも先端の艶やかな部分が覗いている。
続けてボタンを押した。
「剥いたまま、手を放して」
彼はそっと指を離した。
皮はゆっくりと戻りはじめる。そしてすっぽりと被ってしまった。
その瞬間──
小さく笑うような息遣いが漏れてしまった。
その戻る姿があまりにもかわいすぎたから。
思わず唇を押さえたがもう遅かったかもしれない。
彼が一瞬だけ微かに顔を上げたように見えた。
だが、カーテンの存在がこちらの表情を隠してくれている。
「次に、横のモニターを見なさい」
新たな指示に従い、彼は横を向く。
すると今度はスクリーンに裸の女性が現れ、静かに体を揺らし始めた。
彼の身体がわずかに反応していくのが、こちらからでもはっきりと分かった。
静かに昂ぶっていく肉が、徐々に硬さを増し、皮膚を押し上げていく。
──すごい。
羞恥と興奮がないまぜになりながら、私は息を詰めてその様子を見つめた。
勃起はまだ控えめだったが、今まで以上に自己主張を始めていた。
小さく震えながら、突き上がるように反り上がり──それでも先端はやはり皮を被ったまま、小さく窮屈そうに覗いていた。
まるで、頑張って精一杯硬さを主張しているのに、それでもまだ包まれてしまっている姿が、逆に彼の恥ずかしさを物語っているようだった。
先生の合図で、私は次のボタンを押す。
「その状態を計測し、数値を読み上げなさい」
震える手で定規を再び当て直す彼。
その定規越しに、小刻みに震える先端の肉がわずかに揺れていた。
「最後の検査です。横にあるカップを手に取りなさい」
男性の声が静かに告げた。
彼の足元に、小さな透明のカップが置かれている。
そこには、彼の名前が丁寧にラベルで貼られていた。
──まさか、ここに……?
一瞬、心臓が跳ね上がった。
さすがに私も、検査の内容がここまで踏み込んだものだとは思っていなかった。
彼がわずかに躊躇して俯いた瞬間──
先生が静かに私の手元を指差した。
「……押して」
私は喉を鳴らしながら、恐る恐る次のボタンを押した。
「その中に、射精しなさい」
映像が切り替わった。
先ほどよりも、さらに過激で露骨な裸の男女が映し出される。
絡み合う身体、舌先が絡む音までもが聞こえてきそうなほど生々しい映像。
彼の肩が小さく震えていた。
徐々に、彼の呼吸が乱れていくのがカーテン越しでもわかった。
彼の視線が画面に釘付けになっている。
やがて、彼の左手が震えながらカップに添えられ──
自然に、もう片方の手が己の昂ぶりへと伸びていく。
「……っ」
私の喉が自然と鳴った。
この瞬間を目撃してしまう背徳感に、身体が熱くなっていく。
彼は小さく痙攣しながら、ゆっくりと自分を握り込んだ。
張り詰めた肉が彼の指の中で脈打ち、ぬるりとした光沢が浮かび上がる。
ゆっくり、慎重に上下させるその手の動き。
ライトの下で艶めく先端から透明な雫が垂れていく。
唇を噛みながら、彼は必死に声を漏らさぬよう耐えていた。
だが、彼の動きは次第に速さを増していく。
腰が小刻みに前へ突き出され、肩が激しく揺れ始めた。
そして──
「ぴゅるっ、ぴゅるる──ッ!」
勢いよく白濁が迸った。
カップの内壁に何度も音を立てて叩きつけられ、透明な壁に跳ね返る飛沫。
とろりと粘る液体が、徐々に底へと溜まっていく。
初めて見るその行為に私はもう、手に汗が滲むほど緊張していた。
やがて彼の手がようやく止まり、肩を大きく上下させながら荒く息を吐き続けていた。
「……検査は終了です。結果は国が管理します。繰り返しますが、他言は厳禁です」
録音された男性の声が、淡々と宣言を終えた。
彼はふらつくようにカップをテーブルに置き、震える手で着衣を整え始めた。
まだ息が整わないのか、肩が小刻みに揺れている。
私は胸の内で何度も息を飲んでいた。
こんな姿を目の前で見せられて──いや、見てしまって──
恥ずかしさと罪悪感と、奇妙な高揚感が混ざり合っていた。
彼はようやく服を着終え、扉の向こうへと歩き出した。
淡々と開閉するドアの音がわずかに響く。
扉の先には、待機していた女性教師の姿があった。
まだ若い先生。優しい声で彼に告げる。
「お疲れ様。今日はもう帰っていいわよ。……手はちゃんと洗ってからね。」
その瞬間──
彼の背筋がピクリと硬直するのがカーテン越しにも分かった。
きっと、あの一言が意味するものを理解してしまったのだろう。
まるで全てを見られていたかのような含みのある言葉に、彼の頬が赤く染まっていく。
彼は俯いたまま、小さく頭を下げると、足早に去っていった。
先生は穏やかな微笑みを浮かべたまま、その後ろ姿を見送っている。
「ふふ……これで検査は完了ね。今日はこのまま帰宅して良いわよ。」
横で静かに囁いた先生の声に、私は思わず喉が鳴った。
部屋には、まだわずかに彼の残り香のような熱が漂っている気がした。
──あんなに真面目で、少し照れ屋だった彼の、あの姿を私はきっと忘れられない。
私自身も、今はまだ整理しきれない複雑な感情を胸に抱えながら静かに息を吐き出した。
ただただとんでもない物を見てしまった、と言う気持ちで帰路につくのであった。
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