僕は今、とある舞台の準備に追われている。
年季の入った味のある――と言えば聞こえはいいが、とにかく古い会場だ。
そこに荷物を運び入れるのが、今日のミッションである。
もっと早く進められるはずだったが、あいにくメンバーの予定が合わず、今いるのは三人だけ。
僕と、先輩の女性二人だ。
結果的に、僕が荷物を車から下ろし、先輩二人が所定の場所へ配置していく形になった。
なかなかの力仕事である。
「良一君、大丈夫?」
吉野先輩が声をかけてきた。
吉野景子。この小さな劇団の中心的な存在だ。
美人で、憧れの対象でもある。
「はい、全然大丈夫です。力仕事は任せてください。」
吉野先輩の前だ。
頑張らねば。
「ふふ、景ちゃんにいいところ見せたいもんね。」
もう一人の女性も口を挟む。
佐藤知菜。吉野先輩に負けず劣らず、かわいい人だ。
吉野先輩と仲が良く、劇団のムードメーカーである。
「そんなこと……なくもないですが、佐藤先輩にもいいところを見せるつもりですよ。」
そんな軽口を叩きながら、荷物を次々と運んでいく。
「足元、腐っているところあるから気をつけてね。」
そんなアドバイスを聞きつつ、最後のダンボールを持ち上げた。
ずしりと、腕に重みがかかる。
「最後が一番重いですね。これはどこに運びます?」
平静を装いながら、ゆっくりと歩を進める。
「大丈夫? 重くてごめんだけど、部屋の隅に置いてもらっていいかな?」
これを運び切れば休憩だ。
そう自分に言い聞かせ、ダンボールを抱え直す。
残り半分ほどのところまで来たとき、嫌な音がした。
ミシミシ……。
「あ、そこだめ!」
その声に驚き、反射的に少し強く足を踏み込んでしまった。
バキバキ!
「……え?」
そして、足元の感覚がなくなった。
持っていたダンボールから手を離し、咄嗟に手をついた。
どうやら、ちょうどお腹の辺りで止まったようだ。
「大丈夫!」
先輩二人が駆け寄ってくる。
足は……浮いている。
「なんとか……。お腹の辺りで止まったみたいです。」
両手を使って体を抜こうとするが、まったく動かない。
何度か試してみたが、どうやらどこかに引っかかってしまったようだ。
「私たちも引っ張るから。せーのね、せーの。」
二人の力も加わったが、抜ける気配は一切ない。
「……抜けないね。」
「困りましたね……。」
「どうしようか……。」
三人だけでは、手詰まりな気がした。
「他のメンバー、早くても来られるのは明日の朝だよ。」
スマホでスケジュールを確認しながら、そう言われる。
さすがに、朝までこのままというのは厳しい。
すると、吉野先輩がポンと手を叩いた。
「そういえば、ここ下舞台移動用の通路だよね? 下に行って、引っかかっているところ外せないかな?」
確かに、以前下見に来たとき、下の通路にテンションが上がったのを思い出す。
「そうね。私と景ちゃんが下から引っかかっているところを外して、持ち上げるフォローをした方がいいかも。」
「すいませんが、よろしくお願いします。」
もう自分ではどうにもならない。
二人に託すしかなかった。
「そういえば、スマホは出せる?」
確か、ズボンではなく胸ポケットに入れていたはずだ。
「はい、あります。」
「じゃあ、通話状態にしておこう。下から声が聞こえるかわからないからね。」
やはり、佐藤先輩は気がきく。
この二人で良かったなと、しみじみ思った。
「じゃ、行ってくるね。」
カチカチと懐中電灯を点けたり消したりしながら、吉野先輩が言った。
「本当に、お願いします。」
心から、そう呟いた。
「もしもし、聞こえる?」
スマホから、吉野先輩の声がする。
スピーカーモードにしてくれているので、手を離した状態でも会話出来るのはありがたい。
「はい、聞こえます。着きましたか?」
なんとなく、下からも声が聞こえる気がした。
「ええ。いま、低い天井から足が出ている状態ね。面白いから、一応写真も撮っておくわ。」
続いて、佐藤先輩の声も聞こえてきた。
何をやっているんだ、あの人は……。
「撮るのは構いませんが、抜くことも忘れないでくださいね。」
そう言うと、少しだけ落ち着いた気がした。
「うーん、どうやらズボンが引っかかっているみたいね。」
下から、何かを引っ張られるような感覚が伝わってくる。
「外せなさそうですか?」
切実に聞いてみると、佐藤先輩の声が返ってきた。
「仕方ない。ズボン脱がすね。」
「「え?」」
僕と吉野先輩の声が、同時に重なった。
いやいや。
確かに舞台で早着替えをしなければならないときは、下着姿になることも珍しくないが……。
「なんとなく、今の状態で脱がすのは背徳感ありませんか?」
「そんなこと言っている場合じゃないでしょ。」
……まあ、それはそうだ。
「ちょっと、本当に脱がすの?」
少し慌てたような、吉野先輩の声が聞こえた。
「男子のパンツくらい、いつも見てるし、いいでしょ?」
僕もメンバーもいつも見せているわけではないが……。
「わかった。人助けだもんね。良一君、絶対助けるからね。」
なんだか、少し話が大きくなってきている気がする。
「……お願いします。」
カチャカチャと、ベルトに手がかけられたのがわかる。
さすがに緊張してしまう。
今まで、女性にベルトを外してもらった経験などない。
しかも、その相手がかわいい先輩だとしたら、なおさらだ。
「……外せますか?」
どうやら、少し手間取っているようだ。
「ちょっと床の木が引っかかっているのよね。でも、もう少しで……外れた。」
シュッと、ベルトが抜かれる感覚があった。
「じゃあ、ズボン下ろすからね。」
吉野先輩の、優しそうな声が聞こえる。
きっと、落ち着かせようとしてくれているのだろう。
「大丈夫です。お願いします。」
ズボンのジッパーが下ろされ、下半身が一気に寒くなった。
そして、しばらく沈黙が続く。
「あの……先輩?」
「あ、ああ、ごめんね。オーソドックスなボクサーパンツね。」
いや、パンツの批評は聞いていないのだが……。
「知菜ちゃん、そういうこと聞かれていないでしょ? 抜けそう?」
とりあえず両腕で体を持ち上げようとするが、何かが引っかかって上がらない。
「すいません……ダメみたいです。」
こうなったら、朝までコースかもしれない。
「先輩、もう僕朝まで待ちますから、二人は作業を終わらせて帰宅してください。」
覚悟を決めて、そう言った。
「いや、さすがにそれはできないでしょ。」
「そうよ。どれだけ薄情者なのよ、私たちは。」
そう言ってくれるとは思ったが、正直、手詰まりでもある。
引っかかっている場所がわかれば……。
「うーん……良一君、パンツ脱がしてもいいかな?」
「「は?」」
またしても、僕と吉野先輩と声が重なった。
「「いやいや、それはまずいでしょ!」」
吉野先輩とシンクロしたのは少し嬉しかったが、さすがにパンツを脱がされるのはまずい。
「あの……それ以外で、どうにかなりませんか?」
「うーん、無理そうね。大丈夫、私はどんなちんちんでも気にしないから。」
いやいや。
「僕が気にします!」
佐藤先輩に彼氏がいたことは知っているが、ここまでオープンなタイプだったのか……。
「そうよ、知菜ちゃん。さすがに良一君も恥ずかしいでしょ?」
吉野先輩のフォローが入る。
……が。
「でも、よく見て。パンツが思いっきり噛んでいるのよね。」
なにやら、触られている感覚があった。
「確かに……。なんでズボンより、パンツの方が引っかかっているのかな……。」
なんでと言われましても……。
別に腰で履いていたわけでもないし、落ちたときに変に引っかかったとしか言いようがない。
「良一君。上から引っこ抜いたら、必ずパンツは脱げるわ。今、私たち二人に見られるか。明日の朝、メンバー全員に見られるか。どちらかを選びなさい。」
悪魔のような選択を、突きつけられた。
もう、覚悟を決めるしかなかった。
「わかりました。でも、見ても笑ったりしないでくださいね……。」
そこだけが、どうしても心配だった。
自分のそれは、まさにコンプレックスの塊なのだ。
「笑うわけないでしょ。」
吉野先輩の、優しい声が返ってくる。
それでも、不安は消えなかった。
「大丈夫よ。景ちゃんは比較対象がないから、良一君のちんちんが標準になるだけよ。」
「ちょっと! 知菜ちゃん!」
……え?
比較対象がない。
つまり、それって……。
あの美人で人気者の吉野先輩が……未経験?
つい、よからぬことを考えてしまった。
「あ、大きくなった。」
「……最低。」
二人の、聞きたくなかった声が耳に届いた。
別に、この二人と付き合えるとは思っていない。
でも、嫌われたくはなかった。
「ごめんなさい……。」
ここは、謝罪一択だ。
「別に謝ることじゃないよ。生理現象だもんね。景ちゃんも、最低は言い過ぎよ。」
「そうね。ちょっとびっくりしちゃって……良一君、ごめんね。」
ありがとう、佐藤先輩。
「さて、じゃー、ちんちん見ちゃいますか。」
……全言撤回。
多分、一番楽しんでいるのはこの人だ。
「いや、あの……一応、仕方なく脱がす体にしてもらえませんか? あくまで、僕を抜くために仕方なくだから、ですからね?」
「抜くだなんて……エッチ。」
ああ。
佐藤先輩って、ダメな人だったのか……。
「知菜ちゃん、いい加減にしなさい。良一君も、体勢が大変なんだからね。」
やはり、吉野先輩は天使だった。
「はーい。じゃ、ちゃちゃっと脱がして、引っこ抜きましょ。」
やっと、話が進みそうだ。
安堵と羞恥心にまみれながら、次の展開を待った。
「景ちゃん、パンツのそっち側外して。私、こっち外すから。」
「わかった。」
パンツの両サイドに触れられている感覚がある。
まさか、憧れの女性二人にこんなことをされる日が来るとは思わなかった。
せめて、パンツが汚れていなければいいのだが……。
「ちなみにだけど、一つ質問していい?」
佐藤先輩が聞いてきた。
「今さら、何か聞くことありますか?」
少し嫌な予感はするが……。
「良一君って、彼女いたことあったっけ?」
彼女なんて、いたことはなかった。
女友達がいないわけではないが、そこまで進展したことは一度もない。
「……いたことないです。」
嘘をつく意味もないので、正直に答えた。
「そうか……。未使用がここに二つ……いた! 景ちゃんが叩いた!」
「本当に、いい加減にしなさい。」
佐藤先輩の賑やかな声と、吉野先輩の恐ろしい声が、スマホ越しに響く。
「ちがくてさ。最初に見られるのが私たちでいいのかなーって、ちょっとだけ思ってね。」
たぶん、佐藤先輩なりの気遣いなのだろう。
「はい。むしろ、先輩たちで良かったです。」
とりあえず、軽口で返しておいた。
「そう言われると、私たちに見せつけたかった変態みたいな……いた! また叩いた!」
「もう黙りなさい。早く良一君を助けるよ。」
ようやく、救出活動が本格的に進みそうだ。
……なんだか、すごく疲れた。
気がつけば、大きくなっていたそれも落ち着いていた。
「じゃ、改めて景ちゃん、そっち下ろしてね。せーの。」
少しプチプチという音とともに、さらに下半身が涼しくなった。
それはつまり、二人に下半身を見られたということだ。
沈黙が続く。
その沈黙に耐え切れず、二人に声をかけた。
「あ、あの……先輩?」
一瞬の間があり、佐藤先輩の声が聞こえた。
「あ、ああ、うん。とても、かわいいちんちんだと思うよ。ね? 景ちゃん。」
「え!? いや、そうね……思っていたより、かわいいわね……。」
この反応……やはり、僕のは……。
「……そうですか。」
意気消沈してしまった。
やはり、この二人には見せない方が良かったのかもしれない。
「ちょっと、そんなに落ち込まないでよ! 別に大きさが全てじゃないでしょ!」
佐藤先輩に励まされてしまった。
「そうですよね……はぁ……。」
そうは言っても、そこは男のデリケートな部分だ。
小さいと認識されてしまったら、やはり辛い。
明日から、どんな顔で会えばいいのか……。
「知菜ちゃん、どうしよう。すごくショック受けているみたいよ?」
コソコソと話す声が聞こえる。
「どうするったってさ、こんなかわいいサイズだとは思わなかったもん。皮もかぶっているし、毛が生えてなければ、お子様ちんちんよ?」
「そんな言い方ないでしょ! 良一君だって、勇気を出してパンツ脱がしてもいいって言ったんだろうし!」
「じゃー、景ちゃんが大きいって言ってあげなさいよ! 多分、喜ぶから!」
「私、よくわからないんだけど、これはやっぱり小さいの?」
「うん、小さい。短小包茎ってやつね。」
「そうなんだ……。」
コソコソ喋っているつもりなのだろうが、全て筒抜けだった。
短小包茎……。
そこまで言わなくても……。
「……あの、先輩……全部、聞こえてますから……。」
「「あ……。」」
二人の先輩の声が、重なった。
少し、泣いてしまいそうになった。
憧れの先輩たちに、「短小包茎」と笑われてしまったように感じてしまった。
「……もう、このまま床と一体化して、一生過ごします……。」
自分も、そして恐らく床の下にあるそれもしょんぼりしてしまったのだろう。
「知菜ちゃん、すごく傷つけちゃったみたいだよ! どうしよう!?」
「仕方ないよ。マイナスを取り返すには、プラスになることをするしかないでしょ。」
「? どういうこと?」
また、二人が何か話しているようだ。
「あー、良一君、聞こえる? これからすることは他言無用ね。結果的に悪口言っちゃったお詫びだと思って。」
「……あー、はい。」
佐藤先輩が何か言っていたが、正直、放心状態であまり頭に入ってこなかった。
結局、そんな生返事を返すことしかできなかった。
「もう、あんまり男の子がくよくよしないでよね。」
そう言ったかと思うと、
不意に――ちんちんが、ぎゅっと握られた。
その感覚で、完全に現実に引き戻された。
「「ちょ!」」
何度目かの、完璧なシンクロだった。
恐らく、佐藤先輩が握ったのだろう。
そして、にぎにぎと手が怪しく動いているような感覚があった。
「知菜ちゃん、何やっているの!?」
「何って……手コキ?」
本当に、握ってくれているようだった。
血液がそこに集まる感覚が、はっきりとわかる。
童貞の僕に、その感覚から逃れる術はは持ち合わせていなかった。
「あ、大きくなった。」
佐藤先輩の、妙に冷静な声が聞こえる。
それと同時に、吉野先輩の慌てたような声も重なった。
「大きくなったって……ダメでしょ、そんなことしちゃ!」
「でもさ、ちんちんの悪口言っちゃったんだからさ、ちんちんが気持ち良くなることで返すべきじゃない?」
どんな理屈だ。
けれど、正直に言って気持ちが良く、さっき言われたことなんて、とうに頭から消えていた。
あの佐藤先輩が、手コキしてくれる。
そんなことはもう二度とないことだろう。
佐藤先輩は、大きくなったそれを上下に動かす。
「あら、先っぽから、なにやら透明の液が出てきたね。気持ちいい?」
「……はい。気持ちが良いです。」
スマホのスピーカーから、クチュクチュと液体の音がし始めた。
少しずつ、手の動きも速くなっているように感じる。
床の下だから目で見えないのが、残念なくらいだった。
「しかし、改めてかわいいちんちんね。私の手にすっぽりよ。」
「知菜ちゃん……。」
吉野先輩の、呆れたような声が聞こえる。
だが、僕のそれは、すでに限界を迎えようとしていた。
「あ、出ます! イッちゃいます!」
「うん、いいよ。いっぱいだしな。私からのお詫びだからね。」
一気に、スピードが上がった。
さっきよりも早く、クチュクチュという音が響く。
「あ……ああ……。」
情けない声を漏らしながら、佐藤先輩の手の中に放出していた。
ビュビュビュッと……。
「おー、さすが童貞。いっぱい出るね。」
あまり童貞と量は関係ない気もするが、そんなことはどうでも良かった。
自分の手ではない射精が、こんなにも気持ち良いなんて知らなかった。
腰が砕けそうになる。
出したあとも少し扱かれ、ようやく射精が終わった。
「うわぁ、べとべとだ……。景ちゃん、ティッシュ持ってる?」
「あ、ごめんね。上に置いてきちゃった。使うなんて思ってもいなかったし。」
それはそうだ。
僕だって、まさかこんな場所で、佐藤先輩の手コキを味わうことになるとは思っていなかった。
あまりに気持ち良い射精で、完全に放心状態だった。
「じゃ、ちょっと上に戻って手を拭いてくるから、少し待ってて。」
「え? 私一人で?」
そんな会話が、スマホのスピーカーの奥で交わされていた。
佐藤先輩が、僕の前に現れた。
「こんなにいっぱい出したよ?」
そう言いながら、目の前で手を開く。
白濁とした液体が、べったりと付着していた。
「ちょっ! やめてくださいよ!」
相変わらず床から抜け出せない状態なので、逃げようがなかった。
「自分が出したものなのにねぇ。」
佐藤先輩は手を拭きながら、床に置いてある僕のスマホにタオルを掛ける。
そして、それを少し離れた場所に置いた。
「……何やっているんですか?」
謎の行動に、つい気を取られてしまう。
その直後、佐藤先輩が僕の耳元で、そっと囁いた。
「ねえ。景ちゃんにも、触ってもらいたくない?」
悪魔のような提案だった。
「そりゃ、触ってもらいたいですけど……。吉野先輩って、今まで誰とも付き合ったことないんですよね? 無理じゃないですか?」
素直な疑問だった。
「そうなのよ……。景ちゃん、ずっと女子校育ちで、男の子の扱いがわからないみたいなのよね。景ちゃんのためにも、良一君のおちんちんを使わせてほしいの。」
正直、吉野先輩に触ってもらえるなら何でも良い。
だが、その結果、彼氏ができてしまう可能性があると思うと、少し複雑だった。
うーん、と悩んでいる僕に、さらに悪魔が追い打ちをかける。
「うまくいけば、口まであるかもよ?」
口……フェラ!?
吉野先輩の、フェラ……。
「わかりました! ぜひお願いします!」
「う、うん……。なるべく、そうなるように誘導するよ……。」
佐藤先輩が、僕の勢いに少し苦笑いしている。
そのとき、スマホから声が聞こえた。
「知菜ちゃん! また大きくなった! 私一人にしないで! 怖いよ!」
吉野先輩が、半ば叫ぶように言っている。
出したばかりだというのに、先輩の口を想像しただけで、また大きくなってしまった。
「まあ、景ちゃんの口はあまり期待しないで。最悪、私がやってあげるから。」
そんなことを言いながら、佐藤先輩は再び床下へ向かう通路に消えていった。
そもそもの話をすれば、佐藤先輩もかなりかわいいし、手コキしてもらったこと自体十分自慢できるレベルなのだが……。
そんなことを考えながら、佐藤先輩が下に着くのを待っていた。
「景ちゃん、おまたせ。タオルとティッシュ持ってきた。」
どうやら佐藤先輩が到着したようだ。
「ひとりにしないでよ……。」
少し泣きそうな声が聞こえた。
「何言ってんのよ。良一君が襲うわけないし、そもそも動けない状況でしょ?」
これは信頼と取っていいのか、それとも「どうせ何もできないでしょ?」と取るのか……。
「それはそうだけど……私、こんな状況初めてだもん。」
いつもしっかりしている吉野先輩が、少し拗ねている。
……かわいい。
「わかったわかった。でもさ、景ちゃんも少し免疫つけた方がいいよ? 彼氏欲しいんでしょ?」
「それはそうだけど……。」
やはり吉野先輩も、彼氏が欲しいのか。
少しだけ、嫉妬してしまう。
「はい、じゃあ景ちゃん。良一君のちんちん拭いてあげて。このドロドロの状態じゃ可哀想でしょ?」
「私がやるの!?」
「私はさっき、ちゃんとお詫びしたよ? 景ちゃんも、良一君を傷つけた分、お詫びしなきゃ。」
なんだか丸め込もうとしている。
頑張れ、佐藤先輩……。
「うう……わかったよ……。良一君、ごめんね?」
視界の外で、布が擦れる気配がした。
直接見えないのが、逆に落ち着かない。
「景ちゃん、そこはデリケートだからね。ちゃんと手で持って拭いてあげないと痛いよ。」
「手で触るの?どうすればいいの……。」
困惑した声が震えている。
それでも吉野先輩は、言われたとおりにやろうとしているらしい。
「まずは、右手でギュッとしてあげようか。優しくね。」
すると、温かい手に包まれた。
幸せとはこのことか。
「……うわ。固いね。こんなになって、痛くないのかな。」
「多分だけど……景ちゃんに握られて、気持ちいいと思うよ?」
「そうなんだ……。」
そんな会話を聞きながら、僕は吉野先輩の柔らかな手の感触を楽しんでいた。
舞台の上で手を握ったことはあったが、プライベートでまさか手より先にちんちんを握ってもらえるなんて…。
穴に落ちて良かった。
「うん。次は、ちゃんとタオルで拭いてあげてね。」
「……わかった。」
小さく返事が聞こえたあと、手で支えられたまま優しく拭かれる感触があった。
濡れた冷たいタオルで拭かれる感覚。
そのひんやりとした感触が、猛っているそれを沈めようとしてくれているのかもしれない。
しかし、吉野先輩に触れられて、さらに熱を帯びていた。
「良一君痛くない?」
不意に吉野先輩に声をかけられて驚いた。
「は、はい、冷たくて気持ちが良いです。」
素直に返事できたと思う。
「良かったね、気持ちいいって。次は……その次はその皮を剥いてあげようか。」
「……皮?」
「そうそう。さっき私が手コキしてあげたときに顔をちょっと出していたからさ。多分剥けると思うよ。」
やはり、包茎に触れられるのは恥ずかしい。
確かに剥けないことはないが…。
「あの、僕……大きくなった状態で剥いたこと無いんですが……。」
小さい状態なら剥ける。
ただ、大きくなった状態じゃ先端の口の部分が突っ張って上手く剥けなかった。
「じゃ、いい機会だし景ちゃんに“大人に”してもらいなよ。やっぱり剥けてた方が、女性目線だと安心だしね。」
「大人って……。」
まあ、剥けるに越したことないのは事実だ。
それが吉野先輩にしてもらえるなら、なおさらだ。
「わかりました。お願いします。」
「ええ……がんばるけどさ……。」
やはり吉野先輩は少し不安そうだ。
「大丈夫大丈夫。私の元彼も包茎だったけど剥いてあげたら喜んでたし。」
「そうなんだ。とりあえず、やってみるよ。」
恐る恐る手が添えられた感覚があった。
「……そうそう。力入れすぎないで。ゆっくりでいいから。」
吉野先輩が竿の真ん中辺りを握り、グッと下げてくる感覚があった。
やはり先端が少し狭いのか、抵抗感がある。
「良一君痛くない?痛くないなら……一気にやっちゃうよ?」
佐藤先輩からの通達が飛ぶ。
もう覚悟は決めている。
吉野先輩の手で、大人になるんだ。
「はい、よろしくお願いします!」
その瞬間、グッと力が入ったのがわかった。
「えい!」
「う!」
変な声が漏れてしまった。
「おー、剥けた剥けた。これで良一君も大人のおちんちんだね。」
佐藤先輩の少しはしゃいだような声が聞こえた。
まぁこれで大人になったとは思わないが、大きくなった状態でも剥けると言うことは少しだけ僕の自信になった。
「先輩、ありがとうございます。」
心からの感謝を伝えた。
「よし、じゃ最後だ。景ちゃん、出してあげなよ。さすがにこんなパンパンな状態じゃ可哀想だからね。」
「え! やっぱり私がやらなきゃダメ?」
吉野先輩はそれを握ったまま、そんなことを言っている。
正直、先輩に扱いてもらったら、すぐに出してしまいそうだが……。
「まぁ私がやってあげても良いんだけど……良一君は景ちゃんにも出してもらいたいんじゃないかな。」
「ぐー。」
吉野先輩がうなっている。
そりゃそうだろう。もしかしたら今日、初めて男のちんちんを触ったのかもしれない。
「あの、無理なら大丈夫ですよ? 忘れているかもしれませんが、穴から抜け出すことが今の問題ですからね?」
恐らくもう吉野先輩に触ってもらう機会は無いだろう。
惜しいことは惜しいが……やはり嫌われたくない。楽しく、今後の活動も続けていきたい。
「ほら、良一君も気を使い出しちゃったよ? じゃあさ、ぺろっとしてあげなよ、ぺろっと。」
「ええ!?」
佐藤先輩、すごいぶっ込み方をしたな。
「景ちゃんも興味はあるんでしょ? キレイにしたところだし、ぺろっとしたら、あとは私がやるから。」
「うー、わかったよ……。でも本当、ぺろっとだけだよ?」
……マジか。
あの吉野先輩が、ぺろっとしてくれるの?
もしかしたら穴に落ちて、すでに死んでいるのかもしれない。
それならそれで、最期の思い出だ。
「お、お願いします!」
「……はい。」
どうやら本当に覚悟を決めたようだ。
「ほ、本当に一瞬ぺろっとだけだからね?」
「わかってるって。」
それを握っている手がギュッとしたのを感じた。
そして…先端にぬるっとした感触が来た。
本当に吉野先輩が舐めてくれたようだ。
「うお!?」
今まで感じたことのない感覚にこれが出てしまった。
その瞬間、舌が離れた。
「良一君大丈夫?!痛くなかった?!」
吉野先輩の慌てた声が聞こえた。
「あ、はい、大丈夫です。あまりにも気持ち良くてつい声が出てしまいました。」
「…気持ちいいんだ。」
やはり吉野先輩は興味があるようだ。
だが、これ以上やって貰うのは申し訳ない。
「先輩ありがとうございます。もう僕は大丈夫です。」
あとは穴から抜けることだけ考えよう。
そう思っていたが…。
ふいにそれ全体を暖かい物が包んだ。
「知菜ちゃん!?」
吉野先輩の声が響いた。
「ふぁっふぁままひゃぬふぇないへほ?」
なんか言っている。
ちゅぽんと音が鳴るかのように、暖かい物から解放された。
「立ったままじゃ穴から抜けないでしょ?私が小さくしてあげるからちょっと待ってて。」
もしかして、「最悪、私がやってあげるから。」は本当だったのか。
「私が先っぽちゅぱちゅぱするから景ちゃんは竿の方を指でこすってあげて。」
佐藤先輩のフェラが再開された。
「こ、こうでいいのかな。」
吉野先輩がおずおずと指二本くらいで摘まみ、上下にこすってくれる。
もちろんそれも気持ちが良いのだが、亀頭を這い回る舌の感覚がくすぐったくもあり、気持ち良くもある。
裏すじや尿道口を丁寧に舐められる感触が続く。
「知菜ちゃんすごいね……。」
吉野先輩も感心している。
「き、気持ち良すぎます……。」
舐めたと思ったら、今度は亀頭部分を唇で音が鳴るようにちゅぱちゅぱと出し入れする。
口の中に入っては舌が弱いところを責め立てる。
そして吸い込んだまま唇が離される。
まさに挿入を繰り返しているかのような感覚があった。
ちゅっちゅっちゅと水分の多い音がする。
当然、耐えられるはずもなかった。
「も、もう出ます!あ…!」
射精する直前にちゅぽんと口から離された。
「はい、景ちゃん握って上下に動かして!」
急な佐藤先輩の声に吉野先輩も流されているようだ。
「え?え?これでいいの?」
ギュッと握られ、上下に扱きあげられた。
吉野先輩の…手コキ。
そんな衝撃に耐えられる人がいるのだろうか。
「う!?」
声にならない声と共に、吉野先輩に向かって吐き出してしまった。
びゅびゅっと…。
「わ、出た。」
どうやらとっさに空いている手で押さえたようだ。
そして、出しても吉野先輩の手は止まることがなかった。
下半身は穴に落ちていて身動きが取れない。
当然吉野先輩は、射精直後に扱かれることが辛いなんて、知らないのだろう。
僕は声が出せなかった。
吉野先輩の手コキは続いた。
ぐちょぐちょと精液と混じり合った音が聞こえる。
そして、やっと声が出せたのは三回目の射精直前だった。
「…!せ、先輩!また出ちゃいます!」
「え?また出るの!?」
困惑する吉野先輩の手に再度放出させて貰った。
そして、佐藤先輩の笑い声が聞こえた。
「景ちゃんえぐいことするね。射精してそのまま扱くなんて上級者のやることだよ。」
わかっているくせに止めなかったのか。
でも、ありがとうございます。
佐藤先輩も大好きです。
「あ、もう止めて良かったのね。言ってよ!」
少し怒っているようだ。
「すいませんでした…。」
僕が謝罪すると、「良一君じゃないよ!知菜ちゃんだよ!」と声が聞こえた。
「私が謝る分は良一君が謝ったからヨシ!」
まぁなんでもいいのですが、そろそろ穴から出して欲しいなーと賢者タイムの頭で考えていた。
その後、なんだかんだで無事、穴から助け出してもらった。
嬉しそうな顔をする二人を見ると、妙に気恥ずかしい感じがした。
「ありがとうございます!」
二人に深々とお辞儀をすると、吉野先輩が目を逸らしながら何かを渡してくれた。
手に取って広げてみると、それはパンツだった。
「良一君、お礼よりも先に、その…かわいくぷらっとしてるのをしまってね。」
佐藤先輩がニヤニヤしながらからかってくる。
「あ、す、すいません!」
慌てて前を隠した。
下半身を穴の中でさらしていた時間が長かったせいで、感覚が少し麻痺していたようだ。
吉野先輩も、散々下で見たとは言え、さすがに顔を見た状態で直接それを見るのは恥ずかしいようだった。
「景ちゃんに見せたかったのかな。…って痛っ!」
吉野先輩が無言で佐藤先輩の腕をつねっていた。
「もう、私だって恥ずかしいんだからね…。」
そう言いながら、口を少し膨らませていた。
やっぱりこの人、かわいいな……と再認識した。
この人たちに、僕のあれを……。
そんなことを考えかけた瞬間、下半身に血が集まり始めた感覚がして、慌てて別のことを考え直す。
「……今、変なこと考えたな? でも、もうダメ~。」
佐藤先輩が両手でバツ印を作ってくる。
「さて、良一君が服を着たところで、これから大事なことをするよ。」
吉野先輩が真面目な顔をしてそう言った。
……大事なこと?
「掃除よ。メンバーが集まるまでに、匂いも含めて痕跡を全て無くさないと。」
確かにそうだ。
それは二人のためでもあるが、僕の身の安全にも関わってくる。
この二人に出して貰ったことがバレたら、ただじゃ済まないのは目に見えている。
「消臭スプレー持って、地下潜ってきます!」
「お願いね!」
三人とも、慌てて動き出した。
エピローグ
朝を迎え、メンバーも集まってきた。
どうやら、昨夜のことがバレることはなかったようだ。
それどころか、穴に落ちた僕のことをみんな心配してくれた。
会場の管理人さんも床の腐食については把握していたようで、修理費は免除してくれた。
さらに、舞台当日には差し入れまで用意してくれていて、みんなで「またここ使いたいね」と話し合ったりもした。
舞台は無事に終わり、撤収作業が始まっていた。
そんな中、偶然また佐藤先輩と吉野先輩と一緒に片付けをすることに。
「吉野先輩、これ運びますね。」
「うん、お願いね。」
そんなやり取りをしていると、佐藤先輩が真面目な顔をしながら近づいてきた。
「ねぇ良一君、ちょっといい?」
……なんだろう、もしかしてまた何かやらかしたのだろうか?
少しドキドキしていると、突然のひと言。
「その、“吉野先輩”とか“佐藤先輩”って呼び方、そろそろやめない?」
戸惑う僕に、今度は吉野先輩まで頷く。
「あー、私も思ってた。良一君だけだよ、私たちのこと名字で呼ぶの。」
たしかにそうだ。けど、名前で呼ぶのはちょっと失礼かなと思って遠慮していたのに……。
佐藤先輩が、こそっと耳元で囁く。
「あんなエッチなことしちゃったんだからさ、もう遠慮なんていらないでしょ。“景ちゃん”と“知菜ちゃん”って呼びなさい。」
横で吉野先輩が、うんうんとうなずいている。
「いやいや、さすがにそれは段階を飛びすぎですよ! まずは“景子先輩”と“知菜先輩”でお願いします!」
二人ともえーと言いたげな顔をしている。
「まあ、今はそれで許してあげるけど……半年以内に“景ちゃん”“知菜ちゃん”って呼びなさいね?」
ニヤニヤしながら知菜先輩がそう言う。
「そうよ、早く“景ちゃん”って呼んでね?」
そしてニコニコと景子先輩が笑う。
二人の微笑みに、なんだか胸が熱くなる。
この時間が、ずっと続けばいいのにな。
そう思いながら、また三人で片付け作業に戻った。
心の中で、「景ちゃん」「知菜ちゃん」と呼ぶ練習をしながら。
END


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