当時、まだ男女合同の水泳授業が当たり前だった時代。
男子も女子も同じプールに並び、思春期真っ只中の俺たちは微妙に意識し合いながら授業を受けていた。
けれど、今日はどうも集中できない。そう、チンポジが悪いのだ。
泳ぐたび、動くたび、水着の中で収まりが悪くなる。
冷たい水に縮こまったソレが水着の布に張り付き、違和感ばかりが募っていく。
順番待ちの列に並びながら、俺は周りを確認した。
前に並ぶ男子たちは皆、泳いでいる仲間を応援していて、こちらには誰も気づいていない。
──今なら直せる。
そっと水着の前を開き、中に手を差し入れた。冷え切って縮こまったそれを、直接触らないように軽く腰を動かしながら位置を直していく。自分でも情けなくなるほどふにゃふにゃで頼りない感触だった。
──その時だった。
「……ふふっ」
小さく漏れる笑い声に驚いて振り返ると、そこにはクラスメイトの女子──有希が立っていた。
にこっと微笑みながら、俺の耳元で囁く。
「全部見えちゃってるよ?」
瞬間、顔が一気に熱くなった。慌てて水着を直した。
動揺のまま泳いだ25メートルは、当然記録も散々だった。
──しばらくして、偶然二人きりで話す機会が訪れた。
「あのときなんで後ろにいたの?」
「トイレに行ってただけ。戻ってきたら君がおちんちん見せてくれてたから……遠慮なく見ちゃった。」
悪戯っぽい笑顔でそう答えた。
「見せたわけじゃねーよ……」
少し沈黙が流れたあと、彼女がぽつりと口を開いた。
「ねえ、あの時のおちんちん……やっぱり小さかったよね?」
不意に飛び出すからかい混じりの言葉に、俺は思わず弁解した。
「あ、あれは水が冷たかったからだよ!男は冷やすと縮むんだ!」
すると彼女はさらに悪戯っぽく微笑む。
「ふ〜ん……じゃあ、今は大きいの?」
ドクン、と心臓が跳ねた。
「あ、あれは……今はちゃんと大きいさ!」
強がるように言い返すと、彼女はニヤリと口元を緩めた。
「ほうほう、じゃあ──見せてよ?」
──まさか、こんな展開になるなんて思わなかった。
けれど、逃げるのも格好悪い気がして、俺はおそるおそるズボンとパンツを下ろした。
彼女の目がじっと俺の下半身に注がれる。皮を被った先端が露わになり、冷たい空気にさらされた。
「……んー、やっぱりちょっと小さいかな?形もなんかかわいいし。」
からかうように笑うその視線に晒され続けるうちに、身体が反応し始める。
彼女は目を丸くしながら、じっとその変化を見つめていた。
驚きと興味が入り混じったような視線に晒されるたび、恥ずかしさが込み上げてきて、そのたびに皮の内側でさらに硬さを増していくのが自分でもわかった。
「でも……ふふ、それでも小さいよ?」
「誰と比べてんだよ……」
少しムッとしながら聞き返すと、彼女はばつが悪そうに小さく答えた。
「お父さん。お風呂で見た時は、もっと大きかったもん。」
大人と比べられたなら仕方ない──自分にそう言い聞かせようとするが、それでもやはり恥ずかしさと情けなさは消えない。目の前で晒し続ける状況に、頭がくらくらしてきた。
「もう、いつまで出してんの!いい加減しまいなさい!」
そう言いながら、彼女がふいに手を伸ばし、大きくなったそれを思いきりギュッと握りしめてきた。
予想していなかった強い感触に、身体がビクリと跳ね上がる。
「あ……っ!」
生まれて初めて女の子に握られた感触に、頭の中が一気に真っ白になる。
理性も踏ん張りもすべて吹き飛び、抑えきれない衝動が一気に溢れ出した。
びゅくっ、びゅるっ──!
白濁とした液が勢いよく噴き出し、彼女の指先や床にまで飛び散っていく。
「うわっ……な、なにこれ……」
驚きに目を丸くしたまま、彼女はしばらく精液の付いた手を見つめて固まっていた。
そして彼女は何も言わずに立ち去った。
呆然とその背中を見送りながら、俺は自分の中に湧き上がる猛烈な自己嫌悪と恥ずかしさに押し潰されそうになっていた。
あんな姿を見られて、しかも……。
きっと軽蔑されたに違いない。
失恋──その言葉が頭に浮かび、胸の奥がズキリと痛んだ。
それからしばらく、彼女とはぎこちない時間が続いた。会話は無く、目が合ってもお互いそらしてしまう。あの日のことを思い出すたび、顔が勝手に熱くなってしまった。
そして月日が流れ。
「そういえば短小で、包茎で、早漏だったよね。」
「……やめろよ、もう。」
彼女はくすっと笑いながら、いつものように俺をからかう。
あの時の恥ずかしい思い出も、今では二人だけの秘密みたいになっていた。
いよいよ明日は二人の結婚式だ。


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