放課後の教室。
提出物の確認のためにクラスの共有フォルダを開いたときだった。
ひときわ目を引くファイル名が目に飛び込んできた。
『図鑑ver.3.5 更新済』
なんだこれ?
誰のデータだろうか。提出用ファイルでも授業用でもない。
興味本位で指が動いた。
つい、ダウンロードボタンをクリックしてしまった。
ダウンロードが終わった瞬間、フォルダからそのファイルはスッと消えた。
もしかして、誰かが間違って共有したのかもしれない──。
胸が少し高鳴る。
いけないことをしているような気がしつつも、ダウンロードしたファイルを開いてみた。
最初に現れたのは、クラスの男子全員の顔写真だった。
一人一人の顔が整然と並び、名前が添えられている。
(卒業アルバム用の写真かな…?)
そう思って安心しかけた僕の目に、次のページの小さなリンクが映った。
「ランキング」
ランキング?
何の?
軽い好奇心が勝った。
思わずクリックする。
画面が切り替わり、そこには表が表示された。
| 順位 | 名前 | 数字 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 1位 | タカシ | 9.2cm | ○バランス良好 |
| 2位 | コウスケ | 8.8cm | ○やや皮あり |
| … | … | … | … |
| ↓ | 僕の名前 | 2.9cm | ×皮余りすぎ |
──頭の中が真っ白になった。
一瞬、理解が追いつかない。
でも、すぐに数字の意味がわかった。
(……まさか、そんな……)
震える指で、自分の名前をクリックすると、さらに個別のページが開いた。
そこには──
まるで現物を目の前で見ながら描いたかのような、リアルなイラスト。
細部まで描き込まれた自分自身の姿が、画面の中央にあった。
そして、その隣に無慈悲なコメントが並ぶ。
「多分3cmも無いからおまけして2.9cm。」
「皮が1cmほど余っている可能性。」
「赤ちゃんレベル。成長待ち。育てばいいねw」
「太さは小指より細め。」
顔が一気に熱くなる。
手が震え、息が浅くなる。
(……なんでこんなことまで……)
どうやって測った?
いつ、誰が見た?
僕は気づかないうちに、そんなに無防備にさらしていたのか。
体育の着替え、身体測定、プール、更衣室──
女子の目がそこまで…?
急に思い出す。
体育の時にふと感じた、あの視線。
誰も気にしていないと思っていた短パンの裾。
プールの授業中、ふと笑っていた女子の小さな声。
(あの時も……もう、その時には……)
気が遠くなりそうだった。
誰かに相談したい。でも……こんな恥ずかしいデータがあることを誰にも知られたくない。
もし広まれば、クラス中どころか学校中の笑いものになるかもしれない。
(言えない……絶対に……)
そう決めた瞬間、心に重く沈むような感覚と、なぜか妙に疼くような感覚が混ざり始めた。
(僕のこと、こんなに詳しく知ってるんだ……あの子たちは)
──それ以来。
女子たちが話しかけてくるたびに、優しい笑顔や何気ない会話の裏に、図鑑のデータが透けて見えてしまうようになった。
目が合うたびに「見られてる」感覚が蘇る。
(この子も、僕の数字を見て知ってるんだ──)
からかってる?
面白がってる?
それともただ、データを楽しんでるだけ──?
わからない。
だけど、その笑顔を見るたびに、
僕の股間は、どうしようもなく熱く、疼いてしまうのだった。
【図鑑の経緯はこちらから↓】



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