「お前ってさ、本当色白だよな。」
部活が終わった後の更衣室。
着替えをしていた友人に、ふとそんなことを言われた。
「そうかな……?」
今まであまり意識したことはなかったが、言われて隣の友人と腕を並べてみると、確かに俺の肌は際立って白い。
念のため周りの部員たちも見回してみたが、やっぱり自分が一番色白のようだった。
同じ炎天下でハードな練習をこなし、日焼け止めなんて塗っているわけでもないのに、なぜか俺の肌だけは焼けないのだ。
他の部員たちは皆、ユニフォームで隠れていた部分と露出していた部分で、くっきりと健康的なコントラストができあがっているというのに。
今まで気にも留めていなかったのに、面と向かって指摘されると、なんだか急に恥ずかしくなってくる。
「確かに白いな。なんでだろ……」
「体質じゃね?」
まあ、恐らくは体質なのだろう。
うちの家族もどちらかと言えば色白な方だしな、と一人で納得する。
「そんなお前にさ、ちょうどいいもんあげようと思って持ってきたんだよ。」
そう言うと、友人はバッグの奥から小さな瓶のようなものを取り出し、俺の手元にポンと手渡してきた。
「サン……オイル? 日焼け止め?」
「バカ、色白のお前に日焼け止め渡してどうすんだよ。逆だよ、逆。それを塗ると綺麗に日焼けしやすくなるっていうオイルだよ。」
なるほど、世の中にはそんな便利なものがあるのか。
「でも、いいのか? こんなのもらっちゃって。」
「ああ。実はさ、先月ネットで筋トレグッズの懸賞に応募したんだよ。そしたらなぜかそれが当たっちゃってさ。俺はもう十分焼けてるし、良かったら使ってくれよ。」
なるほどなるほど。
確かにテレビで見かけるボディビルダーの人たちは、筋肉を際立たせるために肌を真っ黒に焼いているイメージがある。
こういうオイルを使ってコンテストに挑んでいるのかもしれない。
「ありがとう。せっかくだし、使わせてもらうよ。」
「それ塗って日に当たれば一発らしいぞ。全身使えるタイプみたいだし、家で塗ってベランダにでも寝転んでおけばいいんじゃね?」
ベランダか。
うちのベランダは母さんが観葉植物や花をたくさん育てているから、男が一人で寝転がるには狭くて厳しそうだ。
……いや、待てよ。一つ思い当たる良い場所があった。
誰にも邪魔されない、俺だけの秘密の場所。
少し楽しみになってきたな。
決行の日は土曜日だった。 この日の部活は午前中で終わる。
おあつらえ向きに、空は雲一つない絶好の晴天だった。
部活を終え、汗を流してシャワーを浴びる。
「あーあ、学校のプールが開いてたら飛び込めたのになー。」
そんな他愛もない会話を交わしながら仲間と帰路につく。
だが俺は、「あ、ちょっと部室に忘れ物したから先に帰ってて!」と嘘をつき、踵を返した。
みんなの後ろ姿を見送り、一人で目的の場所へと急いだ。
向かった先は、厳重に施錠された屋上へと続く重い扉の前。
関係者以外立入禁止であるからこそ、誰にも邪魔されない絶対の安全地帯でもあった。
本来なら扉には南京錠がかかり、鎖でしっかりと固定されている。
だが俺は、天井の配管を伝って狭い隙間を抜け出せば、屋上に出られることを偶然知っていた。
おそらく、生徒の中で俺しか知らない秘密のルートだ。
周囲に人の気配がないことを慎重に確かめ、手慣れた手つきで抜け穴をくぐる。
日差しの中に踊り出ると、そこは視界いっぱいに広がる青空だった。
滅多に人が来ないせいでコンクリートの床は少し汚れていたが、そのために家から大きなブルーシートを持参してきたので問題ない。
早速ブルーシートを広げ、日焼けの準備を始めた。
「えっと……全身使って大丈夫だったよな?」
手渡されたボトルのラベルをもう一度確認する。
顔も身体も全身使用可能と書いてある。
念のため昨日の夜に腕でパッチテストも済ませており、肌荒れなどの異常が出ないことも確認済みだ。
意を決して着ていた服を一枚ずつ脱いでいく。
だが、最後の下着に手をかけたところで、ふと動作が止まった。
「……あれ? これって『全身』ってことは、パンツの中も塗るってことか?」
思わず誰に聞くでもない呟きが漏れる。
「まあ、いっか。誰に見られるわけでもないしな。」
自分に言い聞かせるように呟くと、ボクサーパンツを一気に膝まで下ろした。
一度もまともな陽の目を見たことがない、真っ白なちんちんがプルンと青空の下に解き放たれる。
ボトルからオイルを手に取り、まずは顔から順番に塗り伸ばしていく。
思った以上に伸びが良く、肌にしっとりと馴染む感触だ。
首筋から肩、胸元、腹筋、そして太ももから足先までムラなく塗り拡げていく。
「うーん……ちんこはどうするべきか……」
そもそもこんな場所に塗って大丈夫なのだろうか。
「まあ、皮すら剥けない俺のやつなら、大丈夫だよな。」
虚しい独り言を口にしながらオイルを手に取り、完全に包皮を被ったままのちんちんへと滑らせ、塗り込んでいく。
ぬるりとしたオイルの感触が、妙に手になじんで心地いい。
青空が広がる学校の屋上。
誰の視線もない開放的な屋外で、全裸になってちんちんをいじっている――。
その異常で背徳的なシチュエーションに、気がつけば俺のそこはビンビンに反り返り、固く勃起してしまっていた。
ハッと我に返り、首を振る。
「まずいまずい! こんなところでオナニーするなんて、どうかしてるわ……!」
手に残る余韻が名残惜しかったが、慌ててそこから手を離した。
(……もしかして、姉ちゃんが部屋に置いているあのベビーオイルってやつも、こんな風に気持ちいいのかな……今度こっそり借りてみようか……)
そんな不純な妄想を頭の隅に浮かべながら、準備したブルーシートの上へと仰向けに寝転がった。
青空の下で情けなくピンと直立している自分のそこが、少しだけ滑稽だった。
一応、熱中症対策のために冷やしたスポーツドリンクと水は、小さな保冷バッグに入れてすぐ手に届く場所に置いてある。
屋上は落下防止用の高い金網で囲まれていたが、頭上だけは完全に開かれていた。
太陽は真上から容赦なく輝き、遮る雲一つ存在しない。
その眩しい光を浴びながら、オイルでぬらぬらと光る全裸の身体で横たわっている。
これで「色白」から脱却できるのだという期待感で、胸がいっぱいになった。
太陽の光があまりにも眩しかったため、俺はそっと瞼を閉じた。
――それが、間違いの始まりだった。
今日の部活は午前中だけだったため、集合時間がいつもより早く、練習内容も普段の倍近くハードだった。
寝不足と、ハードトレーニングで極限まで疲弊した身体。
体力の回復を求める本能には抗えず、心地よい太陽の温もりに包まれた俺は、あっという間に深い夢の世界へと旅立ってしまったのだった――。
「……くく……」
……ん?
「……ちっちゃ……」
……なんだろう。
「……カシャ」
……なんの……音だ?
「……触っても……」
……なんか触られているような……。
「……ぷくく、すっごい伸びる……」
……なんか皮が引っ張られているような感覚がする。
「……全然起きないな。ちょっといじっちゃうか」
……ん? もしかして、これって夢じゃ……。
「……お、おっきくなってきた。」
ちんちんを何かが上下に動かしている、やけに生々しいリアリティのある感覚。
それが妙に心地よくて、頭がぼんやりとする。
――いや、待て。これは夢じゃなくて現実だ!
そこでハッと目を開いた。 目の前には、いたずらっぽく微笑みながら、指先で俺のちんちんをいじっている女子生徒の姿があった。
「あ、おはよー。」
笑いながら声をかけてくる彼女には、見覚えしかなかった。
きれいなロングの茶髪を風になびかせている女子。
同じクラスの、相沢彩葉だ。
少しヤンキーが入っていて、授業をサボることもちょくちょくある。
それでもいつも明るく、誰にも分け隔てなく気さくに話しかけるクラスの人気者だった。
そして――密かに片思いを続けていた、憧れの女子でもあった。
「えっ? え、なんで相沢がここに……?」
誰も入ってこないはずの聖域。
そこに、よりによって憧れの女子がいて、しかも俺のちんちんを指先でシコシコと弄っているという現実。
脳の処理が完全に追いつかず、目の前が真っ白になる。
やはりこれは悪夢の続きなのだろうか……。
だが、下半身に走る生々しい快感が、これがまぎれもない現実だと残酷に物語っていた。
「ちょ、ちょっと待て! なんでちんこ触ってんだよ!」
慌てて両手で股間を隠し、相沢の手をバッと払いのけた。
「なんでって……そこにちんこがあるから?」
いや、そんな平然と聞き返されても困るのだが……。
「いくら無防備に出しっぱなしだったからって、普通の女子は男子のちんこなんて触らないだろ……!」
俺の抗議に、相沢はにやりと意地悪く笑った。
「なるほどなるほど。さてはまだ、女って生き物に幻想を抱いているな? もしかして、まだ童貞か?」
そう言って、バシバシと軽い調子で俺の背中を叩いてくる。
素肌のままなので結構痛い。
「そうだよ、悪いかよ! 彼女なんてできたことないし!」
「別に悪かないよ。私だってまだだしね。」
あっけらかんとそう言い放つ彼女の言葉に、俺は「えっ?」と思わず間抜けな声を漏らし、まじまじと顔を見つめてしまった。
そんな俺の表情を見て、相沢は少しむっとしたように眉をひそめる。
「なんだよ、私が少し不良っぽいからって、ヤリマンだとでも思ってたわけ? ひどいやつだなあ。」
そう言いながら、今度はデコピンを食らわせられた。
やっぱり普通に痛い。
おでこを片手でさすりながら、慌てて弁解する。
「べ、別にヤリマンだなんて思ってないって! でも、少し意外だったからさ。悪かったよ。」
「別に気にしてないよ。でも、見た目だけで人を判断しちゃダメだからな。」
そう言って笑う相沢の顔は、やっぱりびっくりするほど可愛かった。
「ていうかさ、なんでそもそも倉橋はこんなところで全裸で寝てたわけ? 最初、ここで死体でも転がってるのかと思って本気で叫びそうになったよ。」
青ざめた顔で悲鳴を上げる相沢を想像して、少しだけ笑いそうになる。
「別にいいだろ。こっちにだって色々事情があるんだよ。」
やはり、色白なことを悩んで日焼けしていたというのは少し照れくさい。
だが彼女は目ざとく、あの瓶を見つけてしまった。
あっという間に手に取り、ラベルを確認する。
「サンオイル? なんだ、日焼けしてたのか?」
少し照れくさい。
「私からしたら色白の方がうらやましいけどな。」
そう言いながら、ジロジロと俺の全裸の身体を上から下まで値踏みするように眺めてくる。
あまりの居心地の悪さに、俺は必死に話題を逸らそうと口を開いた。
「そ、それより相沢こそ、なんでこんなところにいるんだよ? 今日は土曜日だから学校休みだろ?」
部活の連中もとっくに帰っているし、土曜日に学校にいる理由なんて本来ないはずだ。
「補修だよ。出席日数がちょっと危うくてさ。午前中で終わったんだけど、そのまま帰るのもなんだからここに来たんだ。そしたら倉橋が全裸で倒れてたからな。」
サボり常習犯の彼女なら、この屋上の秘密の抜け穴くらい簡単に知っていてもおかしくはないか。
そこまで頭が回らなかった自分の油断を呪うしかなかった。
「でさ、あまりにも無防備だったからついちんこイジってたら、だんだんおっきくなってきたからさ。『あ、ちゃんと生きてるんだな』って確信が持てて安心したよ。」
少し意意地悪そうな、からかうような笑顔で俺の顔をのぞき込んでくる。
そういえば、まだ服を着ていない。さっき慌てて手で股間を隠したものの、このままでは丸裸のままだ。
急いで着替えようと周囲を見回したが、脱いだはずの荷物が見当たらない。
慌ててキョロキョロと探す俺の横で、相沢がクスッと笑いながら俺のバッグを背後からひょいと取り出した。
「もしかして、探してるのってこれか?」
「そ、それ! 返してくれよ!」
しかし相沢はバッグを持ったまま、わざとらしくひょいと体を後ろに引いた。
「どうしよっかなー。いっそ、この金網の外に全部投げちゃおうかなー。」
手でバッグを大きく放るような仕振りをする。
冗談だと分かっていても、今の全裸の状態で荷物を失うのは死活問題だ。気が気ではなかった。
「相沢さん、頼むよ。返してくれよ。」
必死にすがる俺を見て、相沢はふっと表情を和らげ、少しだけ神妙な顔つきになった。
「あのさ、私たちって同じクラスだよな?」
唐突な問いかけに、俺は思わず身構えた。
「その『さん』付け、やめてくれないかな。同級生にそう呼ばれるの、なんだか背中がこそばゆくて。」
何かと思えば、そんなこと気にしていたのか。
「わかったよ。これから相沢って呼ぶ。だからさ、荷物返してくれないかな。」
すると、また意地悪な笑顔に戻った。
「じゃさ、もう一回ちんこ見せてくれよ」
「なんでそうなるんだよ!」
正直、コンプレックスの塊でもあるので、そうそう見せたいものではない。
……いや、少しだけ相沢には見て貰いたい気もある。
葛藤する俺の前に、相沢はスマホの画面を突きつけてきた。
そこには、さっき彼女が面白半分に撮影したのだろう、指で皮を思いっきり引っ張られた、あまりにも無様で情けない俺のちんちんがハッキリと写し出されていた。
「さっき撮ったんだよね。見せてくれないなら、この写真どうなるのかなー。」
あまりにも分かりやすく、そして効果覿面な脅しだった。
ここまで追い詰められたら、もう引き下がる理由はどこにもなかった。
「わかったよ……。たださ、頼むから、これを他の奴らには絶対に黙っていてくれよな。」
その消え入りそうな頼みに、相沢は少しだけきょとんとした顔をした。
「え? ここで全裸で寝てたこと?」
そうだ、と言いたかったが、結局一番隠したい本心が口から零れ落ちていた。
「その……小さいとか、包茎なこととか……」
それを聞き、堪えきれなくなったように吹き出した。
「なに、そんなこと気にしてたの? 言うわけないじゃん。……ほら、はやく見せなさい。」
相沢はスマホをポケットにしまい、すっと俺の目の前にひざまずいた。
そして、股間をガードしていた俺の両手を、ゆっくりと、優しく外側へと押し開いていった。
遮るものが何一つない屋上で、相沢の目の前に俺のそこが解き放たれた。
日焼けオイルでテカテカと光る、白く、小さく情けないそれ。
彼女はそれをじっと見つめている。
「さっきも見たけど……やっぱ小さいよな。皮もしっかり被ってるし。先輩に見せてもらった無修正のやつだともっと大きかったからさ。」
分かってはいた。
分かってはいたけれど、面と向かって指摘されると、心に鋭いダメージを負ってしまう。
しかも、その相手が密かに片思いをしている相沢となれば、なおさらだ。
俺はフラフラと頼りない足取りで金網の方へと歩いて行った。
「……死のうかな……」
そうポツリと呟きながら、金網をガシッと掴んだ。
もちろん、本気で死ぬつもりなんてサラサラない。
ただのちょっとした自虐のパフォーマンスだった。
だが――思った以上に相沢が慌てだした。
「ちょ、ちょっと待てって! 飛び降りとかマジでやめろって! ゴメンてば!」
叫びながら、相沢が背後から必死に俺の腰に抱きついてきた。
お尻のあたりに、布越しとはいえ柔らかく温かい感触がぎゅっと押し付けられる。
(相沢って……意外と胸が大きいんだな……)
そんな不純な感想が頭をよぎっていた。
俺は相沢の手をそっとほどき、くるりと彼女の方に向き直った。
「冗談だよ」と笑って言おうとして、俺は息を飲んだ。
相沢の瞳が、少しだけうるうると潤んでいたのだ。
サボり魔で少し不良っぽいけれど、やっぱり根はすごく優しい子なんだろう。
「ごめんごめん、冗談だって。まだ童貞なのに飛び降りるわけないじゃん。」
そう言って笑ってみせると、彼女はホッと胸を撫で下ろした。
――そして、彼女の視線がスッと下へと落ちた。
「……確かに、死ぬ気はなさそうだな。」
つられて視線を落とすと、そこにはいつの間にか元気いっぱいに直立している俺のそこがあった。
さっき背後から抱きつかれた時の感触に、自分でも気づかないうちに素直に反応してしまっていたらしい。
「あ、ご、ごめん……!」
慌てて両手で股間を隠すと、相沢はふっと吹き出した。
「ふふ、まあ仕方ないか。……変なこと言って傷つけたお詫び、してあげるよ。そこに座りな。」
そう言って、床に広げたブルーシートを指さした。
(お詫びって……もしかして……)
どうやら俺は、あまりにも分かりやすく期待に満ち満ちた表情を彼女に向けてしまっていたらしい。
「て、手!手だけだからな!それ以上は絶対ダメだぞ!」
いつも余裕たっぷりの相沢が、顔を真っ赤に染めながら必死に慌てている。
その破壊力たるや、これだけでご飯が何杯でもいけそうだった。
そもそも、憧れの相沢に手でしてもらえるなんて、俺にとっては十分すぎるほどのご馳走だ。
それ以上を望んだらバチが当たるというものだろう。
……まあ、さっき目を覚ます直前にシコシコ触られていた気はするけれど。
俺は指示された通り、ブルーシートの上にそっと腰を下ろした。
相沢はすぐに俺のすぐ横にしゃがみ込んでくる。
そして、彼女の柔らかい指先が、俺のちんちんを優しく摘まんだ。
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