【創作羞恥小説】睡眠時無呼吸症候群とEDの検査

創作羞恥CFNM

最近、日中の眠気が異常なほどにひどい。
気がつけば、ほんの一瞬、意識が飛んでしまっていることすらあった。
先日の会議中、ついにこらえきれずに居眠りをしてしまい、後から上司に呼び出されて注意を受けた。

「最近ちょっとひどいんじゃないか?夜はちゃんと眠れているのか?」

僕だって、極力睡眠時間は確保しようとしている。
だが、どんなに早く布団に入ろうとも、夜中に何度も目が覚めてしまうのだ。
結局、ぶつ切りになった睡眠のせいで、朝から激しい睡魔に襲われる日々が続いていた。
とにかく、睡眠の質が圧倒的に悪いのだろう。

「誰かに、『いびきがうるさい』とか指摘されたことはないか?」

上司の言葉に、ふと思い出すことがあった。
以前、友人が家に泊まりに来たときに、「お前、ちょっといびきがうるさすぎるぞ。」と笑いながら文句を言われたことがあった。
あのときはただの冗談だと思って聞き流していたが、もしかしたら本当に尋常ではないいびきをかいていたのかもしれない。

「有休を使っていいから、一度ちゃんと病院に行ってきなさい。もしかしたら『睡眠時無呼吸症候群』ってヤツかもしれないぞ。」

睡眠時無呼吸症候群――。
言葉自体は聞いたことがある。
けれど、あれは確か太った人がなる病気ではなかったかな。
別に自分はそこまで太っているわけじゃない。
そう心の中で反論しかけたとき、上司がさらに言葉を重ねた。

「お前、この間の健康診断で『内臓脂肪が多い』って診断されたって、自分で言ってただろ?」

……ぐうの音も出なかった。まさに心当たりしかなかった。

「……わかりました。近々、病院に行ってこようと思います。」

正直に言えば面倒くさい。
けれど、さすがに仕事にこれ以上の支障が出るのはまずいのも事実だ。
有休を消化するのはなんだかもったいないし、土日でも検査や診察をしてくれる近所の病院を探してみよう。
重い腰を上げる理由は、もう十分すぎるほど揃っていた。


徒歩数分の場所に、新しくできた病院。
そのウェブサイトを開くと、睡眠時無呼吸症候群の治療がかなり大々的に掲げられていた。
好都合なことにWEB予約も可能だったため、僕は早速次の土曜日の枠を確保した。

当日、向かった先は複数のクリニックが入ったビルだった。
フロアの階数を確認し、エレベーターに乗り込む。
やはり、昔から病院という空間は少し苦手だ。
特にこうして密室のエレベーターに閉じ込められると、逃げ道を完全に塞がれてしまったかのような、特有の圧迫感を覚えてしまう。

チーン、と静かに扉が開くと、目の前には自動ドアがあり、その先にはホテルのように綺麗な受付が広がっていた。

「あ、すみません。予約していた望月です。」
「はい、望月様ですね。保険証かマイナンバーカードはお持ちですか?」

ちょうど少し前に、マイナ保険証の手続きを済ませたばかりだった。
初めて使う最新のシステムに、内心で少しだけ緊張しながら、受付の機械にカードを差し込む。

「あ、すみません、裏表が逆ですね。お写真のある面を機械の方に向けていただけますか?」

受付の女性に、にこやかに指摘されてしまった。
きっと、僕と同じように間違える人がごまんといるのだろう――。
自分の中でそう言い訳をしながら、カードをセットし直した。

顔認証はスムーズに通り、そのまま問診票を手渡される。

「記入が終わりましたら、受付までお持ちくださいね。」

その際、受付の綺麗な女性の指先に、僕の手がほんの少しだけ触れた。
不謹慎ながら、なんだか少し得をしたような気分になる。
どうしたらあんな綺麗な人と付き合えるんだろうな、としょうもないことを考えながら自分が呼ばれるまで待ち続けた。


しばらくすると名前を呼ばれ、僕は診察室へと案内された。
ドアを開けて中に入ると、そこにいたのはこれまた大変お綺麗な女医さんだった。
女医さんと看護師さん。
二人の美人に囲まれる形になり、僕は不純にも少しだけ胸をドキドキさせていた。

「こんにちは。望月さんですね。よろしくお願いします。」

にこやかに迎えられ、手渡した問診票をベースに、日中の猛烈な眠気や夜間の覚醒についていくつかの言葉を交わす。
一通り話し終えたところで、女医さんは一つの結論を口にした。

「そうですね……お話を伺う限り、望月さんの症状はやはり『睡眠時無呼吸症候群』の可能性が極めて高いです。」

やっぱりそうなのか、と腑に落ちる。
同時に、あの異常な眠気の原因がわかったのは良かったのかもしれない。

「ですが、問診だけで確定診断を下せるわけではないので、まずは一度、ご自宅でできる簡易検査を行いましょう。」

傍らにいた看護師さんから、一枚のプリントを手渡された。
説明によると、数日中に自宅へ簡易検査キットが郵送されてくるらしい。

「3日間、寝る時にその装置をつけていただき、検査が終わったらそのまま郵送で送り返す形になります。その後、一週間ほどで検査結果が当院に届く手筈になっています。」

なるほど、わざわざ入院しなくていいのは合理的でありがたい。
そう納得していると、女医さんが「それからですね……」と言いながら、何やら細かな目盛りが刻まれた、テープ状の紙を3枚取り出した。

「検査の際、こちらも一緒に使っていただきたいのです。」
「これ、何ですか?」
「はい。こちらは、寝ている間に『勃起』しているかどうかを検査するキットですね。」

……え?
今、この美人の女医さんの口から、とんでもないワードが飛び出さなかったか?
いや、聞き間違いだ。きっとそうだ。
最近まともに抜いていなかったから、いよいよ欲求不満が極まって幻聴でも聞こえ始めたに違いない。

「えっと……なんですって?」

念のため聞き返すと、女医さんは至って真面目な顔で、はっきりと復唱した。

「ですから、寝ている間にちゃんと勃起しているかを確認したいのです。就寝前にペニスに巻きつけてください。朝起きたときに外れていれば、夜間に膨張した証拠になりますから。」

幻聴ではなかった。しかも今度は「ペニス」とダイレクトに言った。
あまりの衝撃に僕が漫画のように硬直していると、女医さんはこちらの様子を怪訝そうに覗き込んできた。

「あの、もしかして何か、いやらしいこと考えていませんか?睡眠時無呼吸症候群は、ED――つまり勃起不全と非常に密接な関係があるんですよ。」

あ、ああ、なるほど。医学的なアプローチなわけか。

「す、すみません。変な受け取り方をしてしまいまして……」

顔を真っ赤にして弁明する僕を見て、横に立っていた看護師さんが「クスッ」と堪えきれずに笑った。
そして、その例のテープを僕の手元に手渡してくれる。
よく見ると、数字も書かれていて、本当に短い巻尺のような不思議な形をしていた。

「そちらのテープは郵送せず、次回の診察の際、直接こちらにお持ちくださいね。」

――こんなものを、後日この可愛い看護師さんに手渡さなきゃいけないのか。
というか、あれを毎晩ちんちんに巻いて寝るのか。
変に意識してしまって、逆に一睡もできなくなるんじゃないかと本気で心配になってくる。

ひとまず、「自宅検査キット」が家に届くことを楽しみにしながら家路についた。


届くまで2週間ほどかかると言われていた検査キットは、思いのほか早く到着した。

「へえ、意外とコンパクトなんだな。」

箱を開けてみると、入っていたのは鼻に装着するチューブと、指先につける小さな機械だった。
こんな簡易的な装置で睡眠の状態が分かるなんて、今の医療テクノロジーはすごいなと感心しながら説明書に目を通す。

「よし、早速今晩から試してみよう。寝ている間に無意識に外さなきゃいいけど……」

呟きながら、同時にあの「ちんちんに巻きつける例のテープ」の存在を思い出した。
その日の入浴時、いつも以上にそこを念入りに、かつ丁寧に洗い上げた事は言うまでもない。

その夜、僕は少しばかりのソワソワ感を抱えながら、鼻と指に検査キットを装着した。
そして、おもむろに例のテープをちんちんへとそっと巻きつける。

「……これで合ってるよな?なんだか落ち着かないな。」

自分のシンボルに細かな目盛りの刻まれた紙が巻き付いているという、あまりにもシュールな光景に、思わず一人で吹き出してしまった。

「とにかく、寝ることが最優先だ。ぐっすり眠れますように。」

祈るような気持ちで目を閉じたものの、その夜も結局、いつものように途中で何度か目が覚めてしまった。
それでもどうにか朝を迎え、目覚まし時計の音で起き上がる。

僕はすぐさま検査キットを引っぺがし、限界を迎えつつある尿意に突き動かされてトイレへと駆け込んだ。
するとその瞬間、パンツの中から、くるりと丸まった紙が床へと落ちた。

「あっと……そうだ、ちんちんにつけてたんだっけ。」

急いでおしっこを済ませ、床に落ちたその紙を拾い上げる。
よく見ると、寝る前に巻いた時よりも、輪の大きさが少しだけ広がっているように感じられた。
試しに、今すっかり縮みきっている状態のちんちんに通してみると、当然ながらスカスカである。

「……良かった。寝ている間に、ちゃんと仕事してたみたいだ。」

最近は朝立ちを自覚することもめっきり減っていたので、その事実に男として少しだけホッとした。
これで次の診察の時、胸を張ってあのテープを提出できるぞ、と妙な自信が湧いてくる。

そんな調子で、3日間の検査期間は無事に終了した。
役目を終えたキット一式を送られてきた箱に詰め、郵送で送り返し、これにてミッションコンプリートだ。

あとは、結果が出る2週間後くらいを目安に病院の予約を取るだけだ。
一体どんな診断が下るのか、少しの不安と、それ以上の楽しみを胸に、僕は次のステップを待つことにした。


当日、僕は例のテープを輪っかの状態のまま、形が崩れないよう小さな箱にそっと収めた。
それをリュックの底に忍ばせ、病院へと向かった。

診察室に入り、再びあの美人女医の前に座る。
彼女は手元の書類を見つめながら、表情を引き締めた。

「検査の結果ですが……かなり重症です。望月さんご自身は寝ているつもりでも、体はほとんど眠れていない状態ですね。」

手渡されたデータシートには、素人目にも一目で異常だとわかる歪なグラフが並んでいた。
最長で2分近くも呼吸が完全に止まっている時間帯があるという。
背筋がスッと寒くなった。これは、もっと早く病院に来るべきだったのだ。

「本来なら、この結果を受けて一泊二日の入院精密検査に進むのですが、今回はそれを飛ばして、すぐに治療に入りましょう。」

医師の言葉に生唾を飲み込む。
提示されたのは「CPAP(シーパップ)」と呼ばれる機械を毎晩装着して眠る治療法だった。

「これは器具から空気を送り込んで気道を開き、呼吸をスムーズにする機械です。ただ、これで根本的な病気が治るわけではなく、あくまで対症療法に過ぎません。」

やはり、並行してダイエットを進めるのが不可欠なようだ。
僕が持参した健康診断の書類に目を落とした瞬間、先生の美しい顔が一瞬だけ曇ったのを、僕は見逃さなかった。

「ですが、あなたを苦しめてきた日中の猛烈な眠気の原因が分かったのは、大きな一歩です。一緒に頑張って治療していきましょうね。」

先生の温かい笑顔が、暗闇を照らす一筋の光のように思えた。

「――おっと、忘れそうになるところでした。例の夜間勃起の検査は、していただけましたか?」

そうだった。
睡眠時無呼吸症候群の検査結果が衝撃的すぎて忘れるところだった。
慌ててリュックから小さい箱を取り出した。
そして、両手を差し出してくれた看護師さんに手渡した。
なんとなく、ちんちんに巻きつけたものを可愛い人に渡すのは少し憚られるけど仕方ない。

「では、それに関連して少しだけ質問させてください。いわゆる、朝立ちはしますか?」
「いえ……最近はあまり、自覚がないです……」
「そうですか。では、勃起した際に、以前よりも硬さが足りないと感じることは?」
「あ、はい。確かに、昔に比べると柔らかい気がします……」

診察室の空気の中で、あまりにもダイレクトで恥ずかしい質問が飛び交う。
たまらず僕は、素直な疑問を口にした。

「あの……こういった質問も、やはり治療に必要なのですか?」
「ええ。睡眠時無呼吸症候群の合併症として、ED(勃起不全)になりかけている可能性が高いですから。でも、ご安心ください。当院は泌尿器科も併設していますので。」

そうだったのか。
呼吸器科と睡眠なんちゃらみたいなのしか見ていなかった。

「そうなんですね。知らなかったです。」
「はい、当院は内科、呼吸器科、睡眠外来、そして泌尿器科がありますので。ご安心してEDの相談もしてくださいね。」
「いや、まだEDと決まったわけじゃ……」

僕が小さく抵抗していると、箱の中身を検分していた看護師さんが、妙に神妙な顔つきで先生に声をかけた。

「あの、先生ちょっとよろしいですか?」
「少し失礼しますね。」

二人は顔を見合わせると、診察室の奥にあるパーテーションの向こうへと移動した。
壁越しにボソボソと内密に話し合う声が聞こえてくる。
内容は全く聞き取れない。その不明瞭さが、僕の心に得体の知れない不安を植え付ける。
「ふぅ……」と、先生の小さいため息が聞こえた気がした。

やがて戻ってきた先生の顔を見て、僕は息を呑んだ。
さっきまでの優しい笑顔は消え失せ、少し怒っているように見えた。

「望月さん。どうしてちゃんと検査をしてくださらなかったのですか?」

身に覚えのない叱責だった。
呆然とする僕を、先生はさらに冷ややかな目で見据える。

「あのですね、恥ずかしい気持ちは分かります。ですが、こちらが指示した通りに正しく検査を受けていただかないと、適切な治療計画が立てられないんですよ。」

本当に何のことか分からず、僕はただ戸惑うしかなかった。
弁解の言葉すら見つけられない僕に対し、先生はもう一度深いため息をつくと、デスクの上にあの小さな箱を突き出した。
そして、中から綺麗なリング状のままキープされた紙テープを取り出す。

「心当たりありますよね?いくらなんでも、こんな適当に丸めただけの輪っかじゃ、検査していないのは丸わかりです。」

いや、それはちゃんと寝る前につけてきちんと測ったはず。

「いや、僕はちゃんと……。」

先生の鋭い一瞥が飛んでくる。

「ですから!成人男性の勃起時のペニスが、こんなに細いわけがないでしょう?私の親指より、ほんの少し太いくらいのサイズですよ?」

その瞬間、僕の男としてのプライドに、容赦なく鋭利な刃物が突き立てられた。
そうか……僕のが、あまりにも小さすぎたせいで、検査を適当にサボって指か何かで丸めただけだと疑われたのか。

すると先生は、僕の手を荒々しく掴むと、その小さな紙の輪っかを僕の親指へと強引に嵌め込んだ。

「ほら見なさい。あなたの親指にぴったりのサイズじゃないの。」

勝ち誇ったように言い放つ先生。
少しだけ、涙が溢れそうだった。
消え入りそうな声をどうにか絞り出し、僕は告白した。

「……本当に、きちんと測ったんです。それが……僕の、ちんちんの大きさなんです……」

診察室が一瞬にして凍りついた。
「え?」という戸惑いの表情を浮かべたまま、先生と看護師さんが顔を見合わせる。
きっと、過去に検査を誤魔化そうとした不届きな患者がいたのだろう。
けれど、これは紛れもない事実なのだ。
睡眠中とはいえ、僕のちんちんの正真正銘最大サイズだった。

小さくて悩んだことはあった。
だが、まさか小さすぎるという理由で、医者から直々に「検査をサボった」と怒られる日が来るとは夢にも思わなかった。

「あ、あの……望月さん?」

おずおずとした、酷く恐縮した声で先生が呼びかけてくる。
僕は俯いていた顔を、どうにかして持ち上げた。

「……もしそれが本当でしたら……申し訳ありませんでした!」

綺麗な黒髪を揺らし、先生が机に頭がつきそうなほど深々と頭を下げた。

「私も、変な先入観で失礼なことを申し上げてしまい、本当に申し訳ありませんでした!」

看護師さんも、顔を真っ赤にして隣で直立不動のまま頭を下げる。
美人の二人にそこまで全力で謝罪されると、こちらも戸惑ってしまう。

「い、いや……あの、大丈夫ですから……顔を上げてください。」

深く傷つきはしたけど、頭を深々と下げられている今の状況も辛い。
とりあえず誤解は解けたのでヨシとしよう。
……はぁ。

「あの、もしよろしければ一度ペニスを診察させていただけませんか?もしかすると、『マイクロペニス』と言って、治療が必要になるかもしれません。」

マイクロペニス……。
生まれて初めて聞く単語だったが、その響きだけで僕の心に追い打ちをかけるには十分だった。
単なる個性の範囲としての「小ささ」ではなく、病気の可能性があるというのか?

「掛井さん、この後の診察スケジュールは?」
「はい、ちょうど今からお昼休みに入るところですので、次の患者さんはおられません。」

時計の針は、いつの間にか12時を回っていた。

「本当に悪いんだけど、掛井さん、お昼の休憩を少し後ろにずらしてもらえる?」
「はい、もちろんです!私が変な疑いをかけて患者様を深く傷つけてしまったのですから、むしろ私からも先生にお願いしたいくらいです。」

なんか、診察を受けると言っていないのに外堀がドンドン埋まっていく。
しかも、はじめて見せる相手が美人の女性二人だなんて。
さすがに心の準備が……。

「よし、じゃあ掛井さん、準備をお願い。――望月さん、ズボンと下着を脱いで、こちらのベッドへ腰掛けてくださいね。」

先生が指示を出すと同時に、カサカサと小気味よい音を立てて、診察用ベッドに使い捨てのシーツが敷かれた。
完全にこっちの意思とは関係なく、診察が始まってしまったようだ。
もう逃げられないと悟り、のろのろと椅子から立ち上がった。


カチャカチャとぎこちない音を立ててベルトを外し、前を手で押さえながらパンツまで下ろした。
そのまま、観念して診察用ベッドへと腰を下ろす。
僕の正面に置かれた丸椅子に先生が腰掛け、そのすぐ横には看護師さんがぴたりと寄り添うように立っている。
どうやら、二人の美しい女性に全てを晒すという僕の運命は、もう変えられないようだった。

「では、手を離していただけますか?」

青いラテックスの手袋をはめながら、先生が最終宣告を告げる。
情けない僕の分身のお披露目が始まってしまった。
奥歯をギュッと噛み締め、僕はそっと両手を太ももの裏へと退けた。

二人の視線が、一点に集中する。
見つめられているという生々しい事実だけで、心臓がうるさいくらいに胸の内で鳴り響いた。

「はい、ありがとうございます。やはりサイズは小さいですね。緊張されているのもあるとは思いますが。」

差し挟まれた小さなフォローが、かえって僕の情けなさを何倍にも膨らませる。

「では、定規を当ててサイズを計測しますね」

先生はパックから新品のプラスチック定規を取り出すと、アルコール綿で丁寧に拭き、僕の恥骨のあたりにギュッと押し当てた。

「触りますね。少し引っ張りますが、痛かったら遠慮なく言ってください。」

ちんちんを、美人の指先で直につままれてしまう。
いくら医師という立場だろうが、彼女が綺麗な女性であることに変わりはない。
もしかしたら、僕の人生でこんな美人にここを触ってもらえる機会なんて、これが最初で最後かもしれない。
そっと指先が触れた瞬間、全身に電撃が走ったかのような衝撃を覚え、体がピクッと動いてしまった。
だが、先生はそんな僕の動揺など意に介さず、垂直に当てた定規の目盛りに合わせて、僕のそこをぐっと引っ張って伸ばした。

「うーん、5……センチですね。掛井さん、記録をお願い。」

すると次の瞬間、いつの間にか用意されていたデジカメのレンズが向けられ、パシャパシャとシャッター音が響いた。
定規を当てられた情けない姿が、鮮明なデジタルデータとして数枚撮影されていく。
一瞬抗議をしようと思ったが、ちんちんに触れている指の感触に脳みそが痺れて声が出なかった。

「望月さんは包茎のようですが、こちらはご自身で剥くことはできますか?」

情け容赦のない、あまりにもストレートな質問。
これで彼女には短小であることと、包茎であることを指摘されてしまったことになる。
もはや、男としてのプライドのプの字すら残されていなかった。

「……はい、一応、剥けます……」

かつてネットのどこかで見かけた、「剥いて生活していれば大きくなる」という噂。
それを信じ、風呂場で涙ぐましい大格闘を繰り広げた末に、どうにか剥けるようになったのだ。
だが、淡い希望も虚しく大きくなることはなかった。
それどころか、気のせいか皮が伸びて弛んでしまった気すらしていた。

「では、こちらでめくりますので、じっとしていてくださいね。」

その声と同時に、ぬるりとした独特の感触を伴って、包皮が亀頭の根元へと滑り落ちた。

「おふっ……」

そんな、情けなすぎる声が口から漏れる。
自分以外の、それもこんな美人に皮を剥いてもらうことが、これほどまでに強烈な刺激を伴うものだとは知らなかった。
ほんの一瞬だけ、自分が短小包茎で良かったかもしれない、とすら思ってしまった。

「では、この状態でもう一度サイズを測りますね。」

先生は再び定規を押し当てる。

「うーん……やっぱり包皮があまり気味だったのかな。4.5センチ、ね。」

剥いたらさらに小さくなるなんて……。
そして当然のように、再びカメラのフラッシュが焚かれる。
亀頭をつままれ、定規を添えられている情けない姿がまた記録されていく。

「はい、ではこのまま、勃起した状態のサイズも測っていきましょう。自宅での簡易検査が、もしかしたら一番大きい状態ではない可能性もありますからね。」

先生がそう言うと、入れ替わるように、それまで立っていた看護師さんが丸椅子に腰掛けた。
そして、彼女の白く細い指先が、そっと僕のそこを摘んだのだ。
え?と頭が完全に混乱し、声にならない声が漏れていた。

「本来なら、ご自身で大きくしていただくのですが……」

そう呟くと、僕の耳元にその綺麗な顔を寄せ、吐息が触れるほどの距離で囁いた。

「先ほどの失態のお詫びです。……もし私じゃ嫌でしたら、目を瞑って、好きな女性の顔でも思い浮かべていてくださいね。」

次の瞬間、彼女の手指が艶めかしく、そして巧みに動き出した。
それは、およそ病院という空間で味わうはずのない、純粋な快楽を伴った愛撫だった。
僕は目を瞑るどころか、彼女の可愛らしい顔をじっと見つめ続けることを選んだ。
そんな僕と視線が合うと、彼女はいたずらっぽくクスッと微笑んでくれた。

人差し指が亀頭の過敏な部分を優しく撫で回し、親指の爪がカリカリと裏筋の急所を的確に刺激する。
そのプロフェッショナルかつ淫らなテクニックの前に、僕は「あっ」という間に、完全に勃起させられてしまった。
最近は立ちが悪くて悩んでいたはずなのに、主人の意志を無視していつも以上にパンパンに張り切っているそこに、僕は激しい羞恥と、それ以上の熱い興奮を覚えていた。


「では、早速測ってしまいましょうね。」

掛井さんは手際よく定規を構え、先生とポジションを入れ替わった。
名残惜しさはあったが、ここは病院の診察室なのだと、僕はどうにか理性を呼び戻した。

「ええと……8センチ、ですかね。やはり平均からすると小さめではありますが……」

先ほどの小箱から輪っかを一つ取り出す。
そして、大きくなったちんちんに合わせた。

「見てください。やはり睡眠中は、完全に勃起しきっていなかったみたいですよ。」

彼女の言う通り、僕のそこは、寝る前にちんちんに巻いた紙の輪っかよりも、ほんの少しだけ外側に大きく膨らんでいた。
まぁ、誤差でしかないとは思うけど。

先生は手元のカルテにサラサラとペンを走らせ、パソコンのキーボードを叩いてデータを入力していく。
そして、笑顔で僕と正面から向き合った。

「望月さん、ご安心ください。『マイクロペニス』ではありませんでした。ギリギリではありますが、医学的な基準値はしっかりとクリアしています。良かった。」

僕はなんとも言えない複雑な気分に陥っていた。
基準値ギリギリということは、結局のところ「公式にめちゃくちゃ小さい」と太鼓判を押されたようなものではないか。
手放しで喜んでいいのか、激しく微妙なところだった。

すると、先生はフッと視線を僕の股間へと落とした。

「それにしても、まだ元気いっぱいですね。睡眠時無呼吸症候群の治療が進めば、もっと健康的で、さらに元気なペニスになりそうですよ。」

その言葉に、僕は自分が置かれている状況にようやく気がついた。

「す、すみません!出しっぱなしなのを完全に忘れてました!」

慌てて両手で前を隠す。
あろうことか僕は、完全勃起したちんちんを美人の前に堂々と晒したまま、先生の真面目な診察結果を聞いていたのだ。
あまりの羞恥心に、心底自分が大馬鹿野郎に思えて仕方がなかった。

「さて、本日の予定していた検査はこれで一通り終わりなのですが……」

先生はカルテに目を通しながら話す。

「いかがですか?本来、当院のこの外来では基本的に行っていないのですが、『精子』の検査もしていかれませんか?」

その言葉に「え?」としか返せなかった。
それはつまり、刺激を今か今かと求めて勃起しているそれを諌めてくれるのだろうか?

――いや、落ち着け。
確か一般的な精子検査というのは、病院の狭い専用ルームに閉じ込められ、大して面白くも無さそうなAVを観ながら、孤独に自分で出すものだったはずだ。

とはいえ、自分の精子が本当に元気なのかどうか、男として興味があるのも事実だった。


「……わかりました。せっかくですし、お願いします。」

その返事に、先生と看護師さんは嬉しそうに微笑んだ。


先生が手にはめていた薄青いラテックスの手袋を、パチン、パチンと小気味よい音を立てて外した。
一体、これからどんな秘密の部屋に案内されるのだろうか。
気にならないと言えば嘘になる。
とりあえずズボンは履かないとダメだよな、と思い立ち上がった。

「あら?トイレに行かれますか?」
「いえ、そういうの一人で出す部屋とかあるんですよね?」

お互いに首を傾げる。
話が微妙に噛み合っていない感じがする。
その様子を見て、横にいた看護師さんが何かに気づいたようにポンと手を打った。

「ああ、なるほど。そういうことですね。先ほども先生が申し上げた通り、当院では通常の精子検査は行っておりません。ですから、そういったご自身で射精していただくための『採精室』はご用意していないんですよ。」

んん……?
ますます訳が分からなくなった。
設備がないのだとしたら、一体どうやって僕の精子を採取するというのか。
僕の困惑を察して、先生の艶やかな唇が妖しく弧を描いた。

「ですから――こうやって『搾精』するんですよ。」

立ち上がったせいで先生の目の前にある勃起したちんちん。
それを、さっとアルコールで拭いたかと思ったら、おもむろにパクッと咥えた。

「ええっ!?な、何をしてるんですか!?」

驚愕のあまり叫びそうになった僕の口を、掛井さんの白く細い手がそっと塞いだ。

「お静かに。待合室に聞こえてしまいますよ?」

看護師さんは優しく微笑んだ。
美人の女性って、手のひらまでいい匂いがするんだな、と、どうでもいいことを考えていた。

だが、次の瞬間、下半身から快感という名の衝撃が突き抜けた。
ただ咥えているだけだった先生の口内から、ぬめりとした熱い舌が這い出し、ねっとりと舐め回し始めたのだ。
未だかつて味わったことのない異次元の感触に、骨盤を伝って脳髄までがジンと痺れるような感覚に襲われる。

ちゅぱちゅぱと、口と肉が擦れ合う卑猥な音が静かな診察室に響き渡る。
どうしていいか分からず突っ立っている僕に、看護師さんが僕のスマホをそっと手渡してきた。

「どうぞ。これはあくまで特別な『医療検査』ですから、こうして搾精されているところを、しっかり動画で撮影しておいてくださいね。」

震える手でカメラを起動し、録画ボタンを押す。
レンズを股間へ向けると、画面の中には、僕の情けないモノを熱心に貪っている美しい女医の姿が映し出されていた。
そもそも診察内容を私的に撮影すること自体、倫理的に大問題な気がしたが、そんな正論は頭の中からすぐに追い出した。

あの気高く美しい先生が、僕の小さくて不格好なちんちんを必死に咥え、上目遣いに僕を見つめている。
その背徳的なビジュアルだけで、僕の限界は近かった。
先生は器用に舌を絡ませながら、頭を大きく前後に動かして激しいピストン運動を始める。
自分の手によるオナニーでは絶対に届かない、包み込まれるような極上の快楽に、僕は心の底から酔いしれていた。

そして、その時はあまりにもあっけなく訪れる。

「あ、出……出ます……っ!」

限界を告げる僕の言葉と同時に、数日間溜め込んでいた濃密な精液が、ドクドクと先生の口内の奥深くへとぶちまけられた。
想像以上の量と勢いだったのだろう。先生の目が一瞬だけ丸く見開かれた。
しかし、彼女のピストン運動は止まらない。
ジュボジュボとさらに激しく、容赦のない音を立てながら、竿の根元から残る最後の一滴に至るまで、徹底的に精液を絞り出していく。

「はぁ、あ……っ」

あまりの快感の強さに膝の力が完全に抜け、僕は診察用ベッドの上へとへなへなが崩れ落ちてしまった。
ちゅぽん、と名残惜しそうな音を立てて先生の唇から離れたのは、役目を終えてすっかり小さく萎びたちんちんだった。
そして先生は、口内に溢れる僕のその全てを、喉を鳴らしてゴクリと、妖艶に飲み込んでしまったのだった。


先生はデスクのティッシュを引き抜き、上品に口元を拭っている。
その姿も何となくセクシーだった。あの口で僕の……。

――と、その時重大な事実に気付いてしまった。

「あ、あれ?精子の検査するんですよね?飲んじゃダメじゃないですか?」

その言葉に、上品に口を拭いていた先生が固まる。
そして看護師さんと顔を見合わせた。

「そ、そうよね。飲んじゃダメじゃない……。私のバカ……」

そう呟きながら少し狼狽えている先生を、年上の女性のはずなのにかわいく思ってしまった。

「もう、先生ったら。」

看護師さんも、少し呆れたようにため息をつく。
いくら何でも、精液を飲み込むのはどうかと思ってしまった。
すると、看護師さんの口元が気持ち少しだけ持ち上がった気がした。

「仕方ありませんね。では私が『搾精』します。先生は資料用に、撮影をお願いしますね。」

掛井さんはとんでもない代案を涼しい顔で口にすると、丸椅子をガラガラと退け、僕の目の前へと静かに跪いた。
そして、さっきまで僕が握っていた、先生の行為をバッチリ録画していたスマホを拾い上げた。

「先生、お願いしますね。」

スマホを先生に手渡し、レンズを自分の方へと向けさせる。
看護師さんはまず、先生の唾液と精液でベタついているちんちんを、新しいアルコール綿で丁寧に拭った。

そして、まだ皮を被ったままの先端に、チュッと小さくキスをした。
ご主人様より先にキスをされるなんて許せないな、とまた少ししょうもないことを考えてしまった。

看護師さんは二度、三度と、すっかり小さくなった僕のそこへちゅっちゅと熱いリップ音を響かせ、最後にもう一度、先端に深くキスをした。
次の瞬間、僕のちんちんはぬるりとした熱感とともに、彼女の口腔内へと滑り落ちていった。

「っ……!」

その強い吸引だけで、包皮がずるりと剥かれる感覚があった。
まさか、口に入れられただけで強制的に剥かれるなんて思ってもみなかった。
彼女のすぼめられた唇を、剥き出しになった亀頭が何度も行ったり来たりする。

さっき出したばかりのはずなのに、僕のムスコは「インターバルなんて必要ない!」と猛り狂うように、再びカチカチに反り立ち始めた。
普段、家での勃ちの悪さは一体何だったのだろう。
そんな快楽に正直すぎる僕の体を、今度は看護師さんの舌が這い回る。

全体を大きく包み込むように舐めていた先生に対し、掛井さんは亀頭の周辺を集中的に攻め立てるタイプのようだ。
唇が竿全体を上下している間も、彼女の舌はなめらかに、執拗に亀頭を舐め回し続けている。
もしかすると、僕のちんちんが小さいからなせる技なのかもしれない。

最初はちゅぷちゅぷと小さかった肉の擦れ合う音が、次第にジュボジュボ、ジュルリと大きく、激しく変化していく。
彼女は睾丸にまで垂れるほどの大量の唾液を分泌し、そこにわざと空気を混ぜ込むようにして、診察室中に響き渡るような卑猥な音を立てているのだ。

あの美人で、いかにも清楚そうな看護師さんが、今、僕の股間でこんなにも淫らなフェラチオに没頭している――。
その強烈な快感とギャップの凄まじさに、脳味噌の配線が焼き切れてしまいそうだった。

まだ始まってからそれほど時間は経っていない。
それなのに、下腹部の奥から二度目の熱い精液が早くもせり上がってくるのが分かった。

「あ、あぁ……もう、出ちゃいます……」

僕の限界の合図を聞き、看護師さんの動きが猛烈なラストスパートに入った。
ジュバジュバと容赦ない音を立て、彼女の唇と舌が竿と亀頭を激しく往復する。

「イクっ……!?」

声にならない悲鳴とともに、本日二度目となる濃い精液が、彼女の口の中へと勢いよく吐き出された。
ビクン、ビクンと何度も尿道を熱い液体が走り抜ける。
その強烈な収縮のたびに、「くあ!ぁ……っ」と情けない声が口から漏れた。

射精の勢いが収まるにつれ、彼女のストロークはゆっくりとした愛撫へと変わっていく。
そして名残惜しそうに、チューッと竿の中に残る最後の一滴までをダイレクトに吸い出した。

ちゅぽん、と口が離れた。けれど、彼女は先生のようにそれを飲み込みはしなかった。
上品な彼女の口元からは、受け止めきれなかったよだれが溢れている。

彼女は口に含んだ僕の精液を、もごもご、とまるで味わうかのように咀嚼した。
そして、傍らにあったステンレスの医療用トレイへ向かって、トロリと吐き出したのだった。


看護師さんは、白濁とした液体が広がる銀のトレイを先生の目の前に掲げ、どこか誇らしげにどや顔を浮かべた。

「どうです、ちゃんと採れましたよ?」

僕としては、よだれで濡れている口のまわりを早く拭いた方が良いのにな、と思っていた。
だが、先生はその銀のトレイを確認して、困った顔をした。

「掛井さん、あなたの唾液と混ぜちゃダメじゃない。これは使えないわ。」

先生の指摘はもっともだった。
あの大量の唾液と精液を口の中で咀嚼したらちゃんと検査出来ないのかもしれない。

また失敗したのか……。
そんな風に僕がうなだれかけた、その時だった。

「いっけなーい。そのままトレイに吐き出せば良かったのに、ついうっかり唾液と混ぜちゃった☆」

頭に手をあてて、てへっ、とでも言い出しそうな、あまりにも白々しく演技がかった掛井さんの台詞。
その瞬間、気づいてしまった。
彼女たちには、最初から「正しい手順で精液を検査する」つもりなんて、さらさらなかったのだ。
精液を飲み込んだことも、唾液を混ぜ込んだことも……。

一体なぜ彼女たちがそんなことをしたのか理解出来なかった。
途端に、目の前の美しい二人の笑顔が、底知れない恐怖を孕んだものに見えてくる。

「望月さん、ごめんなさいね。そういうわけだから、精子の検査は次回に回しましょう。」

先生は事も無げにそう告げた。
正直な本音を言えば、「まだやるつもりなのか」という絶望感しかなかった。
僕はただの睡眠時無呼吸症候群の治療のために、この病院へ来たはずなのだ。
一体どうして、診察室で二度も絶頂を迎え、精液を搾り取られる羽目になっているのだろう。
気持ち良かったから、なんてことはとても思えなかった。

さっきあれだけ勃起したのだから、EDの心配がないことくらい自分でもよく分かっていた。
精子の検査なんて、もうどうでもいい。
このままこの診察室に囚われ続ければ、本当に人生の、何か取り返しのつかない領域に引きずり込まれてしまう――。

本能的な危機感に背中を押され、僕は大急ぎでズボンを穿き直すと、診察机の前の椅子へと座り直した。

「睡眠時無呼吸症候群の治療としては、月に一度の通院をお願いしますね。」

先生がカルテを見ながら告げる。それはいい。
CPAPのレンタル代を、その通院のタイミングでまとめて支払うシステムらしい。
そこまでは至極まっとうな、普通の医療の話だった。

「それでですね、先ほどの精子検査の件ですが……来週の土曜日に、改めて来院をお願いします。こちらで優先的に予約枠を押さえておきますね。」

しかし、僕の意思や返答を完全に無視して、次の予定が事務的に、けれど強引に進められていく。
本当になんでなんだ。どうして僕がこんな目に遭わなければならないのか。

一刻も早くこの場から逃げ出したい。
そう願って身を強張らせた僕の肩を、背後に回り込んでいた看護師さんが、ポンと優しく叩いた。

「――というわけですので、今日から一週間、絶対に射精しないようにお願いしますね?次回はきちんと搾精しますので、どうぞご安心ください。」

耳元で囁かれたその言葉。
これほどまでに信用も、安心もできない言葉を、僕はこれまでの人生で聞いたことがなかった。


エピローグ

――あれから、僕は毎週のようにあの病院へ通い続けている。

毎回精液を抜き取られ、あれやこれやと言い訳をされ廃棄される。
最初から検査などする気が無いことくらい、百も承知だった。

最初の数回こそ、背徳的な快感の裏側で底知れない恐怖を感じていた。
しかし、回数を重ねるごとに、その恐怖すらも薄れていった。
今となっては、ただ彼女たちに貪られ、悦びに身を委ねるためだけに通院している。

「望月さん、どうしました?気持ち良くないですか?」

神妙な顔をしていた僕の異変に気づいたのだろう。
僕のイチモツを熱心に貪っていた先生が、ちゅぽんと唇を離して上目遣いに僕を見つめた。

「あ、いえ……大丈夫です。すごく、気持ちいいです。」

すると、看護師さんも声をかけてきた。

「でしたら、これは大切な『治療』なんですから、搾精に集中してくださいね。」

看護師さんはそう言いながら、自らの唇を重ね合わせてきた。
そして、熱い舌が口内へと滑り込み、蹂躙を始める。
それと同時に、足元では先生による容赦のないフェラチオが再開された。

クチュクチュと、互いの舌を合わせる濃厚なディープキス。
これが、僕が絶頂を迎えるまで、逃げることも許されずずっと続けられるのだ。
僕のファーストキスなんて、とうの昔にこの診察室で彼女たちに奪い去られていた。

ここに来るたび、手淫と口淫で必ず二度、限界まで抜かれる。
手淫でイカされた場合、吐き出された僕の精液は、床の上へ無残にぶちまけられる。
口淫の場合は、言わずもがなだ。

けれど、これほど深く肉体を貪られているというのに、こちらから彼女たちに触れることだけは絶対に許されなかった。
少しでも欲を出して手を伸ばそうとすれば、ぴしゃりと冷酷にはたかれる。
彼女たちの美しい裸を「鑑賞」させてもらったことはある。
けれど、結局はそこまで。
それ以上の領域へ踏み込むことは、決して叶わなかった。

未だに、彼女たちの本当の目的は分からない。
ただのストレス発散のためのおもちゃなのか。
それとも、本命の彼氏を喜ばせるための技術磨きの検体として、僕が利用されているだけなのか。

ただ、これだけはわかる。
僕と彼女たちが、プライベートで繋がる未来は、万に一つも無いということだ。
僕が彼女たちと恋人同士になったり、対等な人間として付き合ったりすることは絶対にできない。
この診察室だけで完結する関係だった。
それでも、僕はこの倒錯した遊びから抜け出せなくなってしまっている。

「あ……あ、イキます……」

今日も、僕の精液は先生の胃袋の中に消えていった。

ちなみに、月一の睡眠時無呼吸症候群の診察の時だけは、二人とも至って真面目な医療従事者として職務を全うしてくれる。
そのギャップも、僕が逃げられない理由の一つになっているのかもしれない。

END


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